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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

石橋を叩いて渡るタイプじゃない。 <br/>飽くなき探求心を胸に、<br/>多分野に活動を広げる。
Interview vol.105

石橋を叩いて渡るタイプじゃない。
飽くなき探求心を胸に、
多分野に活動を広げる。

有限会社クリエスト 小山真結美さん

ウエディングドレスコーディネーターやグラフィックデザイナーのアシスタントや旅行会社勤務を経てオーダーウエディングのショップ「インフィオラータ」を1998年に創業。現在は、ブライダルコンサルタントとして新婚カップルの幸せのお手伝いをするとともに専門学校で講師をし人材育成と、長崎の女性たちが輝く場を創造すべく、仲間とともにB塾【夢をカタチに~自分らしく学ぶ・つながる・輝く】を設立、同団体の会長を務める。 また地域活性化の支援としてまちづくりなどの会議の場へファシリテーターとしても活動。本年度は県とともに恊働事業も始める。

石橋を叩いて渡るタイプじゃない。飽くなき探求心を胸に、多分野に活動を広げる。

「長崎」をこよなく愛する小山さん。ウエディングドレスのデザインから始まった事業は、長崎ならではの結婚式プロデュースへ。また、長崎の女性起業家を支援するB塾の設立、県産品愛用運動促進プロジェクトまで創業から16年で広がっている。新しいものを産みだすには人のつながりあってこそ。業態を超え様々な人のハブとして活躍する有限会社クリエストの小山さんにお話を伺った。

育児休暇を取るより独立して仕事! 理想のウエディングを目指す。

オーダーのウエディングドレスのデザイナーとして独立した小山さん。何度も使用されているのに値段が変わらないレンタルドレスになぜか納得がいかない。一方、海外では新品のドレスで挙式をするのが当たり前と知り衝撃をうけ、いつか起業することを意識する。もっと花嫁のこだわりに応えたい、「新品で好みのドレスを着てほしい」と感じていた。その後、デザイン事務所へ転職し、いつか起業する時の為にロゴや名刺を製作していた。結婚を機に満を期してオーダーウエディングのドレスショップ設立を奮起、出産3ヶ月後から子どもを預けて起業のノウハウを学ぶためのセミナー、県の起業家支援窓口に通い、半年というスピードで起業までこぎつけた。

開業後は熱意とは裏腹に理想と現実の葛藤の日々。思い通りに新しいものを作れる反面、ニーズの誤算も。例えばドレスの生地。シルクかポリエステルか、企業努力で金額差は2~3万円まで縮めることができたがそれでも価格で選ぶ人が多く、良質なドレスを着て欲しいという自分の理想とお客様のニーズが合わないことがショックだった。でも主役はお嫁さん。お客様第一を貫いている。

現在は、花嫁をより美しく魅せたい!と、ドレスを着用する式場の家具や雰囲気などの下見を行い、より引き立つようにトータルコーディネートしたり、お二人の希望を聞きながら演出、進行、装花などすべてトータルコーディネートする。会場だけではなく希望があればお寺や船上での式も手掛ける。


夫と共に奔走する日々。お客様の声に応え続けた16年間

実は旦那さんも小山さんの独立を機に退職。現在、同じ事務所で別々のウエディング関連企業を経営している。小山さんはドレスデザインなど個人向けの演出とプロデュースを手掛け旦那さんはホテルや専門式場向けの演出と販売に携わる。

起業と同時に子育てもスタート。双方の両親は子どもを預かり、ご飯を作って帰宅を待ってもらうなどサポートをしてくれた。夫婦で家事分担は特になし。夫と子どものマネジメント方法は、放ったらかして自由に個性を発揮してもらうこと。あまり干渉しない代わりに、こちらも放っておいてほしい、そんな小山さんは夫と子どもから「宇宙人」と呼ばれるという。

「餃子屋」を開業希望だった夫を説得してお互い同業で起業。特にお互い不安は感じなかったそう。「互いが忙しく、何も考えていなかった。今思えば無謀だったのかもしれないが」と笑い交じりに答える。創業当初は起業セミナー時代の知人のつてでテレビ局を紹介して取材してもらったり、口コミなどで皆に助けていただきながらお客様の声に応え続けた16年間。最近の挙式はお金をかけず新郎新婦の2人らしさを大切にしながら、親しい人だけを呼ぶというニーズが高まっているが、小山さんのスタンスは以前から変わっていない。常に自分の大切な人のウエディングをイメージし、お客様の希望をかなえることが第一に取り組んでいる。


「長崎」をテーマに。自分にプレッシャーをかけ新事業は始めるもの。

「長崎をさらに元気にしたい」と語る小山さん。ウエディング事業でここ数年スタートした新サービスは地元・長崎ならではのプラン。新事業を決めた際、周囲に自分の想いを宣言することから始めるのが小山さんスタイル。2012年に県のビジネスコンテストに挑戦し、長崎歴史ウエディングの企画で受賞した。企画の背景には、長崎らしいロケーションで挙式や写真撮影を求めるお客様の声が。もともとは県外出身の方も「住んだ思い出に写真を残したい」との声をうけ、記念感覚からも「長崎らしさ」に対するニーズは高いと感じた。観光施設や素敵な場所が多い長崎ならば、ブライダルで培った自分のノウハウと観光を合わせることができる、やりがいのある企画だと感じたという。和洋中といずれも提案ができる長崎というロケーション。地元を拠点とする自社らしさを出す一つの手段となっている。

コンテストには、自分にプレッシャーをかけたくて挑戦した。受賞が目的では無く「みんなの前で言うと、やらないといけなくなるので」と笑い混じりに答える小山さん。現状に甘んじず、挑戦し続ける意志の強さが感じられる一言だ。最近では、長崎の名所のひとつ、出島でのウエディングも実現した。手配や交渉などのステップを践むため形になるまで時間がかかるが、一つひとつを着実にこなせていることが大切だと感じている。

ハブ(つなぎ役)となり思いをひとつに。新事業は地元長崎県とコラボで県産品の県内消費の活性化。

長崎ならではの新企画・新事業はウエディング以外にも挑戦している。長崎の女性を元気にする為に起業家支援団体「B塾」の立ち上げや、本年は県と共同出資して県産品の愛用運動普及促進恊働事業を始めた。現状よりさらに地元の経済を活性化させるには観光客向けだけでなく、県民にこそ(特に20〜40代の女性に)県産品の良さを知ってもらい、消費を増やす必要があると数字やグラフィックで提案しながら数ヶ月、何度も協議を行い担当者に気持ちが伝えることができた。「県を巻き込むには信念と情熱、気持ちだけ」と小山さんは語る。現在では県だけではなく市や地元企業ともつながり、今後はさらに生産者も巻き込みながら面白い事業に育てていけると胸を張る。なんといっても自分が一番楽しんでいるそう。

最後に、小山さんからこんな話があった。60代以降は小さなカフェを営みたいというものだ。「のんびりと過ごせる空間を創りみんなが遊びにきてくれる場所をつくりたい。」業態は関係ない多くの人を巻き込み点と点を結んでいく小山さんの、飽くなき探求心が窺えた。