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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

専業主婦から社長に。<br/>家庭ごとに異なる家事をオーダーメイドで代行
Interview vol.86

専業主婦から社長に。
家庭ごとに異なる家事をオーダーメイドで代行

kiitos株式会社  廣瀬玲子 さん

http://www.associa-m.jp/

2008年に家事代行サービスを福岡で開業。“プロ”という言葉に敏感。小さな頃からバイオリンの先生の楽器をさわる手の動きに注目をするほど観察好き。7年間の企業勤め、専業主婦4年を経て家事代行サービスの社長として28歳で社会復帰。メディア取材などでも幅広く活躍中。二児の母。

専業主婦から社長に。家庭ごとに常識がことなる家事をオーダーメイドで代行

福岡・大阪でメイド・サービスを展開するアソシア・メイドサービスの廣瀬玲子さん。 20代で起業し4年目、2人の娘をもつ若手ママ社長だ。にこやかに大きな瞳を見開きながらハキハキ・テキパキと話す廣瀬さんは、若手ながらも安定感を感じさせる。小さい頃から看板マニアでビジネスを考えるのが好きだった元専業主婦が社会復帰して社長に、そして順調な成長を続ける経営の秘訣を伺った。

「家庭によって常識が異なる家事」福岡発のオーダーメイドで家事代行

アソシア・メイドサービスの廣瀬社長は、20代で起業し4年目の若手社長。 “オーダーメイド“でサービス提案をする為、お客様への事前ヒアリングが信頼のカギ。ポイントは掃除・家政婦仕事を1年以上経験した「現場感覚」ある社員によるヒアリングとアソシア独自の細かい「チェックシート」。潜在ニーズ・各家庭の家事へのこだわりポイントをしっかり見極めることができる。例えば「布巾の洗い方」。洗濯機のみ・漂白剤での除菌など、家庭それぞれに洗い方ルールが異なる。1家庭1人の担当制を徹底していることも安心材料だ。オーダーメイド提案をし見積もった案件はほとんど契約に結び付くという。
お客様は、週1回以上の定期サービス契約。「お金を払うなら満足いくサービスを受けたい」そんな顧客の高い要望に応える。夫婦とも経営者や医者の家庭など富裕層が多い。
実は廣瀬社長が業界参入した2008年、福岡の家事代行会社は10社ほどあった。サービス単価は東京が時間当たり4200円に対し福岡では1600円ほどが主流。廣瀬さんは、福岡でも質の高いサービスにニーズがあるはず!と同業他社に比べ単価を高く設定して家事代行業をスタートした。1年目はHPもなく口コミと紹介のみ。2年目にHPを作りコツコツ実績を積み上げ、業績は右肩あがりだ。

初期費用なしでスタートできる事業!専業主婦から社長に。

2008年、4年間の専業主婦時代を経て28歳の時に起業したきっかけは2人の子供を抱えて自立を迫られたから。10代の頃から商社や理美容の会社で7年勤めたのち、出産を機に退職し子育てに専念していたが突然の社会復帰。 起業を意識させたのは、身近にいたシングルマザー女性起業家の “豪邸に住み子供も海外留学”という豊かなライフスタイルだった。自分ももしかしたらこうなれるかも。年収300-600万でこつこつ働くか、最初は厳しいけど年収3000万も目指せる起業家か。年収3000万にかけた。「初期費用なしでスタートできるビジネスはないか?」とアンテナを張っていた頃、東京では家事代行サービスが非常に盛り上がっているという新聞記事を発見。「これかも!」と福岡の家事代行サービス会社で修業を始めた。
しかし3ヶ月で事件勃発。突然子供が白血病と診断され、即仕事を辞めて母子入院となる。自宅療養に切り替えることになるも仕事がないと暮らしていけない。そんな折、「家政婦さんを探している人がいる。あなたの事情も知っており子供を優先してよいから行ってみなさい」と知人から連絡をもらう。パート時代は時給1000円未満。自分が行けば時給3000円。短時間労働でも収入を確保できると二つ返事で「行きます!」と答えたのが、廣瀬さんの家事代行業のスタートだった。

同業他社に比べ高待遇。スタッフに求めるものはプロ意識

波乱万丈の船出となった事業だが、自宅マンションからスタートし1年後、福岡の中心地にオフィスを構えたことをきっかけに問い合わせは4倍に。4年目の今も成長を続けている。急成長はスタッフあってこそ。アソシアには多くの「家事のプロ」である主婦たちが社会復帰のきっかけを求めて登録している。現場スタッフは現在25-67歳、126名が在籍。家事経験が活きるだけでなく、求めるライフスタイルに合わせた就業が可能だ。社長の廣瀬さん自身、設立当初2人の小さな子供たちを抱え、お迎えのため15時には仕事を切り上げやりくりをしてきた。幼稚園の子供がいるから12時まで、扶養の範囲、フルタイム、週2日3時間だけ、など働き方は様々。オーダーメイド定期サービスのため、シフトも組みやすい。
アソシアのお客さまの要望は「どうせお金を払ってお願いするならとことんこだわって家事を外注できること」。スタッフの採用基準は、家事代行の仕事に誇りとプロ意識をもって応えられること。廣瀬さんが面接で大事にしていることは「履歴書の文字」だそう。アソシアでは、同業他社に比べて時給を高く設定している。お客様の要望にとことん応える人材を提供する廣瀬さんの、プロとしての意志の表れでもある。

お母さんの仕事は、家事大根?!信頼できる社員に支えられ次のステップへ

社名kiitosは、フィンランド語で「ありがとう」を意味する。設立してこれまで波乱万丈だったがお客さま、スタッフ、そして娘たちの“がんばってね“の言葉に支えられて乗り切ってきた。経営者は任せることが苦手な人が多い。ある経営者に、「感謝、感謝。任せることは不安だし、自分でやってしまいがちだけど、自分以上に会社を思ってくれる人もでてくると信じてみる。だめだったら調整すればいい」そんな言葉をかけられた。現在の社員たちは皆現場スタッフから登用しており、質問の仕方や着眼点がよくキラリと光る、信頼できる人たちだ。
今でも社長の廣瀬さん自身も現場を担当し、自宅は新しいスタッフの研修の場として活用しているため、娘たちにとって仕事は身近なようだ。娘が保育園で書いたお母さんの絵には、なぜか“大根”が登場!おそらく電話で「家事代行の・・・」と話している為、家事“だいこん”と理解していたらしい。娘たちが素直に育ってくれていて、姉妹で仲良くけらけら笑い合っている姿を見ると幸せを感じる。
そろそろ新しい事業にも取り組みたいと考えている廣瀬さん。資金力と安定性がついてきたことを活かし、社会貢献しながら収益のバランスも取れる事業を考えてみたいそうだ。30代前半の若手女性社長の今後がますます気になる。
※下は娘さんが保育園で描いた「かじだいこん」