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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

東京出身、秋田に縁のなかった女性社長が<br/>秋田の魅力を伝える
Interview vol.68

東京出身、秋田に縁のなかった女性社長が
秋田の魅力を伝える

株式会社こめたび 首藤郷さん

http://kometabi.com/

“日本の都市と農村を、「こめ」と「たび」で結ぶ。”具体的には、秋田の農家さんと連携してお米を販売する「こめ」と、年に数回秋田の農家に泊まりに行く「たび」を企画。2007年10月に創業し、首藤さんは2009年9月から社長就任。

東京出身、秋田に縁のなかった女性社長が秋田の魅力を伝える

父親の影響で、幼い頃から経営者の視点を持った首藤さん。東京出身、秋田に縁のなかった彼女が、28歳の若さで秋田の米と旅がコンセプトの「こめたび」の社長に就任した。今回は、そこに至るまでの経緯や、「食べくらべてもらうのが1番」と自信を持って言えるお米の秘密、そして、「よそ者、ばか者、若者」として田舎、農家に受け入れられにくい若い女性が、どのように地元のキーマンを見つけ仕事をしていくのか、今後の目標などを伺った。

秋田を知らない「よそ者、ばか者、若者」の女性社長

経営者の父を持つ首藤さん。高校生の頃からお父さんの経営者会合について行き、多くの女性経営者と触れ、経営者になりたい自覚した。大学卒業後6年間で2社を経験。1社目は、インキュベーションルームで新規事業の運営と、新規事業に必要な人材のヘッドハンティングする会社。1年で第二新卒として転職。1社目で事業を立ち上げる人たちを見て、自ら実業に携わりたいと首都圏の私鉄に転職する。2社目ではビジネスホテル事業や、沿線住民向けサービス展開する新規事業に取り組んだ。
こめたびとの接点は2007年の創業時から。会社員だった首藤さんは消費者であり、株主だった。秋田の知られざる魅力を発信したい人たちの想いから立ち上がったこめたび。株主であり応援者だった首藤さんは会社員時代から友達への口コミや東京での販売会を売り子として2年ほど手伝っていた。そのころ、社長を引き継がないかとの打診に「縁だと思う」と、2009年9月にこめたびの社長に就任する。
東京育ち・東京在住の社長首藤さんの強みは、「秋田を知らないところ」。しがらみがないため、知らないことは全部聞いて、「わからない」ということについていい意味で居直っていたという彼女が新しい風を吹かせる。

食べくらべてもらうのが一番。農家さんが食べたいお米だからおいしい

お米を売るときのポイントを尋ねると、「(今使っているお米と)食べくらべてもらうのが一番」と自信たっぷりに言う。ある会社の役員13名に目隠しで食べてもらった時、12名がこめたびの米を選んだ。こめたびのお米がおいしい秘密は「農家さんが家族のために作っている、自分が食べたいお米」だから。
一般流通のお米は、各地域の農協ごとに集めれらたお米が混ぜられて出荷される。一方こめたびのお米は、生産農家自身が精米、袋詰め段ボールでの発送、こだわりの「○○さんのお米」を直送している。お客様とのダイレクト。消費者のクレームもお褒めの言葉も農家に直接返す。農家さんのモチベーションがあがった直送のお米がおいしいのは当然だ。
米の販売は、個人消費者と素材にこだわるレストランなどの飲食店。顧客数は個人消費者が圧倒的に多いが、取扱い量は半々だ。個人消費者への販売は2キロ1600円~。基本的には定期購入をお願いしている。イベントで出会った人、リピーターのお客様からの紹介が6、7割。健康、安全・安心に気を使う年配の方やこめたびのコンセプトに惹かれる30代のOLも多い。秋田への「たび」は、現在、お米のユーザーさん(ファン)限定で年2、3回実施している。


縁がない土地とも仕事はできる!一般論に縛られない

社長になって3年目。農業や田舎について、やっと分かってきたという首藤さん。毎月農家に足を運ぶが秋田は広いのでワンエリアに行くのは3か月に1回程度だ。片道4500円の深夜バスで通っている。なんと車の免許を持っていない首藤さんは毎回、農家さんにバス停まで車で迎えに来てもらい、次の農家にも送ってもらう愛されぶりだ。
よそ者の彼女に地元の方とのつきあい方も聞いてみた。「一般的な話は99%役に立たない」と即答。一般論をふりかざすとうまくいかないことが多い。首藤さんは、「ごめんなさい全然分からないんです。だけどいいものなので広めたい。教えてください」というスタンスで飛び込んでいる。農業の世界ではまだ珍しい若い女性。たとえ人づてに紹介してもらっても「よそ者の女性」として何回会っても受け入れられないこともある。一方、一回で意気投合しすぐ一緒に仕事ができることも。「受け入れてくれる方にとことん教えて頂いて、絶対恩返ししますっていう関係を一人一人築くことができるかどうか。お互いに発展できる関係を結べるかどうかが大事」。
一回の秋田行きで30人ほどを訪問。農家、地域のキーマン、パソコンやITを駆使する若手、おせっかいやきのおじちゃんなど様々。「新しい人に出会い、世界が広がることが楽しくてしょうがない。」


秋田の魅力は語り尽くせない、小さな失敗を繰り返しコツコツと!

社長になって変わったことは、失敗の数。まず挑戦してみる。積極的に小さな失敗をして、どう克服するのかに重点を置いている。「資金や労力を投資しなければ新しいものは生まれない」。とにかく実際歩き回って開拓していく。
「私とアルバイト何人かがやっていけて、商品の高いクオリティが保てれば、会社は小さくてもいい」と首藤さん。ただ、大好きな秋田を思うと夢は広がる。
秋田は四季も多彩で、文化も芸術もある。インフラとしてのインターネットは必要だが、都会の便利で簡単な生活にはない、昔の生活がまだ残っている。そのままの秋田のよさをどうにかして伝えて残していきたい。今後は、加工品の取り扱いも増やす。お酒とお米のセットや、秋田の食卓がイメージできるおかずセットも。また、米だけではなく日本の昔ながらの食文化や、秋田の文化を紹介し、食育の講座を持てるような会社になりたい。そして、若い人が秋田に足を運ぶきっかけをつくりたい。「これが私の、こめたびの役割」。
今年7月には、池袋のリビエラ東京で30年続く伝統イベント「夏の旬づくし秋田編」の企画を担当する。秋田の魅力は一言では語り尽くせない。「地道にこつこつは必須なんでしょうね」と語る首藤さんに目が離せない。