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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

クリエイティブな能力を引き出し、<br/>日本を変えたい
Interview vol.89

クリエイティブな能力を引き出し、
日本を変えたい

株式会社スティラート 大久保有希子 さん

http://stylart.co.jp/index.html

聖心女子大学文学部歴史社会学科卒業。文化出版局にて婦人雑誌編集者を経て渡仏。 帰国後、ビジネスコンサルティング会社勤務。フランス、イタリア、ベルギーなど数々の海外プランドの日本上陸およびビジネス提携に携わる。2000年より英国のバッグブランド、ANYA HINDMARCH 日本総代理店の立ち上げ、役員就任。 2002年、分社化により株式会社ヴィトラスを設立、代表取締役就任。自社オリジナルブランドを含む海外の婦人・紳士雑貨小物の企画生産、卸、小売りを手掛ける。2009年、同会社の代表取締役退任。 イギリス・ロンドンのSotheby's Institute of Art (サザビーズ・インスティテュートオブアーツ) にて"ART & BUSINESS"ディプロマコース修了。帰国後、アート各種のレクチャーや勉強会を企画運営ののち、2012年、株式会社スティラート設立。

誰もが持つクリエイティブな能力を引き出し、日本を変えたい

コンサルティング会社で20社以上の海外ブランド日本上陸やビジネス提携に携わり、その後アパレル会社を起業、オリジナルブランドの立ち上げも経験。現在は、誰もがもつクリエイティブな能力を引き出しビジネスに応用することで日本を変えたいと、アートを用いた独自の研修を手掛ける株式会社スティラート 大久保さん。大きくキャリアチェンジしてスティラートを設立した経緯や、人々の能力を掘り起こすのにアートを活用しようと思った理由、これまでにない新たなものを広めるための奮闘ぶりなど、たくさんのお話を伺った。

このままだと日本がダメになる。もっと自由な発想で仕事を

「日本のエグゼクティブに、もっと自由な発想で仕事をしてもらいたい」と、スティラートを起業した大久保さん。きっかけは、前職で大手企業との取引で「このままだと日本がダメになる」と感じたこと。新しい試みにチャレンジしようとせず、画一的に仕事が進められることに強い危機感を感じた。スティラートでは、個人や大手企業の役員向けにアートを用いて人々が本来持つクリエイティブな能力を引き出し、ビジネスに活用することを目的とした、これまでにない新しい手法の研修を提供している。
沢山のものがあふれて混沌とし、何が正しいのか分かりづらい最近の世の中で生き残っていく為には、価値がないものに新たな価値を作り出さなければならない。その為に必要なのが、クリエイティブな能力や感性を活かすことだ。“クリエイティブ”と聞くと縁遠いものに感じてしまう人も多いが、意外と誰もが何もないところから価値を生み出すことを日常的に経験している。ワードの文書作成もそのひとつだ。スティラートの研修によって、人々に「本来誰もがクリエイティブな能力を持っている」ことに気づかせビジネスで発揮することを目標としている。
しかし、これまでにない新たなものを広めるのは簡単なことではない。アートという新たな手法を用いたスティラートの研修の良さをより分かりやすく伝えるため、強みを探り、深みを与える方法を追求している。

キャリアチェンジで二度目の起業!これまでの経験や学びも活かす

大久保さんにとって、スティラートは二度目の起業。これまでに、コンサルティング会社でハウスウェアメーカーのアレッシィ社やオリーブオイルのサンタテア社など、20社以上の海外ブランド日本上陸やビジネス提携に携わり、英国のバッグブランドANYA HINDMARCH日本総代理店の役員に就任。その後分社化により経営パートナーと二人で独立し、自社オリジナルブランドを含むアパレル商品の企画生産から小売りに7年間携わってきた。エルメスのように後世にも残るブランドを作りたいと、オリジナルブランドも立ち上げ、アルパカやカーディガンのように羽織るショールなどヒット商品を手掛けた。
そんな大久保さんが、2012年大きくキャリアチェンジして起業。まったくの異業種だが、オリジナルブランド立ち上げでの「新しいものをいかに広めるか」という経験や、経営者として日々決断をしてきたことで得た「ものごとの本質を見抜く力」は活きている。「なんちゃって経営者にはなりたくない」という大久保さん。アパレル会社のように在庫を持つ商売は資金繰りに頭を使う。そこから学んだ商売の肝は「入金支払のタイミング、そして売上高ではなく利益率」。アートという感性を大切にするものを扱いながらも、ドライに利益を追求することも忘れない。

アートを能力を掘り起こすツールに。目利き力を養う

スティラートの研修で、能力を掘り起こすツールとしてアートを活用するのはなぜなのか。「価値があってないようなものの究極がアート」と大久保さんは言う。見る人によってはただの落書きやガラクタにしか見えないようなものが、ギャラリーでは驚くほどの高値がつけられるように、アート業界にはいいものを作り出すアーティストと、目利き力によって価値を作り出す人がいる。アートに触れることで、“本物”とは何かを考える目利き力が養われる。また、教育的なことの吸収には年齢が関係してくるが、「感動すること」に年齢は関係ないことも大きな理由だ。
NY在住のプロダクトデザイナー、アイシェ・バーセルと共に開発した、デザイン思考と手法をビジネスやライフスタイルに応用するコースワーク「Deconstruction:Reconstruction(解構築と再構築)」は、普段アートに馴染みがない人でも気軽に楽しめる構成だ。日本が変わるためには、まず企業のトップが変わる必要があると、大手企業役員向けの導入に向けて動いている。
研修を共同開発したアイシェ・バーセルをNYから招いて説明会も実施。昨年7月に70社、今年1月には60社に紹介した。当初40社としていた参加枠はすぐに埋まり、注目度は高い。しかし役員向け、アートを用いた手法の研修はこれまでにない初のサービス。新たな発想を柔軟に受け入れる先見性のある企業はどこなのか。今後の動きにも大注目だ。


大きく価値観が変わる時代。人の喜ぶことがしたい

大きく価値観が変わる時代といわれてきた。人々にとっての価値はお金だけではなく、生きがいや充実も重視されるようになりつつある。40代近くなってからは、自分のやりたいことではなく、人の喜ぶことがやりたいと思うようになったという。「アートは生活に欠かせないものではないけれど、アーティストとの架け橋になりたい」と、事業の柱にはならないが意義あることとして国内外のアーティストのマネージメントも手掛けている。
最近の一押しアーティストは、コーポリアムマイムというパントマイムのように体の動きで様々な表現をするパフォーマンスをするユニット。彼らのパフォーマンスを取り入れた研修も企画してみたいと考えている。例えば名刺交換をする時や、取引先にプレゼンテーションする時。どのようなしぐさを取り入れればより良い印象を作り出せるのかなど、ビジネスに応用することができる。
「根っからの仕事人間」だという大久保さん。最近読んだある本で、人間にとって最も多くの学びが得られるのは仕事だという内容に、「仕事人間を悲観することはない」と勇気づけられたと笑う。 クリエイティブな発想で仕事をする企業が増えたら日本はどのように変わっていくか、とても楽しみだ。スティラートの今後の取り組みに注目していきたい。