J300アワード受賞者に聞いた
アワード受賞後の変化と
これから起業する方へのメッセージ
前編
J300アワード(注1)受賞者のその後を追う、“J300アワード受賞者に聞く”インタビュー企画。各年度で受賞された女性社長にグループインタビューを行い、才能にあふれた女性社長の方々に、受賞後の変化、これから起業家を目指す方へのメッセージ等をいただいた。本記事は、2020年度J300アワード受賞者(6名)のインタビューをまとめている。
インタビューへご参加いただいた [2020年度J300アワード受賞者]の皆さま
[2020年度J300アワード] 【大賞】clean next代表 西山貴代さん/【準大賞】Amitie nori代表 小田賀子さん/Cotton代表 清水友恵さん/【後継ぎウーマン賞】有限会社Futaba代表取締役 荒川国子さん/【優秀賞】株式会社トライフル CEO久野華子さん/キッズプログラミング教室 IT Kids LaB 代表 伊牟田雅子さん
J300アワード受賞後、どのような変化がありましたか?
西山さん「J300アワードはちょうど出産で休業しているとき、先輩のお誘いで応募しました。J300アワードの受賞を通じて、他の起業家の方と繋がりを持つことができ、業界の方へのアピールにもなったと思います。受賞をFacebookでお知らせしたところ、まったく異なる業種の方から一緒に仕事をしませんかとお誘いを頂いたり、同業の大きな会社とのコラボレーションが実現し、影響の大きさを感じました」
小田さん「私もアワード受賞後、『主婦と生活社』の全国紙、『docomoニュース』や『ライブドアニュース』など、色々と掲載いただき認知を拡げる大きなきっかけとなりました。J300の受賞をどう活かすかは自分次第だと思います。例えば、受賞のエピソードを自社で発信したり、ブランディングの戦略をたてたり、J300アワードは全国展開を考える私には大きなステップとなりました。また、一番身近な人達への影響が大きかったです。スタッフや関係業者、身内、経営者仲間などが、私の活動を知って、自分への興味を示してくれることが一番力になりました。一般投票ではずっと一位ではありましたが、最後の1分まで粘ったことで人脈の大切さや仲間のありがたさに改めて心から気づきました。自分で限界を決めず、常に精一杯やることが自分の成長を促すポイントと常に思っています」
清水さん「私は3年前から事業を始めたのですが、J300アワードに出るとは全く予測していませんでした。もともとPRするのは苦手で、Facebookなどのアピールはできていませんでした。やっとこれから伝えていくという時に、J300アワードに参加し、客観的に改めて考えていくことができました。自分はこういう人間で、こんな事業をしています、と伝えられるようになり、広報していくことの苦手意識がなくなって、前向きにとらえられるようになりました」
久野さん「今回の受賞を通じて、自分自身だけでなくスタッフの、コロナの影響で落ち込んだモチベーションをあげることができました。ラグビーワールドカップやオリンピックなどを通じて順調に伸びていたイベント関連の事業は、コロナを通じて大打撃を受け、社内のモチベーションがとても下がっていました。そんな時期にJ300アワードに参加したのですが、応募の過程を通じて代表である私が挑戦している姿を示すことができ、この受賞によって『すごい!』と周りに言って頂けることができて、社員のモチベーションUPに繋がりました」
伊牟田さん「私はJ300アワードがきっかけで、南日本新聞に掲載いただき、自社制作教材の販売をしてくれないかというお声がけをもらうようになりました。また、青年会議所の推薦で、他の大会にもエントリーし、文部科学大臣賞の受賞も叶いました。現在は4年目で、現在事業を『のれん分け(フランチャイズ化)』していくことを予定しています」
With/Postコロナでの経営や将来のビジョンについてお教えください
久野さん「現在創業5年目で、1~3年目はイベントの翻訳業務の受注が多く入ってきてありがたく忙しい時期で、2019年までは右肩上がりでした。そんな状況は、新型コロナ拡大によって一変。今までやってきたことが無に帰るような状況になり、自分や社員のモチベーションも下がってしまいました。また28歳と若くして起業したこと、男性が多い業界であることもあり、『流行に乗って起業した』と色眼鏡をかけて不本意な形で見られることもしばしば。苦しみながら五里霧中でずっと頑張っているような気持ちでした。『今までやってきたことは何だったのだろう?』と日々悩む中で、J300アワードに参加したのですが、そこで賞をいただいたことで、自分もスタッフもモチベーションをあげることができ、また同業界の人たちの目線が大きく変わりました。J300応募や、投票の呼びかけは大変かもしれないけれど、その分得られるものはあると思います。また全国に仲間ができたのは、とても有り難いです」
