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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

革命!こんにゃくアップデート2.0。<br/> 地域と時代を見据え、<br/> “競争”ではなく“共創”を目指す
Interview vol.113

革命!こんにゃくアップデート2.0。
地域と時代を見据え、
“競争”ではなく“共創”を目指す

株式会社こんにゃくラボ 岩崎真紗美さん

https://iwazaki-konnyaku.jp/

1982年11月生まれの38歳。静岡県焼津市出身。 地元の高校を卒業後、マスコミへの就職を目指し、法政大学社会学部マスコミ学科へ進学。卒業後に、㈱テレビ静岡へ入社。情報番組のディレクターとして11年間勤める。主に夕方帯のローカル情報ワイドを担当、県内各地への取材経験を積む。自身の担当する番組で家業である「岩崎蒟蒻店」を取材。これを機に家業の事業継承を決意、2016年3月退社。2017年7月より、老舗蒟蒻店の四代目として活動中。2019年7月に同業者の㈱倉島食品と共同で新法人㈱こんにゃくラボを設立。こんにゃくの新たな可能性創出を目指し奮闘している。

革命!こんにゃくアップデート2.0。地域と時代を見据え、“競争”ではなく“共創”を目指す

J300アワード受賞者のその後を追う、“J300アワード受賞者に聞く”インタビュー企画。全3回シリーズの第1弾は、伝統的な製法を守りながらも新発想のこんにゃくで地域を盛り上げている岩崎さん。岩崎さんは2019年度ミニJ300 in 静岡に参加。その後J300アワードにノミネートされ、見事大賞を受賞されました。テレビ局から蒟蒻店という一見異色の経歴に秘められた、地域ファーストのぶれない想いとは―。

情報番組ディレクターから老舗蒟蒻店4代目へ

情報番組のディレクターとして11年間勤めた地元静岡のテレビ局を2016年に退社。その後、家業の蒟蒻店を継ぐことを前提に公的機関で創業者支援の業務に1年間携わりながら経営について学んだ。2017年に蒟蒻店4代目に就任し、さらに2019年にはこんにゃくラボを立ち上げた。ディレクターの経験からメディア関係の知人も多く、また岩崎さん自身も情報発信やSNSが得意分野だった。家業に入ったタイミングで多くのメディアに取り上げてもらい、情報発信に努めた。とにかく駆け抜けた5年間だった。

家業の蒟蒻店では、通常、作ったこんにゃくはスーパーや業務用の食品工場に原料と卸していた。いわゆる黒子的な存在であり、表にメーカー名が出てこないため、今後は消費者に直接発信していかないと、良さが伝わらないと感じていた。その矢先、新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、オンラインショップを開始した。これにより、一般消費者や静岡県外にも広く販路が拡大していった。

こんにゃくラボの共同創設企業である倉島食品も地元の老舗蒟蒻店だ。静岡県内のこんにゃく企業は10社程度と少なく、もともと情報交換などの関係性が築かれていた。こんにゃく業界は男性が多く、「若い女性の発想を活用したい」と、倉島食品社長から岩崎さんへ声をかけた。後継者も少ないこんにゃく業界で、同業者同士が手を組んで、イノベーションを起こすことが必須と考えた結果のコラボレーションだった。

こんにゃくラボとして実施したクラウドファンディング「MIRUI(みるい)」も、地元新聞社からの声かけがきっかけだった。「こんにゃくヴィーガンミート」の開発を目指した同クラウドファンディングは、当初の目標金額を大幅に上回り、192%の達成率となった。

〜J300アワード受賞後に生まれた公的機関との接点〜
2020年2月にJ300アワードで大賞受賞後、金融機関や行政などの公的機関との接点が増えたことは一つの大きな変化と感じている。焼津市は水産業が盛んであるため、蒟蒻店としてはこれまで公的機関の注目を得ることは多くなかったが、補助金や事業拡大に向けた繋がりを得ることができた。また比較的規模の大きい食品メーカーとのコラボレーションの話も生まれている。


