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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

2021年度【J300アワード】<br>受賞者&アンバサダー<br>インタビュー
Interview vol.118

2021年度【J300アワード】
受賞者&アンバサダー
インタビュー

ピオニエス株式会社 望月美佐(静岡)さん

https://joseishacho.net/member/entry19499/

2021年度 J300アワード
【準大賞】【後継ぎウーマン賞】※W受賞
「老舗旅館・若女将の温泉水革命! 人もペットも癒すで賞」

J300アワード受賞者のその後を追う、“J300アワード受賞者に聞く”インタビュー企画。
創業70年を迎える旅館の若女将、ピオニエス株式会社 望月美佐(静岡)さんインタビュー。
望月さんは、地域の大学と共同研究を行い、「温泉美人トマト」栽培、
ペット用温泉ミストなど付加価値の高い商品開発を行っている。

前代未聞! 農業未経験の旅館の若女将が、温泉水を使ってトマトを栽培

――温泉旅館の4代目若女将である望月さんが、新たな事業を始めた経緯について教えてください。

望月 はい、静岡県の焼津で蓬来荘という旅館を祖父の代から経営しております。3.11東日本大震災をきっかけに、今後、サービス業だけで成り立っていくのかという不安を感じ、経営資源を見直す中で、「温泉を入浴以外にも活用できるんじゃないか?」と敷地内に所有する温泉水に、入浴以外の新たな価値を見出だしていこうというところからスタートをしております。地域資源でもある温泉を活用し、できた商品を知っていただき、なおかつ、また静岡にお越しいただけるようなきっかけにしたいと思って、始めた事業になります。「温泉水に新たな価値を見出す」をミッションとし、ピオニエス株式会社を立ち上げました。

――具体的には、温泉を使ったどんな商品なんですか?

望月 現在、この事業は二本柱で、1つ目は温泉水を使ったトマト“温泉美人トマト”の栽培です。2つ目は、温泉水を使ったペット用品の開発と販売です。1つ目の“温泉美人トマト”というのは、静岡大学との共同研究でスタートをしております。「農業ド素人の旅館の若女将が、温泉水を使ってトマトの栽培をする」という前例のない、前代未聞の取り組みだったんですが、おかげさまで、今年5年を迎えまして、年間15トンほどのトマトを栽培しております。

――15トンのトマトはどのようなところで販売しているのでしょうか。

望月 地元で展開するスーパー様を主に、飲食店様などにも販売させていただいております。J300受賞の影響もあるかと思いますが、特にこの上半期というのは、たくさんのメディアの方に取り上げていただく機会をいただきまして、現在、“温泉美人トマト”の供給が間に合わないような状態で、生産量を増やす計画を立てているところです。
 日本は食料自給率が低いので農業従事者を増やしていって、今後は自給率を上げていくような下支えになるように、栽培のマニュアル化にも取り組んでおります。ド素人の私でもできるようにマニュアル化をしております。農業従事者が減少していく一方なので、未経験者でも作業ができるようなトマト栽培のパッケージを作って、今後は、栽培パッケージとして販売もしていきたいと考えています。

――2本柱の2つ目についてもお聞かせください。

望月 2つ目のペット用品開発・販売に関しましては、長年、麻布大学との共同研究の成果が実って商品化したものになります。おかげさまで、今年特許を取得しました! “テルマリズムアクア”というペット用温泉水ミストです。主にはペットトリミングサロン様でお取り扱いいただいていています。1本で全身のケアができて、無添加で毎日安心して使える商品がありそうでなかったものなので、今、そういった点をPRしています。日々のワンちゃんとの生活がより幸せになるお手伝いができるような事業にしていきたいと考えております。現在、販売店様も募集しておりますので、ぜひ広めていただけたら嬉しいです。






PRシートと、J300アワードの審査の一つ「WEB面談」の様子

ホフク前進でも1歩は1歩! 固定観念に囚われずに自由な発想で

--J300アワード受賞後、ご自身の中で変化したことはありますか?

望月 ブランディングについてより考えるようになりました。というのも、取材を受けたり、メディアでの露出が増えて、“温泉美人トマト”の認知度があがってきたところで、パクリ商品が出てしまいまして! 県外から来たトマトが、“温泉美人トマト”という名前でデパートの物産展で売られていると、SNSのフォロワーさんが写真を撮って送ってくださったんです。とてもびっくりしてしまったんですが、顧問弁護士の先生に相談しながら、デパートにも相談して商品を下げてもらいました。仕事やお金につながればなんでもいいというわけではありません。こういったパクリ商品や、便乗ビジネスのようなものがあったことで、長期的な視野で自社商品が信頼していただいてリピートしていただけるようにするためにはどうするべきか、っていうところをより考えるようになりました。
 伝える力を身に着けようと思い、今もSNS等での情報発信を一生懸命頑張ってるんですが、これからも商品ができるまでのこだわり、想い、その先にあるお客様の生活にどんな風にかかわっていけるのか、ちゃんと自分自身の言葉で伝えていきたいという思いが強くなりました。

――J300アワードに応募にあたり、PRシートを作成していただきましたが、作成してのご感想は?

