fbpx

女性社長.net

  • メール
  • facebook
  • twitter
  • Ameba

限定情報をメルマガで定期入手!

女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

こだわり抜いたお煎餅を世界へ届ける<br/>つ・い・つ・い
Interview vol.103

こだわり抜いたお煎餅を世界へ届ける
つ・い・つ・い

株式会社つ・い・つ・い 遠藤貴子さん

http://www.senbeicafe.com/

大学卒業後、銀行、不動産会社などで勤務。会社の倒産を機に独立。ジュエリーショップを経て、2008年10月に株式会社つ・い・つ・いを設立。インターネット販売を行う傍ら、アークヒルズ アーク・カラヤン広場で毎週土曜10:00AM-2:00PMに開催される朝市、ヒルズマルシェで販売を行う。現在は、期間限定(2月16日~6月30日)で六本木ヒルズ(ウェストウォーク2F)にて、ワゴンショップ出店中。商品名は「つ・い・つ・い」(TWHY TWHY)

こだわり抜いたお煎餅を世界へ届けるつ・い・つ・い

商品にもパッケージにもこだわり、最高のお煎餅を追求し続ける(株)つ・い・つ・い 遠藤貴子さんに、現在、六本木ヒルズに出店中のワゴンショップにて、起業に至った経緯や商品にかける思いなどを伺った。

履歴書を書くより起業を選んだ

「履歴書を書くのが嫌になってしまって。」遠藤さんは笑いながら起業の理由をこう語った。学生時代からインターネット販売に興味を持っており、中国にジュエリーの買い付けに行きインターネットで販売したこともあるという遠藤さん。インターネット販売を仕事にしたのは、銀行や不動産などいくつもの職歴を経た26歳の時だった。
そして商品に選んだのはお煎餅。お煎餅をもっと若い人や外国の方に食べて欲しいという思いからだ。インターネット販売はそれに打ってつけだった。独立時、遠藤さんには既にTwitterのフォロワーが2000人程度おり、準備から販売に至るまでの半年から1年近くの状況をTwitterでレポートしていった。そのため、販売開始とともに多くの注文が寄せられた。
「世の中にないものはないと思っています。」と語る遠藤さんは、学生の頃から、旅行チケット一つ探すのにも、ちょっとでも安くいいものを、と妥協しなかった。ちょっとオタクなのかもと自分を評す。その、よりよいものを追求する姿勢が、今、商品販売に活きている。

世の中にないものはない。研究にかける熱い思い

商品へのこだわりは人一倍強い。今、遠藤さんは提携する工場と二人三脚で商品やパッケージの改良を重ねる。新潟の工場との出会いも、いくつもの工場に掛け合った末での賜物だった。
普通、お煎餅はくず米を使用するのに対してTWHY TWHY(つ・い・つ・い)は一等米を使用している。全てが手作りのため、同じ味をキープするのは難しい。焼き加減やふくらみ度合いが少し異なるだけで、売れ行きにもすぐに影響する。遠藤さんは商品が届くたびに自分の舌でチェックし、工場にフィードバックしている。
少なくとも半年に一度は工場に赴くが、電話やメールでの連絡は密に取り合っている。
工場もとても協力的で、遠藤さんの提案に積極的に対応してくれる。最初はFaxのやりとりだったが、六本木ヒルズに張り付く遠藤さんのために苦手なEメールも使ってくれるようになった。新商品の開発も一緒に行う。3月中旬にはハニー味を発売する予定だ。
遠藤さんのこだわりはお煎餅だけにとどまらない。お煎餅を包むパッケージにまつわる話は驚きの連続だった。例えば、シリカゲル。除湿を必要とするものには封入されているのが普通だが、「これは食べられません。」と書いてあるものが食べ物に同封されているのにとても違和感がある。と遠藤さんはその同封を許さない。工場と研究に研究を重ね、窒素注入のパッケージを考案した。
これは、海外まで発送しても崩れずに届けることができ、しかも賞味期限は、一般のお煎餅より長いという一石三鳥ほどのものだ。また、お煎餅は蛍光灯にあたると劣化してしまうため、外袋は遮光性の優れたものを使用している。

多くの苦労の末、出会えた客の笑顔

毎週土曜にアークヒルズ アーク・カラヤン広場で行われる朝市ヒルズマルシェに出店しており、2月からは六本木ヒルズ(ウェストウォーク2F)でワゴンショップを出店している。ワゴンショップでの立体的なディスプレーは、マルシェでの店舗とは勝手が違っており、苦労の連続だった。価格表も自分で作り、重い荷物を運ぶ。あまりの辛さに辞めてしまいたいと思ったことも。それでも六本木ヒルズのスタッフにアドバイスを受けながら、なんとかオープンにこぎつけた。
オープン当日、Twitterのフォロワーであった顧客が大勢訪れ、ワゴンショップの中で1番の売上だった。客の感想や意見を直接聞き、喜ぶ顔が見れるという、インターネットでは味わえない楽しさを感じた。
今回のインタービューも六本木ヒルズのワゴンショップに伺ったが、絶え間なく客が訪れていた。入り口に近く、冷たい風が吹き込んできたが、カイロや腹巻をするなど防寒対策を万全にし、1日中ワゴンショップに立つ。ヒルズマルシェでは、指先のあいた手袋を装備して臨むという。

外国人につ・い・つ・いのお煎餅を届けたい

TWHY TWHY(つ・い・つ・い)では、21カ国に海外発送を行う。選定基準は、EMSで食料送付可能な国だ。在日外国人が土産物として持ち帰ったケースもある。外国で日本のお煎餅を広めたい。外国人のリアルな反応が見たいと、海外に出店する夢を語る遠藤さん。出店したい場所はNEW YORK。
ワゴンショップでは、とても素敵なロゴが目に付いた。新潟の農家からあられが出来るまでのサイクルを表すものだという。また商品のパッケージも同じデザイナーのもので、
「おそまつさま」という意味にもなる松の模様があしらわれている。日本独特の控えめかつ気の利いた心配り。そんな細かいところにまで日本人の気の利いた思いが込められていることを知ったら、外国人は大喜びだろう。全体的に和のテイストを取り入れながら、若者の心をくすぐるかわいいデザイン。ステッカーにはフィンランド人のデザインが使われている。
TWHY TWHY(つ・い・つ・い)の商品は、研究熱心な姿勢、丁寧な物づくり、細かいところまで行き届いた心配り、全ての面において、日本を象徴している。是非、海外に進出し、誇るべき日本の心を伝えて欲しい。

(インタビュー/ライティング 杉田屋 まりえ プスパ・マルティアーニ・デルマ)