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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

似顔絵イラスト・プチキャラを看板に<br/>輪を広げるデザイナー
Interview vol.53

似顔絵イラスト・プチキャラを看板に
輪を広げるデザイナー

ルナクリエーション 小林 郁子さん

http://www.lunacreation.jp/

横浜美術短大芸術科を卒業後、広告代理店に就職。1年後に退職し沖縄を1年放浪。法律事務所で2年間働きながら心理学の勉強に励む。日本カウンセラー学院のスタートスタッフとして入社し、経営を経験。 7年間ワーカーホリックに仕事を励み、2002年1月、30歳でルナクリエーション設立。オーダーメイドの似顔絵イラストのプチキャラやWeb、チケットなど幅広いデザインを手がける。

似顔絵イラスト・プチキャラを看板に輪を広げるデザイナー

「プチキャラ」というかわいい似顔絵イラストを手がける小林さんに、独立しプチキャラを始めるに至った経緯、ネットワーク作りのノウハウ、今後挑戦してみたいことなどたくさんのお話を伺った。心理学を深く学んだ小林さんは、自分の特性を活かしたポジショニングの重要性を訴える。

吐き気がするほど自分を追い込んで学んだ心理学と仕事に駆けぬけた20代

美術短大を卒業し広告代理店に就職した小林さん。バブル崩壊直後、広告費は削られる一方。しかし、残業や接待など拘束時間は長く、いいものを見てアートセンスを磨けと言われても時間はない。会社の未来は真っ暗。5、6年目の先輩を見ても自分のなりたい姿ではなかった。
小林さんは1年で退職し、若いうちにできることをと沖縄を1年放浪する。住む場所も食べる物も自分で用意しなくてはならない。ツテを頼り、高齢者にかわいがられる。今の小林さんの人脈作り、行動力が垣間見える。
沖縄から戻り法律事務所で働き始める。ゆったりとした沖縄で自分を見つめる時間を持ったこともあり心理学に興味を持った。法律相談もカウンセリングに共通する。働きながらアートセラピー、カウンセリングなど2つの学校に通いながら全力で勉強に励む。吐き気を覚えるくらい、風が吹くだけで痛みを感じるほど自分をむき出しにして勉強した。
心理学に携わる仕事をしたいと設立直後の日本カウンセラー学院に転職。経費節減のためシステムを覚え、営業、HP・名刺の作成など全て行った。ここで初めて経営というものに触れる。休日にも仕事を持ち込み、がむしゃらに働き、ワーカーホリックな7年間だった。勉強と仕事、20代を全力で駆け抜けた。辛い20代だったと振り返るが、学んだことも多い。

自宅で働く主婦のモデルケースに。投資をしていないのに仕事が入り始めた!

30歳で結婚。結婚しうずもれる才能をたくさん目にした。自宅でPC1台で始められる主婦ならではの働き方の成功事例になりたいと思った。小林さんはフットワーク軽く、いきがっているうちに出産後も仕事ができるよう種まきを始めなければ!と退職しルナクリエーションを設立。最初は前職で担当していたHPや名刺作成業務を請け負っていたが、自転車操業の生活に途方にくれる。しかし仕事獲得のみを目的とする営業はしっくりせず、共鳴できる人々との友達づくり、見本となる先輩探し、支えあう人とのつながりを大事にしたいと考えていた。ビジネス交流会などに参加するうちに仕事もぽつぽつ入り始め1年程度で焦る気持ちは無くなる。投資をせずに仕事が入り始めた!と小林さんはガッツポーズをする。
独立から1年、ある経営者に「君の強みはイラストだ。量を書いて井戸を掘れ」と言われ、半信半疑でイラスト制作を始める。それがプチキャラ(似顔絵イラスト)の始まりだ。その方を通じてFPや士業、工務店、歯科医院を営む人々の輪が広がっていく。同業者とかぶらないところにいくポジショニングが功を奏した。堅い職業でもイラストがあると柔らかくなる。社員の似顔絵、会員登録の特典としてのイラストは途中でタッチを変えることはない。年に一度の依頼を含めれば継続的に依頼を受ける企業は20社程。人とのつながりを大切にする小林さんは10年来の付き合いも多い。小林さんのまいた種は確実に育っている。


スキマ産業に自分のキャラクターに合わせたポジショニングを見つけろ

トップから組織の中に入り込む。小林さんが自分の特性を活かして導き出した成功のノウハウだ。例えば、イベントにボランティアスタッフとして参加する。「何でもやります!」と裏方の地味できつい作業も黙々とこなす。元から頑張り屋の小林さん。スタッフの信頼を得、継続することで参加者にも顔を覚えてもらえる。幹部だと思われ向こうから挨拶に来てくれることもある。
これだけ聞くとよほどの戦略家なのかと思うが、小林さんと会うと、小林さんの柔らかい人柄、努力家で誠実な人柄が周囲の人々に好感を抱かせるのだろうと推察できる。もちろん小林さん自身もイベントに興味を持ち全力で運営に取り組む。その姿勢、想いは営業を獲得するための戦略ではなく好奇心旺盛、努力家の小林さんの心からの姿だ。
スタッフとして奉仕したイベントは、FPや士業のパーティーや勉強会、日本を中心とする2000人の会員を持つ茶道コミュニティ、その他異業種交流会など。
小林さんは、自分の特性を活かしたポジショニングの大切さを強調する。自分のキャラクターをどう活かせるのか。背伸びしても仕方ない。キャリアを離れた主婦達も自分のポジションはどこかに絶対ある。小林さんはこれをスキマ産業と呼ぶ。無償でやれば返ってくる。

プチキャラは戦略商品。試行錯誤しながら自分のリズムをつかめ始めた

プチキャラは戦略商品であり営業のとっかかりに過ぎない。単価が安いため売上はWebデザインが大きい。そのため、かける時間は1人あたり1時間までと決めている。芸術家ではない、ビジネスなのだからと小林さんは話す。しかし、イラストをやると引き出しも増える。
経験を重ね学んだのは、はったりだ。「できます」と言い切る。芸能人へのプレゼントにイラストを依頼された際は、著作権を調べるなど試行錯誤だった。 従業員はいない。営業もデザインもイラストも全て1人。作業場は自宅だ。独立当初は全ての仕事を引き受けていた。平日はアポに終われ、土日で作業。家族の食事だけは用意するものの3日間風呂に入らないこともあった。喧嘩も多い。「私は何に勝とうとしているのか。」ムキになり仕事を詰め込んでいる自分を感じた。 独立から4年経った頃、やっと断る勇気が出てきた。1つ1つの仕事に時間をかけ、薄利多売をやめる。リズムをつかめ始めると効率もあがった。
今後挑戦してみたいことは2つ。1つめは依頼主自身のストーリーを四コマ漫画にし、HPに掲載したい。ビジュアルで示すと文章で書くよりわかりやすい。もう一つは、ツイッターやmixi、Face Book、HPなどソーシャルメディアの使用に慣れない人々の支援。使用するうえで敷居を下げるお手伝いをしていきたい。既に現在、勉強会、ファンクラブ作りなど数名をプロデュースしている。年齢が上の方のほうがエネルギッシュで発信力も高い。ツールさえ用意すればすぐに活用できる。その動きが社会活性化につながる。

(インタビュー&ライティング 杉田屋 まりえ)