荒川さん「私の美容室・婚礼の事業も、コロナの影響で売り上げが10分の1になりました。売り上げの減少を食い止めるために、助成金や新しい事業立ち上げ、ビジネス発展のために大学院へ進学など様々な活動を行っていたのですが、逆にスタッフからは『社長は何をやっているのか』『なぜ忙しいのか』と理解が得られないことが、しばしばありました。そんな状況だったのですが、J300を通じて、『なぜ私ががん患者の方のための新規事業を立ち上げたのか』など自分の想いやストーリーを、スタッフの方に伝えられるきっかけになりました。スタッフ自身もどうしてよいか分からない状態で、『新規事業が盛り上がったら既存の事業は切り捨てられる』という漠然とした不安があったようなのですが、それは誤解だったとお互いに理解しあうことができました。『何歳になってもこの人についていきたいと思ってもらえる人になりたい』と、この経験を通じ深く感じました」
これから起業する方へ~受賞者からのメッセージ~
西山さん「お伝えしたいことは2つです。1つ目は、チャンスはわかりやすくチャンスの形はしていない、ということです。何が自分を大きく飛躍させるきっかけになるか分からないので、目の前にきた仕事や学びを一つ一つ全力で行うことが大事だと思います。2つ目は、事業の規模やビジネスのすすめ方は、人生のフェーズで変わるということです。昔は子供より仕事という考えだったのですが、最近は仕事一筋ではなくて、ワークライフバランスや家族の時間も大切にしながら、事業を展開していきたいと思うようになりました。それぞれにあった起業のすすめ方を見つけ、実現してください」
小田さん「J300アワードに参加して、自分の周りの人が自分事のように応援してくれる、そういう人に囲まれていたことを知ることができ、とても励まされました。沢山応援してくれる方がいる一方で、私は『起業家は、自分のモチベーションだけでなく、自分を応援してくれる周りの方やスタッフの人生のモチベーションをあげ、彼らの勇気や幸せに繋げることができる』と思っています。そのように周りの身近な人たちも幸せにできることを意識して、どんどんチャレンジしてほしいと思います」
清水さん「J300アワードは通過点で、その後の挑戦が大切です。新しいことを始めるときは、常に自分で決めないといけません。チャレンジのタイミングが来たときは、掴むこと。挑戦しなければよかったなんて思う時はないと思います。新しいことにはどんどん挑戦して幅を広げ、自分の可能性や視野を広げていってください」
荒川さん「最近、みんなの笑顔のために動いていることを実感する機会が多いです。私たちは、みんなの土台となって、笑顔の懸け橋となれるように仕事をしています。そんな風に考えると、どんどん商品や企画のアイディアが生まれてきます。それをスタッフとカタチにしていくことが、私の生きがいです。何歳になっても現状満足せず、チャレンジを続けたいですし、皆さんにもぜひ頑張ってほしいです」
久野さん「ぜひ色々なイベントに参加する勇気を持ってください。全然障壁はありません。イベントに参加したり、知らない人に話しかけたりするなど、ちょっとした勇気が大事です。そんな勇気が出会いに繋がり、新しい学びに繋がります」
伊牟田さん「ちょっとした勇気は本当に大事だと、私も思います。私が創業するときには、特に勇気が必要でした。私のビジネスはこれからフランチャイズ型にすることを計画しており、冒険を共にしていただくフランチャイズのオーナー像は、実は女性を意識しています。夕方のほんのちょっとの時間でビジネスができる、ちょっとした勇気で女性社長になることができるような機会を提供できればと思っています。皆さんにも、ぜひ起業の勇気を持っていただきたいです」
―朗らかな笑顔で、力強く回答いただく起業家の皆様の姿に、J300事務局のインタビュアーも沢山勇気を頂き、皆様のように新しいチャレンジをし続けたいと思いました。お忙しい中、インタビューにご協力いただき、誠に有難うございました。株式会社コラボラボは、引き続き、皆様の今後のご活躍・ご発展をお祈りしております。
(注1)J300アワードとは、個性的でコラボの可能性にあふれた女性起業家を表彰、応援するアワード。
https://j300award.wixsite.com/2021
◇◇◇
■「J300アワード」受賞者インタビュー好評連載中!
2019年度大賞:株式会社こんにゃくラボ 岩崎真紗美さん
2017年度大賞:エイグローブ株式会社 小粥おさ美さん
2016年度大賞:菜桜助産所代表 堀田久美さん
https://joseishacho.net/interview/date/2021/