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編集部特別企画

女性社長.netのスペシャル企画や、女性社長をサポートしたい企業様からのお知らせです。

編集部特別企画2008.12.18 (木)

識者に聞く!
東京大学 工学系研究科総合研究機構
特任研究員 田畑 友啓さん

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「Copyright @2008 Realize-SE」
http://www.realize-se.co.jp/WEB/MEtop.htm


<PROFILE>
東京大学 工学系研究科総合研究機構 特任研究員。
前産学連携本部特任准教授。1997年東京大学で博士(工学)取得後、 UCSDのポスドク研究員として米国に渡る。2000年から研究員として米国ベンチャー 企業3社を渡り歩き、ITバブルが崩壊していく混乱を乗り切る。2003年東京大学 の任期付きポストに採用され帰国。以来任期付きポストでつなぎながら、今年度か ら東京大学「超微細リソグラフィー・ナノ計測拠点」の支援を中心に活躍中。
■リンク
同時多発変化連絡会議


変化を起こして、共有しよう。

今年の3月より東大の130周年記念の一環として各業界の有識者を集めた「同時多発変化連絡会議」を主宰する東京大学の田畑先生。各方面・分野で「変化」を自然発生的な動きで進めている方々の情報共有の場。この会を運営し、アメリカでのベンチャーや東京大学での産学連携コーディネーターを務めてきた経験から最近のビジネストレンドや女性がビジネスをはじめる為のヒントを伺った。
■第4回 同時多発変化連絡会議<2009年1月17日(土)>開催の詳細はコチラ

<まず100人を喜ばせるスモールビジネスから始めよう!>
ビジネス運営をする上で、ベンチャー企業とスモールビジネスの違いを理解してください。ベンチャーは短期決戦。お金を集めて急成長させるベンチャー。スモールビジネスは、まずお金をあまり使わず家族が食べられるレベルの売上げを目指すのが典型。アメリカは、起業・ベンチャーのイメージが非常に強い。しかし実際は、ベンチャー企業1社に対しスモールビジネスが1000社はあるのではないでしょうか。アメリカ人は、弁護士・税理士などの資格業だけでなく雇われない生き方を選択する人がいる。そしてフリーで働いているかと思いきや就職をしていたり。就職と独立が大学卒業以降常に天秤にかけられるくらい垣根がないんです。
 ポイントは、そこにビジネスはあるか。100人のマーケットがあればスモールビジネスが始まります。たとえば、スモールビジネスが集まる場所には自然にお弁当屋さんがきたり。そんなものです。日本でも主婦の方や就職先が見つからない人は是非自分の経験から100名に喜ばれることを目指して小さく始めてみるといいと思います。仕組み化の必要はありません。ビジネスモデルなど関係ない。単価は安いかもしれませんが仕事はすぐ始められるんです。100名に喜ばれたらその時点で仕組み化、フランチャイズ化を考えたらいかがでしょうか。

<スモールビジネスは「経験」を売ることがビジネスになる!>
そしてスモールビジネスは、「経験」を売ることが非常に大切です。自分の商品・サービスはどんな「経験」を売っているのだろう、と是非考えてみてください。最近では旅行でも「着地型ツアー」が流行っています。地元のことは地元民に聞け!と、地元ならではの珍味や楽しみを学べます。まず100人に「経験」を売ってみてください。
 私がここ2年買っている「経験」は、ファミリー農園です。子どもの情操教育の一環として「土を触らせてみたい」と思い始めました。行政が運営する市民農園はたくさんあります。私は、市民農園の「場所」ではなく、ファミリー農園で、子供と土を楽しみ食物を育てる「経験」を買いました。違いはサービスです。値段は年間33,600円で市民農園の約10倍。ですが農家からアドバイスがあり、道具も貸してくれるし種や苗も売ってくれる。忙しければ有料で代わりにパトロールもして対応してくれます。農家のノウハウ・経験をサービスとして買っているんです。お陰で、農園に顔を出す頻度は全て自分でこなす市民農園の半分以下。我が家ではスーパーで入手しにくい、赤紫蘇やメキシコ料理で使うシラントロなど含め10種類ほどの野菜を育て食卓でも楽しんでいます。

<女性研究者は子育てとの両立が大変。旦那さまを家庭に巻き込め。>
働きながら家庭も大事にするのは大変なことです。私にも、2人の子供と専業主婦の妻がいます。日中妻は家事が仕事。私は研究。でも家事と育児は24時間だから、帰宅したら家事も一緒にやると心がけています。周囲の男性も子育て参加型の人は結構いますよ。パートナー探しをしている人は、是非チェックしてみるといいと思います。一方、参加意識はあるけれど男性は「何を手伝ったらいいのか分からない」という人が多いんです。子供を産みたいと思っているなら、女性が男性に「育休とってね」と。また、女性にとってどんなに短い時間でもいいから「自分が一番やりたくない仕事だけ」お願いしてみてはいかがでしょうか?
  最近、「現代の家族経営協定」という本が出ています。農業分野では伝統的には負担が妻に偏りがち。昼間夫婦で農作業。奥さんは食事をつくる傍ら夫はビールが多い。お金を手にするのはまず夫。そんな不公平さの解消のため、家庭内雇用契約書をつくっています。給与を決定したりね。この試みの面白い副産物は、女性の経営意識が高まったことです。駅前で作った米をおにぎりにして売りに行くビジネスをはじめる女性が出てきたりするんです。副収入ですね。日常でも経営意識を持てばできることが結構あるのだと学ばされました。

<起業家を応援する村があったらいい。ネットワークを有効活用。>
アメリカには、スモールビジネス村がたくさんあります。郊外にはショッピングモールのようなところに100名規模でスモールビジネスの会社が集まっています。中でもシリコンバレーは有名ですね。NTTの中村孝一郎さんが言うには「シルコンバレーは野球場。プレーヤーがいて町全体で応援をしている」。ベンチャーが村として集まっているメリットは、シェアをすれば安くすむし、大家さんやスーパーのおばさんまで町中の人が「頑張りなさいね」と言ってくれる。
 アイデアが浮かんだら道具を揃えて家の一角で明日から仕事が始められます。100人を喜ばせるビジネスがあったらすかさずスモールで始めるんですよ。友人が言ってましたが、病院で車椅子生活している人が入院しながらビジネスを始めてしまったりします。 仮にパートナーが安定収入を得ているなら、失敗してもスモールビジネスを始めてみるといい。失敗のリスク幅だけは理解してくださいね。 事業拡大はその後です。手軽に初めて、撤退も早い。とにかくごろごろ入れ替わる。そして、「連携」していくこと。ネットワークをどんどん活用していくといい。集まっていることでシェアしたり応援者が出てきます。女性は対象を絞ることでありとあらゆる分野でつながることができる。女性経営者などで枠を決めることで網羅的なネットワークが作れる。強味を活かし、数が少ない分あらゆる分野に到達がしやすいよう「連携」を深めてください。