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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

ラグジュアリー特化で<br/>バイリンガルなプロ集団
Interview vol.77

ラグジュアリー特化で
バイリンガルなプロ集団

ラックス・リサーチ・ジャパン 白井伸枝 さん

http://www.luxresearchjapan.com/

米国シリコンバレーのベンチャー企業、コンサルティング会社を経て、2001年MBA(経営修士号:専門インターナショナル・マーケティング)を取得。帰国後、外資系の大手コンサルティング会社へ入社。戦略コンサルティング部門にて、企業変革支援、新規事業立ち上げ、マーケティングプロジェクトなどを経験する。 2006年6月、コンサルティング会社である、株式会社グローピア・パートナーズを設立。翌年、ラグジュアリー市場に特化した一部門としてラックス・リサーチ・ジャパンを立ち上げ、これまでにおよそ200~300のグローバルプロジェクトに関わる。

ラグジュアリー特化でバイリンガルなプロ集団

ラグジュアリー市場に特化した調査会社ラックス・リサーチ・ジャパンを2007年に立ち上げ、年間約60ものプロジェクトをプロ集団でこなす白井さん。起業のきっかけから組織としての考え方、文化、市場成熟度の違いなどグローバルな仕事であるがゆえのやりがい、今後の展望について伺った。

他の会社がやっていない、ラグジュアリー特化リサーチ&コンサルティングをスタート

ドットコムバブルといわれた2000年頃、シリコンバレーのベンチャー企業やコンサルティング会社で仕事をしていた白井さん。世界中から夢を持った若者や投資家が集まっている空気を肌で感じ、漠然と「いつか日本で起業をしたい」と考えるようになった。
帰国後は大手コンサルティング会社に就職。戦略コンサルティング部門で、大手商社・自動車メーカーなどの変革支援・新規事業の立ち上げ・マーケティングプロジェクトなどを経験する。5年ほどこれといった起業のアイデアは固まらずにいる中、起業のきっかけは突然訪れた。ある投資会社から「買収する会社の社長にならないか」と声がかかりチームメンバーを連れて退社したが、買収の話が立ち消えとなる。その後メンバーと共に白井さんは独立、起業することを決めた。
まずは各自の専門分野を活かしたコンサルティング会社「ブローピアパートナーズ」を2006年6月に設立し、1年ほど「自分たちだからできる仕事」を模索する中、外資系のマーケティング調査部門のトップが新メンバーとして加わる。日本にはラグジュアリー市場に特化した調査会社がない。一方、日本のラグジュアリー市場が世界的にも特殊なマーケットであることを知る。2007年、ラグジュアリー市場のリサーチに特化した「ラックスリサーチジャパン」を立ち上げた。

ゆるい組織だけど、役割はきちんと明確なプロ集団。

クライアントは主に欧米特にヨーロッパのラグジュアリーブランド。ホテルチェーン、化粧品、車、お酒、ファッション、ジュエリーなどグローバルで商品・ブランド展開をする際、日本市場のリサーチを担当する。現在、年間約60ほどのプロジェクトをこなし、これまで200~300のプロジェクト・約50ブランドに携わった。
多くのプロジェクトをこなすが、中核となる共同経営者は白井さんを含め3人。プロジェクトに関わる大きなネットワークでいうと全体で40人ほど。プロジェクト毎に最適な人材を選び、1プロジェクトに大体4~5名が関わる。白井さんら中核メンバーは月に5~6のプロジェクトを担当する。
プロジェクトベースで流動的にチームを構成するが、組織としてルールでやり方を縛ることはない。自由度が高く、目的の為には統率が取れている組織を目指している。各人がプロとして役割をしっかり把握し、責任感を持って動いているからこそできるシステムだと白井さんは語る。
白井さん自身、1歳2ヶ月になるお子さんを持ち、自由な組織だから、仕事と子育てをフレキシブルに両立していけているという。オフィスに子供のスペースがあり、寝ていたり、遊んでいたり。ときには保育園に会社のメンバーが迎えに行ってくれたりする。子供の存在がメンバーの「癒し」にもなっていると笑顔で話してくれた。


グローバルでも、カルチャーが違っても、ブランドの統一感が必要

現在は海外のクライアントがほとんど。香港でのパートナー探しをきっかけに、仕事の依頼がくるなど繋がりは人と人との縁で広がっている。「ラグジュアリー市場特化」「バイリンガル対応」という他にはない強みを切り口に顧客は広がっていった。
グローバルな市場では、カルチャーの違いを理解し、うまく繋ぎ擦り合わせていくかが難しい。またラグジュアリーといってもヨーロッパと日本では市場環境が異なる。
一般的に富裕層の定義は、金融資産1億円以上の方々。日本ではラグジュアリー商品を持つ顧客は広く8割が富裕層以外。人を家に招待する欧米文化では家や家具などにお金をかけるが、日本は土地も家も小さい為外先で人に見せられる持ち物にお金をかける。また日本では高校生でもルイ・ヴィトンなど高級ブランドを持っている。ヨーロッパと文化も違えば、全く対象とならない高校生も日本ではラグジュアリー製品の消費者となり得る。
またアジア内でも日本のブランド市場は成熟度が高くブランドに対する目が肥えている。ストーリーやTPO・好みに合わせた使い方をしており裏のこだわりをたくさん持っている。インタビューをしながらも日々学びがある。国によりブランド成熟度、カルチャーでリサーチが異なる。違いを理解しグローバルで認識を合わせる調整が大変だが面白い。

ラグジュアリー分野において「この会社」といってもらえるようになりたい

これからもやっていきたいことは、ラグジュアリー分野において自分達のブランドを確立する事。前職の大手企業クライアントで培った「分析力」。論理的に考える習慣はついているがラグジュアリー分野では、「引き出す力」もかなり重要。顧客の調査目的をかなえるためには理屈や論理だけで購入しないユーザーの「感情」を引き出すことが求められる。引き出す力は今の会社の強みの一つだ。
ラグジュアリー領域の知識を各メンバーが深め、ニーズを理解し、きちんと掘り下げて必要な事を引き出してくれるという安心感をもってもらえるプロフェッショナルな仕事を重ねてきた。実際携わるプロジェクト数は年々1.5倍ずつ増加。柱はもちろんラグジュアリー市場だが、洗剤やシャンプーなどの日用品からPCメーカーの調査依頼など、ラグジュアリー分野以外にもプロジェクトの幅は広がり始め、全体の2割ほどを占めるようになった。
将来は、日本の会社が世界に出て行く際のお手伝いをしていきたい。海外のブランディングが巧い会社と仕事をしていて感じるのは、日本企業は、力をすごく持っているのにグローバルで戦っていく力が弱くなっていること。日本の会社にもっと頑張ってもらいたいという想いがある。海外との架け橋になる仕事をこれからも続けていきたいと意欲的に語っていただいた。