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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

スポーツを通じて社会貢献する、<br/>世界での大きな流れを
Interview vol.75

スポーツを通じて社会貢献する、
世界での大きな流れを

株式会社Cheer blossom 梶川三枝さん

http://www.cheerblossom.com/

名古屋大学卒業後、旅行会社に勤務。パリ留学、長野オリンピックでの通訳・国際会議運営会社・外資系金融等を経て2003年オハイオ大学大学院スポーツ経営学科留学、NBAにて日本人女性初のインターンとして採用されスポーツ経営学修士号取得。ニューヨーク大学にてファイナンスを学び、2006年に帰国。世界バスケットボール選手権でのVIP対応、米系コンサルティング会社、2007年8月より東京オリンピック・パラリンピック招致委員会にて勤務。ジョージ・シュルツ元米国国務長官や故サマランチIOC名誉会長などのアテンドも務め、IOC評価委員会来日時には、官房長官、各省大臣、警視総監などVIPを含むスピーカーのトレーニングアテンドを担当した。マイケルジョーダン・キャンプ、世界選手権、オリンピック等のバスケットボールイベント、スポーツ関連の国際会議でのリサーチ、取材経験豊富。スポーツのチカラをよりよい社会づくりに役立てることをミッションとし、2010年7月株式会社 Cheer Blossomを設立。2011年Ernst&Young Groundbreakers Award 受賞。

スポーツを通じて社会貢献する、世界での大きな流れを

国際的仕事を思い描きつつ、スポーツの世界でNBAインターンやマイケルジョーダンキャンプ、オリンピック招致など世界のスポーツ界のトップクラスで経験を積んだ梶川さん。トップアスリート支援ではなく社会から隔離された人々にスポーツを通じて社会貢献する世界での大きな流れを、グローバルな人脈を築き日本に伝えようと奮闘するSport For Smile創設者の梶川さんにお話を伺った。

私にしか出来ない仕事。海外とスポーツと社会貢献

父はクリスチャン。幼少のころから教会など外国人や国際派の方と触れ合う環境を楽しみ、英語も好きだった。将来は自然と国際的な仕事をすると感じていた。
大学卒業後は旅行会社へ。旅行が好きというよりは、将来世界を飛び回る仕事をする時、世界のどこに空港がありハブ空港はどこなのか、所要時間やコストを把握したかったから。
3年半旅行会社でばっちり情報を頭に叩き込み、フランス語学留学、長野オリンピックでの通訳、国際会議の運営、外資系で経験を積んだ6年後米スポーツビジネスの名門、オハイオ大学へ。卒業生や教授の支援でNBA(世界最高峰の米プロバスケットボールリーグ)デトロイト・ピストンズ、マイケルジョーダンのキャンプでもインターンを経験。オリンピック招致関連では故サマランチIOC名誉会長を含む海外VVIP/VIP対応や国際戦略、マーケティング等の重要業務を担う。
海外では、マーケティングの一環としての社会貢献活動を体験。実際、「社会貢献している企業は利益があがる」ことを実証しているリサーチも出ているそうだ。アメリカでスポーツ経営学修士号(MSA)を取得し数々の現場を見た自分だからできること。この手法を日本にも導入したいと思った。「私は貴重な経験をたくさんさせて頂きました。私にしかできない使命を果たさなくては!」と思い起業を決意する。

世界ではすでに事例あり。スポーツで社会変革

スポーツのチカラは、「夢や希望」を与えるだけではない。スポーツをツールとして社会的課題の解決にまで踏み込む。
世界での事例は豊富。例えば2011年に訪問した南アフリカのある刑務所の取組み。南アフリカは犯罪率が高く再犯罪率も85%。その刑務所では、NPOとの連携で選ばれたユースに対し週2、3回サッカーやラグビーを楽しむ機会を提供する。練習前には必ず、輪になってダイアログを実施。簡易テキストに沿い「チームでミスした人がいたらどうする?蹴っ飛ばす?」など生活上のマナーにつながるライフスキルを学べる仕組だ。結果、再犯罪率を10%にまで抑えた。
他にもホームレスの自立支援をサポートする団体ビッグイシューの取組みやホームレスワールドカップも大きな社会的インパクトを与えている。夢や希望がもうないと思われがちなホームレスだが、スポーツでチームメイトに大きな声をかけたり、リーダーシップを発揮するようになる。ホームレスワールドカップ参加者の7割が「人生がドラスティックに変わった」と答え、3割は社会復帰にもつながったという。
Sport For Smile の対象は、障がい者、児童擁護施設の子どもたち、痴ほう症患者、専業主婦、難民や新任の外交官と幅広い。梶川さんが目指すのは、ただ健康のためのスポーツ活動ではなく、スポーツを通じ“社会変革”を起こすことだ。

グローバルな仲間が支え、日本にも根付かせてみせる!

日本ではスポーツが「社会変革」のツールという認識がまだ浸透していない。日本語化されていない英語での情報が多いのも理由の一つ。梶川さんの活動は日本語で海外の事例をWEBサイト等を通じ広めることから始まった。
例えば、「スポーツイベントやるよ」と言って子どもたちを集め、併せてエイズ教育を実施している団体がある。地元の運営団体が「中心となって」スポーツプログラムを「持続的に」実施することでこそ社会的なインパクトが作り出せる、と梶川さん。心の支えはイベント参加者や設立当初から志を共にし応援してくれる何百人ものグローバルの仲間。すでに海外で実績を上げている仲間が自信と勇気をくれる。「スポーツによる社会変革」というコンセプトが、近い将来日本でも必ずムーブメントになるという確信とともに前進し続ける。
海外とのつながりは、ここ数年のイベントやフォーラムでの出会いから。志を共にする仲間たちは、「こういうイベントやるんだけど話してもらえないか」の一言メールでOKの返事をすぐにくれる。自分の利益だけではなく、グローバルな視野から未来を見つめ自分にできる最も効果的な方法で「世界を変える」ことを使命とする梶川さんの真摯さと、日頃の地道な活動の積み重ねが信頼の礎だ。


自分の人生やりたいことをやっている。

2011年はまず実績づくりとしてトークセッションを年7回実施。約3,000円の有料イベントに価値を見出し来てくれる人を探したかった。Sport For Smile のコミュニティーを作るためだ。
会場の無償提供など多くの人の協力で成り立っているが、数万程度の赤字になることもある。でも「今は投資の時期」と梶川さん。最初に大事なのは「理念を正しく伝えていく」こと。決して背伸びはしない。今年の目標はユニバーサル・スポーツを運営する団体を開拓し体験会を増やしていくこと。数年後にはSport For Smileの法人化を目指し、キャッシュとやりたいことのバランスを取りたいと意気込む。
「仕事とプライベートの境があまりない」という梶川さん。OL時代は仕事をしながらボランティアで活動していたが、「やりたいことを仕事に出来ているのは幸せ。」と話す。今年は、日本で48年ぶりに実施される世界銀行の年次総会にあわせ10月10日に公式サイドイベントを実施。日本発の「スポーツによる社会変革」を目指す梶川さんは、芯が強く、ステキな社長だ。きっとこれから日本で、また世界で、スポーツを通してスマイルがたくさん生まれることだろう。