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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

世の中にないビジネスを形にしたい。<br/>外国人をキーワードに移動に付加価値をつける。
Interview vol.1

世の中にないビジネスを形にしたい。
外国人をキーワードに移動に付加価値をつける。

ジャパンポートLLP 東 園絵さん

1974年生まれ。上智大学卒業。 早稲田大学大学院修了。 (株)三和銀行、ドイツ証券会社等を経て2005年10月にジャパンポートLLPを立ち上げ。 「旅行、出張」などの移動をお知らせするリリースサイトを運営。

世の中にないビジネスを形にしたい。外国人をキーワードに移動に付加価値をつける。

金融機関を中心に会社員経験をされてきた東さん。 落ち着いたソフトな語り口で、なぜ「外国人の移動」に着目したのか。アイデアの源泉を探ってきた。  

移動に付加価値を与える「Japan port」

本格稼動に向けて準備中のサイト「Japan port」は、海外から日本に来る人が自分の移動をお知らせするリリースサイトです。出発する前に「私は○月○日から○日まで、丸の内にある日本支社に出張します」「○月○日から○日間、観光で日本に行きます」といったお知らせ(リリース)をサイトに載せる。それを見た日本人は、どんな人がどういう目的で日本に来るかわかります。リリースを出した人に日本で会いたいと思ったら、サイトのフォームを利用して本人に連絡。こうして、日本を訪れる人と日本人との接点を生み出すのです。でも“出会い系”じゃないけれど、ネットだけではセキュリティに不安があるので、ジャパンポートLLPが東京・品川で運営している「ターミナルラウンジ」で会ってもらおうと考えています。「1対1で会うのはちょっと怖い」という人もいるでしょうから、ラウンジで開催するイベントに参加してもらえるといいですね。
小泉内閣時代に「2010年までに1,000万人の訪日外国人誘致」を実現しようと「VISIT JAPANキャンペーン」が始まりました。でも、頑張っているのは観光地だけみたい。せっかくこんなキャンペーンをやっているのだから、もっと日本人との接点があればいいのにと思います。移動は今まで“放置”されてきました。その移動に、人との出会いという付加価値を与えることが、ジャパンポートLLPの企業理念です。

「自分のアイデアを世の中に出したい」という思いが起業に踏み切らせた。

Japan portのアイデアは、証券会社に勤務していた頃から考えていました。海外に出張する機会は多かったのですが、仕事が終わったら同僚と会って食事をするという過ごし方ばかり。現地には私と同世代の人や、証券業界に興味を持っている人たちがいるはずなのに、接点がない。「現地の人たちとコーヒーでも飲みながら情報交換できたら、付加価値の高い旅になるのに」と思っていました。このアイデアをビジネスにしようと強く思い始めたのは、4年前に「ISCシンポジウム(現サンガレンシンポジウム)に参加してからです。これはスイスで最も古い国際シンポジウムで、各国の政界・財界・学術等の第一線で活躍している人たちがスピーカーとして参加。あわせて各国の学生も、エッセイを提出してパスすると、学生代表としてシンポジウムに招待されます。ディナーの時には学生だ表もスピーカーと話すことができるし、渡航費も滞在費もタダ。「これはオイシイ」と思って(笑)エッセイを提出し、学生代表に選ばれました。シンポジウムにはJapan portのビジネスプランを持っていき、スピーカーたちから意見を聞きました。その時、皆さんから言われたのが「アイデアは面白い。でも、どうやってお金をぬいていくの?」。それもあって、ネットだけではなくラウンジを構えて、イベントへの参加費などをもらうことにしました。これからサイトのアクセス数が増えていけば、ネット広告の仕組みもつくれるでしょう。
でも、お金を儲けるよりも「自分のアイデアを世に出したい」という思いのほうが先にありました。「起業ありき」ではなく「アイデアありき」。「このアイデアを何としても実現したい」「そのためには起業するのが一番いい」と考えたのです。起業しなくても実現可能であったなら、別の道に進んでいたかもしれません。自分が抱いていたアイデアをシンポジウムで多くの人たちに見てもらい、反応を得られたことがビジネスを始める大きなきっかけになったことは間違いありません。

ターミナルラウンジでの有意義な出会い

2005年にジャパンポートLLPを設立しました。LLPという形態にした大きな理由は、会社をてっとり早く設立できることです。今は資本金1円から株式会社をつくることができますが、それでも設立までにそれなりの経費や時間がかかります。いずれはタイミングを見て株式会社にしようと考えています。LLPは、参加メンバーの自由度も高いし、いろいろな面でフレキシブルな組織形態だと言えるでしょう。
2006年春からはターミナルラウンジをオープン。明治時代に建てられた洋館を不動産会社のサイトで偶然見つけたのですが、多くの人たちが面白がってくれて、パーティやイベント開催など様々なニーズが出てきました。そのため日本人と外国人のマッチングに先駆けた日本人同士、外国人同士のいい出会いがいくつも生まれたのです。たとえば、帽子のビジネスをやりたいという日本人女性に、イベントの時に商品と資料を展示してもらったことがありました。それがきっかけでベンチャーキャピタルに勤務している人と出会い、その人からアパレル関係の人を紹介してもらって、とうとうベル・コモンズで商品を発表したり、バーニーズに商品を置いてもらえるようになりました。

人との出会いに勝るものはない

ラウンジでは日本で働く外国人のビジネスミーティングも開催。日本でスムーズにビジネスを行うために、外国人ビジネスマン同士での情報交換がさかんに行われています。「この商品はどんなルートで販売するのがいいか」「この場合はどこへアプローチすればいい?」といった疑問に対して、アドバイスしあう。参加者は、一人で考えたり調べたりするだけではたどり着けないであろう有益な情報を得られるのです。自分が追い求めているニーズに合致した出会いは、人生まで変えてしまうほどの強烈さがあります。ネットがどんなに発達しても、人との出会いに勝るものはありません。帽子のビジネスを成功させた彼女は、当初ビジネスから撤退しようとまで考えていたのに、一つの出会いをきっかけにビジネスを成功させました。「人、物、情報が行き交う日本の港になるように」という思いを込めて「ジャパンポート」という社名をつけたのですが、早くサイトを稼動させて日本人と外国人とのマッチングにも本腰を入れていかなくてはと考えています。インパクトのある出会いを今まで以上に提供していきたい。
今の目標は、世の中になかったサービスを提供して、さらにそれが世の中に欠かせない価値あるサービスだと皆さんに認識してもらうことです。それまで存在しなかったサービスを、「あるのが当然だ」と思ってもらえるものにすることは大変だと思います。でも自分でビジネスをやるなら、みんながやっていることとは違うものを実現したい。いつもそう思っています。