望月 自分の頭の中で考えていたことではあったんですが、言語化すること、可視化することで、より明確な指針になったと感じています。特に、ミッション・ビジョン・バリュー、MVVと言われるところは、従業員や社外の方にも、自分の目指す方向性を示すことで、ベクトルを同じにすることができたので、非常に良かったなって思ってます。
 また、MVVがぶれてると意味がないので、掲げたMVVに対して、自分の行動が一貫しているかを俯瞰してみるように心がけるようになりました。そういう意味でも、可視化でき言語化できたことは良かったなって、改めて最近感じています。

――PRシートを書いて約1年、掲げた目標はどのような進捗状況ですか?

望月 “温泉美人トマト”のコラボがいろいろと進んでおりまして、10月24日にコラボのスイーツが発売されます。「地元、地域の名産を盛り上げていこう!」という熱意を持った方たちと共同でいろんな商品を作っています。今回もご縁をいただいて、温泉美人トマト、それから地元焼津の鰹節を使ったチョコレートが発売されることになりました!

――想定を超えた形でのコラボレーションが進んでるということでしょうか。

望月 そうですね、ありがたいことに今年の夏は商談をお断りすることが多く、「申し訳ない」という気持ちと「商機を逃してる」悔しさが…。設備が整わないと生産が難しい商品なので、すぐに生産量を増やせないもどかしさはあります。

――最後に、これからJ300アワードへ応募される方へメッセージをお願いします。

望月 コロナで日常が変わって、変化を求められる時代。制約が多いこんな時は、柔軟性のある女性の方が動きやすいんじゃないかなと思っています。またSNSでは共感が求められ、共感を得ることが商品のヒットに繋がるという時代です。この共感っていう感性こそ、女性が得意とする感覚ではないかなと思ってます。
 まずは1歩を踏み出してみる。その1歩がまた次の1歩に繋がると思う。私の場合は、ホフク前進ですけど、1歩は1歩ですので! 固定観念に囚われずに自由な発想で進んでもらいたいです。女性のそういった頑張りは、同じ女性としてすごくパワーをもらったり、刺激を受けるので、刺激をたくさんいただきながら、私自身、もっと頑張っていきたいなって思います。




実は2度目のJ300アワードチャレンジだった!? 高い壁とハードルは“乗り越えられる人”だからこそ!(J300地域アンバサダー:内田美紀子さん)

――望月さんをJ300アワード静岡から推薦された経緯、望月さんへのメッセージをお願いします。

内田 実は望月さんは、以前にもJ300へのお声がけをさせていただいたことがあるんです。残念ながらその年は、J300静岡代表には選ばれなかったのですが、その後、3.11をきっかけに、新たにペット関連の商品にチャレンジしていると聞いたときに、これは絶対にいける! 全国に通用する! と思ったんです。周りが応援したくなるような理念でやってらっしゃるので、全国に広めていったら応援者も増えるんじゃないかと思いまして、昨年度のJ300にチャレンジしていただきました。
 PRシート作成時は、想いもネタも豊富なので、どこを抽出するか…とアドバイスするときにすごく迷いました。望月さんご自身にブレないものがあるので、客観的にPRすべきところと、具体名があった方がよいところなどを書き直していただいたものって、本当に完成度が高く、素晴らしい。
 多分、乗り越えられる人だからこそ、神様が高い壁とハードルを用意しているのかもしれないのですが、望月さんが何かしようとすると、農業参入への壁とか、いろんな壁が立ちはだかるんですね。でも、望月さんは、ものすごく粘り強くて、結局、ちゃんと実現させちゃう。アンバサダーという立場ですが、実は、私がパワーをもらっているんです。望月さんのチャレンジを知ることで、周りの人も「チャレンジしよう!」という気持ちになれる、そんな方だと思って応援しています。次に何をチャレンジするのか楽しみな方なので、頑張っていただきたいなと思います。




【静岡県】J300地域アンバサダー:株式会社るるキャリア 内田美紀子さん

【メディア掲載】

◆2021年12月14日
エヌエヌ生命「経営ぺディア ® ~経営者のための知恵の種~」インタビュー
「温泉美人トマトを生んだ老舗旅館若女将のあくなき挑戦」
https://joseishacho.net/news/editorial/entry20677/

◆2022年1月24日
静岡新聞社『あなたの静岡新聞』
https://joseishacho.net/news/media/entry20643/

【出版情報】
◆2022年2月16日発売
「循環の叶え方: 決して自信があるわけでない私がなぜできたのか」
Kindle版/望月美佐 (著)
https://joseishacho.net/news/newservice/entry20997/

【登壇情報】
◆2022年2月7日
お茶の水女子大学主催『女性の起業が社会を変える』
▶https://joseishacho.net/news/entry20172/