fbpx

女性社長.net

  • メール
  • facebook
  • twitter
  • Ameba

限定情報をメルマガで定期入手!

女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

ポルトガルという題材を大きな木にした毛利さん
Interview vol.62

ポルトガルという題材を大きな木にした毛利さん

株式会社メルカード・ポルトガル 毛利宏乃さん

http://www.rakuten.co.jp/mp/owner.html

上智大学外国語学部を卒業後、リスボン万博の日本館職員として2年間ポルトガルに滞在。帰国後契約社員として働いた後、2001年に脱サラした夫と共にポルトガル専門ショップを立ち上げる。楽天市場等多数のネットショップに出品し、楽天市場では、2011年7月度月間MVP「食品ジャンル賞」、2010年楽天グルメ大賞(調味料部門)を受賞するなど、オリーブオイルをはじめとする商品で高い評価を受けている。また、プライベートでは小学1年生と2歳の子供を育てるママでもある。

ポルトガルという題材を大きな木にした毛利さん

「ポルトガル」という国との偶然の出会いを、時期とタイミングを味方につけて起業へと漕ぎ付け、約10年に渡って続けてこられた毛利さん。主力商品であるCARMオリーブオイルは今や、世界中のコンクールで多くの賞を受賞するなど高い評価を受けている。夫婦2人での事業展開や、子育てのこと、今後の目標などたくさんのお話を伺った。

大学の学科選択という偶然から夫婦でポルトガルに魅せられる

上智大学の学科選択時、それが毛利さんとポルトガルとの出会いだ。当時、ポルトガル語は一番マイナーな学科、この機会を逃せば一生勉強することもないだろうという理由からあえて選択。現地に1年間留学する機会を得て、1998年のリスボン万博開催の際には、日本館の職員として更に1年間働く機会もできた。のんびりとした風土や裏表のないはっきりとした性格でありながらきつすぎない話し方をするポルトガル人の優しさに、居心地の良さを感じた。帰国後、通訳の仕事をこなし契約社員としても働きながら、ポルトガルと関わりのある仕事を探していた。
一方、現在一緒に仕事をしている夫も、最初からポルトガルに縁があったわけではない。当時お付き合いしていた毛利さんに会いにポルトガルへ行った夫の健さん。そこで健さんもまたポルトガルに魅せられ、新婚旅行でも、再び現地を訪れるほどになっていく。宏乃さんと結婚して2年後、務めていたテレビ局のプロデューサーを退職、健さんの方から宏乃さんに提案し、ついに夫婦でポルトガル輸入業を開始する。「夫婦それぞれの、タイミングと偶然も含めた出会いが重なり、この事業がスタートできた」と宏乃さんは振り返る。

ポルトガルという国をどう日本で売っていくか?有名ECサイトで部門トップに。

ポルトガルの商品を販売していこうということは決まっていたが、走りながら考える日々が続いていた。最初は陶器等を扱ってみたが、リピート客には繋がらず食品にシフト。顧客が付くまでは2人でアルバイトをしながらの生活が続いた。
そんな中、アジア最大級の食の専門展示会フーデックスにサンプルとして届けられていたオリーブオイルに出会う。フルーティな香り、味わい、商品のレベルの高さは日本で販売されている品物とは全然違った。直ぐに販売ルートを開拓。それが、現在も太い絆で結ばれているCARMオリーブオイルの生産者であるセルソさんとの出会いだった。オリーブオイルに加えワインにも取り扱いを広げ、事業を始めてから2、3年後から徐々に軌道に乗り始める。ポルトガルでは生産者同士の結びつきが強い為、繋がりが重要なポイントだった。鍵となる人を通して生産者と輪が広がり、現在は商品毎に9名の生産者と繋がっている。
商品販売は、楽天市場をスタートに、ぐるなび食市場、ヤフーショッピング、アマゾン、独自サイトの計5サイトに幅広く掲載している。サイト毎に利用者数も異なり、楽天市場では、2011年7月度月間MVP「食品ジャンル賞」・2010年楽天グルメ大賞(調味料部門)を受賞できた。消費者のニーズを掴むことができたのは、ポルトガルという当時は未開拓の国の商品を早い段階で抑えたこと、それから美味しいオリーブオイルを探しているユーザーが予想以上に多く、その人達のニーズにCARMオリーブオイルが和食・洋食問わず幅広く使え、応えることができたから、だと毛利さんは考えている。


仕事も子育ても夫婦一緒、焦らず自分たちのペースで

消費者のニーズを掴んだことにより、毛利さん達の日々は忙しい。基本的には夫婦2人だけでの仕事なので、担当をポルトガル現地とのやり取りを毛利さん自身、システムやサイト上での対応、経営上の判断を夫というように分担している。夫婦だからこそ相手の空気感が解り仕事がやりやすい反面、いつも一緒の空間にいる関係上、毛利さんはたまにはそれぞれの世界が欲しくもなることもあるという。
現在小学校1年と、2歳の子育て中でもあるお二人。現状として今は計画を立てて、がつがつと働き、実行していくことは難しい。育ち盛りの子供達は病気になったり行事があったりと忙しいからだ。でも、毛利さんはそれでも良いと考えている。なぜなら毛利さん自身がポルトガルに出会い、夫もポルトガルに魅せられ事業を始めるに至った時のように、時期とタイミングはとても重要だと考えているからである。子供達が小さい時は、彼らに関わることを優先させ、そのできる範囲の中で、事業を展開して行きたいと考えている。
そんな多忙な日々。でもポルトガルへは毎年家族で行くようにしている。上の子供が学校にあがる前には、オリーブの収穫時期である秋に併せて行っていた。しかし今年は学校を長期に休んでいくことはできないので、渡航料金は割高だったが夏休み期間を利用して行ってきた。猪突猛進型の毛利さんと、マイペースな夫の健さん。2人のペースは、ポルトガルをベースに持ちつつ、創られていく。

ポルトガルと日本の架け橋になりたい

今後については、ポルトガルの商品を主力として扱っていくという軸はずらさずにやって行きたいと考えている。他の国は既に他の業者によってマーケットが確立されているので、参入しようとは考えていない。今売上の主力を占めているオリーブオイルとワイン、東日本大震災の後の需要の高まりに併せて輸入を始めたミネラルウォーターにプラスしてポルトガルへのグルメツアーや生産者を巡る旅行等を企画したり、国内の店舗を拡大したいとも考えているが、新しいことへの拡大を考えるとどうしても今の夫婦2人体制では人出が足りない。しかし、従業員を雇うということになると、当然ご本人やその家族に対して責任が発生する為、今後の事業規模とのバランス上、どのようにやっていけばよいか判断がまだついてはいない。
ポルトガルの国では、日本に対して「巨大なマーケット」「日本のマーケットと取引できれば大丈夫」というイメージがあるらしく、日本でのポルトガルに対するイメージとのギャップもあるが、毛利さんは今後も夫婦でできる範囲を守りながらやっていく予定だ。
一方、子育て上では色々な体験を増やす意味で2~3年子供と一緒にポルトガルに滞在してみたいという希望もある。毛利さんに同行して何回か訪れたことで、子供たちは生産者からは自分達の子供のように可愛がられ現地にすっかり溶け込んでしまっている。子育てを通して、そして事業でもポルトガルという国とのなんらか橋渡しをし続けて行きたいと、ポルトガルへの熱い情熱は変わらない。