創業以来受け継ぐ伝統的な製法「バタ練り」の様子。味しみの良さと弾力のある食感を生み出す。

名付けて、“こんにゃくアップデート2.0”。              これまでも、これからも、地域密着

事業を継承して5年弱、ここまで地元を巻き込んだ活動ができているのは偶然ではない。岩崎さんには、何よりも地域を盛り上げる仕事をしたいという、一貫したぶれない想いがある。

もともと街づくりがしたいという想いをもち、また「これからの時代は情報発信が本当に大切になる」と考えテレビ局へ入社。一方、30代という自身の人生の岐路でもあったタイミングに、現在の世界おいてテレビの存在感が薄れてきていることを肌で感じ、「地元の家業の方が、もっと地元を知れる」と気が付いた。

家業を継いでから、右肩上がりに事業を展開しているように見えるが、もちろん失敗もあった。たとえばこんにゃくの開発手法が上手くいかない、業者とのやりとりで直面する困難、3代目である実母と意見がぶつかることもあった。また年配の男性が多いこんにゃく業界で、他の蒟蒻店主と根本的な考え方を互いに理解しきれないことも。しかしコロナ禍で世の中の価値観が変わり、外食産業も落ち込んで、オンラインツールも使わざるを得なくなった。これはイノベーションにおいては推進力になると感じていた。

岩崎さんにとって、「失敗は経験」。「チャレンジしない、失敗しない人生なんて面白くない」がモットーだ。「母が離婚して、一人でこんにゃく職人として店を経営し、モノをつくり、一人で何足ものわらじを履いて昼夜問わず働いている姿を見てきた。これが当たり前、強くなるのが当たり前だと思って生きてきた」。

「四角くて黒い」「料理しなければ食べられない」。こんにゃくの姿はこれまで大きな変化がなかった一方で、人々のライフスタイルは変わっている。普段料理をしない人でも、食材を複数購入したり調理したりする必要がなく食べやすいレトルトのこんにゃく商品や、こんにゃくの成分を残しながらも形を変えたこんにゃくミートのような商品に可能性を感じている。

今後も、こんにゃく文化が消えないよう、「こんにゃくアップデート2.0」と名付けて、こんにゃくの概念を変えていきたいと考える。同業者を巻き込みながら、地域の顔が見える範囲のビジネスを続けていく。


4代目として店を大きくしているが、「はじめは本当に家業には関心がなかった」そう。

やらないで後悔するより、まずはやる。いばらの道の方が楽しい!

現在の20~30代は、競争ではなく、誰かと繋がって一緒にやるということが普通の世代。一方でこんにゃく業界は、高度成長期の競争社会を生き抜いた50代以上が多く、他者に対し秘密主義の傾向にある。これからの時代は、どの業界でも同業者同士が手を取り合って、共創していくことが必要になると思っている。

岩崎さんにとって、テレビ局ディレクターのまま安定した人生を進む選択肢もあったが、何よりも今の人生の方が楽しいという。「組織に属していた頃よりも、現在の自分の方が圧倒的に存在価値が高いと思う」。当時の自分や同じような境遇の方に声をかけるなら、「やらないで後悔するより、やる」ことをすすめたい。常に新しい挑戦を続ける岩崎さんの原点が垣間見えた。


「立ち止まっている暇はない!」と、常にポジティブで魅力的な岩崎さん。

地域アンバサダー(静岡) 内田美紀子さんからのコメント

岩崎真紗美さんの周りには、地域・業界を超えて、自然と人が集まる。そして、気がつくと新しいことにチャレンジしている。伝統的な食文化を大事にしながらも、フレームにとらわれない発想力と、何かできないかと相談すると何ができるかを考えてくれるところ。だから、彼女の応援者が増え、面白そうな企画やコラボの話が舞い込むのだと思います。「こんにゃく」で世界発信できるのも、近いのではないかと期待しています。