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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

専業主婦から一転、女性社長へ。<br />メキシコ産シロップで目指すは全国制覇!
Interview vol.93

専業主婦から一転、女性社長へ。
メキシコ産シロップで目指すは全国制覇!

株式会社イデアプロモーション 薮田桂 さん

http://iidea.co.jp/

全日空国際線の客室乗務員として6年間勤務したのち結婚。ご主人が経営する会社を手伝いながら専業主婦を15年。3人の子供たちには「面倒になる日常の雑務を生活習慣としてルーティン化すれば後々楽になる」をモットーに、よちよち歩きの頃から脱いだ靴を揃え、ことあるごとに料理や洗濯、アイロンがけを教え自立できるように育てる。2009年ご主人が持つ会社の一つを引き継ぎ、代表取締役就任。「美味しくてヘルシーなオーガニック」を公私共のテーマとし地球にも優しい食品を販売する。

専業主婦から一転、女性社長へ。メキシコ産シロップで目指すは全国制覇!

ハチミツやメープルシロップに次ぐ第3の甘味料“アガベシロップ”をご存知だろうか?未だ日本では一部の食へこだわりあるユーザーのみが知る嗜好品に甘んじているが、欧米、特にアメリカでは食料品店でかなりのスペースを占めるメジャー商品。植物性なので蜂蜜と違って幼児でも食べられ、メープルシロップより血糖値が上がりにくい低GI食品として健康を気にする人も注目。まだ日本でほとんど知られていない頃からルートをつなげ、日本中に販路を開拓してきたアガベシロップの伝道師、薮田桂さんにお話を伺った。

1本の美味なる甘さに引き寄せられ、気がつけば主婦から女性社長に。

客室乗務員(以下CA)を経て3人の子を持つ専業主婦として15年、忙しくも満ち足りた日々を送っていた薮田さん。末の子が中学生になったのを機にCA養成スクールで教えながら夫の会社を手伝っていた。ある日、アメリカから来日した知人がくれたお土産。それはテキーラの原料でもあるリュウゼツラン(英語名アガベ)という植物から採れたイデア社のアガベシロップだった。元々甘い物好きで蜂蜜もメープルシロップも究極を探して色々試してはいたが、そのいずれとも異なる純な甘みにハマってしまった。「これを日本中に広めたい!」。夫の経営する会社の一つが輸入することになると、「君がやれば」と話が進みいきなり女性社長に就任した。
しかし現実は甘くない。CAというサービス業の経験のみで会社のお金の流れや物流の仕組みに疎く、問屋や中間マージンの多さなど物が動くのに一々お金がかかることに驚愕した。「女性が手に取りやすいように」とロゴやパッケージの刷新を試みれば、商品企画の取り決めにより変更は裏面のみ。それに一度流通したものは切替のタイミングが難しく、通達や納品在庫の問題など全てが大掛かりになることも初めて知った。めげずに続けてこれたのは「アメリカのようにスーパーの棚をアガベシロップが埋め尽くす」光景を心に思い描いていたからだ。

「供給元とのいい関係を保つこと」がなにより大事

メキシコの世界遺産テキーラ村にあるイデア社は、テキーラ同様リュウゼツラン(英語名アガベ)を原材料とするアガベシロップのパイオニア。独占契約を結んで滑り出したものの取引は一筋縄ではいかなかった。発注から船便を経て通関、倉庫、検品を終え商品が届くまでかれこれ2カ月。開封すると商品のラベルは曲がり、なかには貼り直してぐちゃぐちゃのものや段ボールや缶に至っては凹んで店頭商品としては使い物にならないものもあった。日本人の常識では考えられないことの連発と、到着後検品をやり直す2度手間。15時間の時差を待ちクレームを伝えても「人のやることだから間違いはある」とか「印刷会社が悪い」と繰り返す。都合の悪いことは曖昧にするし、ミスをミスと認めない態度に薮田さんのもやもやは積もるばかり。それでもカルチャーギャップはあれど大事なのは供給元との関係性。頭を切り替え、彼らのやり方を理解し粘り強く教育。ようやく形になったと思えるまで5年かかった。
社長就任以来、毎年現地を訪れ現場で直に話し双方の行き違いや誤解を解くことにも尽力する。アガベシロップが肉じゃがやすき焼きなど和食にも使えることを話すと食文化の違いに驚き「日本の代理店社長が女性であることを喜び、面白がってくれる」。イデア社とは良好な関係を深めつつある。

イデアプロモーション

ビジネスチャンス到来!誰に取り上げられるかがブランディングのカギ

会社設立から3年は売上がさっぱりだった。「メキシコのシロップ?なにそれ?」様々な反応をものともせず、サンプル要請にはスピーディに対応。指定日に指定量をきちっと届け、営業もタイミングを見計らいながら切らさず地道に続ける日本流ビジネスを貫いていた。丁度その頃、思いがけないことが起こった。2009年刊行されたエリカ・アンギャル著『世界一の美女になるダイエット』にアガペシロップが紹介されたのだ。日本人優勝者も出した世界的なミスコン出場者たちの実践するダイエット本とあって、本のヒットと共に認知度がぐんと上がった。
時を同じくして東京のトレンドセッターである伊勢丹から問い合わせがあり取引が開始。「あの百貨店が取引をしているところなら」と次々と全国に販路が開けていった。「最初に誰に、どこに扱ってもらえるかは大切ですね、それがブランディングになりますから」と薮田さん。
以降、卸以外の成果も徐々に現れ始めていた。今春、大手メーカーから新シリーズのヘルシーバーの原材料に採用され商品化された。厳しいサンプル試験を繰り返して2年、待ちに待った新発売。時代の健康志向と相まって高級スーパーやこだわりの食材店などに商品が並ぶようになり、“美”にこだわりを持つ有名人の愛用品として紹介されることも増えた。

アガベシロップの伝道師として、未来を見つめて

アガベシロップを知ってから8年。当時は日本で2社程度だったアガベシロップ取扱い業者も現在では25社近くまで増えた。先駆者としての地道な活動は、国内外で信用と信頼を生み、メキシコ大使館から取引先の紹介を受けることも増えた。シェアは日本一。世界で唯一、アガベをパウダー化した糖分で作るフランスの老舗チョコレートメーカーと大手資本を退けて契約できたのもイデア社が「信用できる取引先」と紹介してくれたお陰だとか。商品ラインナップも広がり出張等で忙しさは増す一方だが、子供達は「毎日違う話をして、世界が広がっていくお母さんと話すのは楽しい」と口々に言う。幼い頃から一通りのことを教えたのが功を奏し、大高生の男の子でも家事のサポートをしてくれるのが頼もしい。
アガベシロップの日本での流通の歴史は社長歴と重なる。「8年経つのにメープルシロップに比べると、まだ1/10のシェア。でも逆にいえば伸びる可能性も10倍!」。老若男女問わず使って欲しいからアイコンを立てた宣伝はしないが売上は順調に伸び、最近はショップチャンネル出演の機会も得た。母親の目線で自分の子供達に食べさせたい商品を選び「健康にも良くて美味しい」を目指す。アガベシロップをブームではなく日本市場に確実に定着させていきたい。その想いは益々強くなる。