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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

訪問看護ステーションを<br/>全国200か所に開設することが目標!
Interview vol.81

訪問看護ステーションを
全国200か所に開設することが目標!

大和ビルド株式会社 漆崎伊智代さん

http://www.ryujin-ns.com/index.html

1971年生まれ。看護師として病院に勤務。近大付属病院や大阪警察病院を経て、1996年より大手ハウスメーカーにて営業経験を積み、不動産事業に携わる。2002年にロイヤル訪問看護ステーションの経営に参加し、訪問看護の運営を学ぶ。2008年大和ビルド株式会社の1部門として、りゅうじん訪問看護ステーションを創業。現在ケアプランセンター及びヘルパーステーションを含め、7事業所を運営するに至る。2011年には、訪問看護師・ヘルパー養成校「りゅうじんアカデミー」も開校。 在宅医療を必要とする方々に、その人らしく療養生活が送れるよう看護師の立場からサポートする活動を行っている。

訪問看護ステーションを全国200か所に開設することが目標!

起業当初から全国展開を目標に、現在「りゅうじん訪問看護ステーション」を大阪市内に5支店運営、日本で初めて訪問看護にリンパマッサージを取り入れ、より積極的に病気が改善できるようサポートしている大和ビルド株式会社 漆崎伊智代さん。看護師が力を発揮できる場所をつくりたいという想いを原動力に精力的な活動をされている漆崎さんに、訪問看護の現状や事業を通じて目指していることについてお話を伺った。

看護師×不動産営業 自分にしかできないこと

看護師から不動産会社の営業職へ。いずれは何らかの形で起業をしたいと思っていた漆崎さんは、医療業界以外の仕事を経験することで見聞を広めたいと、当時大手ハウスメーカーの専務を務められていた方とのご縁から転職を決めた。りゅうじん訪問看護ステーション創業のきっかけは、2007年の介護保険制度の改正。看護師と不動産会社での営業という経験を活かし、自分にしかできないことをやろうと思った。
「起業当初からの目標は、訪問看護ステーションを全国200か所に開設すること!」創業同年には2支店、現在では5支店を運営している。背景には病院のベッド数が限られ、多くの患者さんを長く入院させられないという現状がある。医療の専門知識を持つ看護師が訪問し、主治医とも連携しながら自宅で療養ができる訪問看護サービスは、今後ますます必要とされるだろう。
現在、利用者数は平均して400人程度。0歳児からお年寄りまで様々、多くは病院からの紹介だ。しかし、創業当初は病院とのつながりもまったくなく、介護サービス業者や病院の看護婦長に積極的に営業することからはじめた。営業職の経験を活かし「何かお役にたてることがあったら是非お声掛けください」と頭を下げて回った。そんな地道な努力と他にはないサービスを提供することにより、今では口コミでの紹介も多いそうだ。

りゅうじん訪問看護ステーションの強み

多くの訪問看護サービス会社は病院が経営しており、りゅうじん訪問看護ステーションのように、訪問看護だけを専門で行う会社はほとんどない。訪問看護では、入浴や食事、排せつの介助や注射や点滴の管理、精神的なケアなどを看護師が行うのだが、一般的な訪問看護はサービス内容が明確になっておらず、精神的なケアといっても実際にはただ話を聞くだけ、というような場合も多い。そんな中、りゅうじん訪問看護ステーションでは訪問看護サービス会社として初めてサービス内容を明確に提示している。理学療法士や作業療法士によるリハビリ、精神面のリラックスのためのアロママッサージ、など。最大の特徴は日本で初となる看護師によるリンパマッサージだ。マッサージによるリラックス効果だけでなく、リンパの流れを良くすることで体内の老廃物を排せつし、体の調子を整えていく効果がある。回数を重ねるごとに体の調子が良くなっていく利用者も少なくない。
りゅうじん訪問看護ステーションの強みは、ただ看護をするのではなく、より積極的に病気を良くしていくための取り組み。利用者の病状にあわせ、達成可能な小さな目標を設定していくことにより、自然とやる気を持ってもらえるような工夫もしている。このような訪問看護サービスを医療保険と介護両方の保険が適用され、疾病にもよるが通常1回800円程度の負担で利用することが出来る。


一朝一夕では育たない 訪問看護師の育成

大和ビルド株式会社では、りゅうじん訪問看護ステーションの運営の他、土地活用や高齢者マンションのコンサルティングも行っているが、いずれは自社で高齢者マンションを運営したいと考えている。しかし事業を拡大すれば、新たなスタッフも必要となる。漆崎さんが最も苦労している点は、スタッフの育成だという。
訪問看護師養成校「りゅうじんアカデミー」も運営し、訪問看護に必要な知識やリンパマッサージの方法を指導するが、健康な人へ行うマッサージとは異なるため、完全に習得するには、少なくとも3年はかかるそうだ。その為、とにかくこの仕事を続けてもらうことが必要になる。また、利用者の方とは、5年~10年という長いスパンでおつきあいすることもある。もともと看護師を目指す人は、何か人の役に立ちたいという奉仕の気持ちを持っている人たち。訪問看護ではその気持ちが強すぎると、昼夜問わず呼び出されてしまったり、お互いのプライベートに入り込んでしまったりと、長続きしない原因になる。
仕事として割り切らねばならない部分もあり「訪問看護とは何か」ということを理解することが、一人前の訪問看護師になるために誰もが乗り越えねばならない壁だという。漆崎さん自身もそのことを理解できるようになるまでに5年かかったそうだ。


看護師が力を発揮できる場所をつくりたい

現在従業員数は37名。その大半を占めるのがママナースだ。起業当初は経営者として働き手に望むことと、スタッフ側の仕事に対する意識に食い違いもあった。経営者としては仕事が日常のすべてだが、働く側は違う。子育てや趣味などと並び仕事は生活の一部分で、それがすべてではない。大切なのは安定して仕事を続けてもらうこと。スタッフには「家庭を一番に考えて」と言う。家庭をないがしろにすると仕事を続けることが困難になる。15:00までの時短勤務や、週三回勤務など家庭と仕事とのバランスがうまく取れるよう配慮している。
漆崎さんの原動力は、「看護師が力を発揮できる場所をつくりたい」という想い。訪問看護では、看護師が自分の手で患者さんの病気を良くしている実感が得られる。りゅうじん訪問看護ステーションの社名の由来は、竜神様という神様だという。頑張っている人を常に見守ってくれて、何かあったときには助けてくれる。そんな竜神様のように、親切の押し売りではなく、困ったときにはいつでも助けられる存在になりたいという気持ちが込められている。
今年の目標は、大阪市内に3つの支店を開設すること。着々と準備を進めている。再来年には東京にも進出予定なのだとか。りゅうじん訪問看護ステーションのサービスを全国で受けられるようになる日もそう遠くはないかもしれない。