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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

パン好きの中さんを魅了したベーグル。<br/>目指すは多店舗展開
Interview vol.90

パン好きの中さんを魅了したベーグル。
目指すは多店舗展開

まるなかベーグル  中淑子 さん

http://marunakabagel.com/

神戸生まれ兵庫育ち。1998年ユタ州立大学経営情報システム科卒業。KPMGコンサルティング、ドイツ證券などで調査業務に従事。その後、神戸の中古機械専門業者にて海外営業を担当。2010年4月にベーグル専門店「まるなかベーグル」を起業。通販のみからはじめ、庭での販売会、飛び込み営業での販売など少しづつ販路を広げ、2012年茅ヶ崎に念願の実店舗をオープン。

パン好きの中さんを魅了したベーグル。目指すは多店舗展開

アメリカの大学在学中に出会ったベーグルの美味しさに衝撃を受けたという中さん。リーマンショックをきっかけにまるなかベーグルを立ち上げた。通信教育でパン作りを学ぶことからはじめ、念願の店舗をオープンするまでの経緯や、多くのお客様に愛されるお店作りのポイント、今後の展望などたくさんのお話を伺った。

形が目に見え社会貢献にもなることを。起業のきっかけはリーマンショック

湘南・茅ヶ崎でこだわりの本格ベーグルをつくり地元のお客様にも愛されている、まるなかベーグル中さん。ネット通販から始めて1年、2012年に念願の実店舗をオープンした。ベーグルに興味を持つきっかけとなったのは、アメリカ留学中に出会ったベーグル専門店。アメリカ人にとってパンはサブアイテム。サンドイッチにして手を汚さず中身の野菜を食べるためのもの。神戸育ちで美味しいパンに慣れ親しんでいた中さんには物足りないものばかりだった。そんな時、近所にベーグル専門店がオープン。店舗で焼き立てを提供しており、その美味しさに衝撃を受けた。
アメリカの大学卒業後は、コンサルティングや金融関連、海外営業などの仕事に就くものの、結婚してからは自分の思うような働き方ができず、もやもやとした気持ちを持ち続けていた。そんな時起きたリーマンショック。当時派遣社員として証券会社で働いていた中さんは、お客様の大切な資産があっという間に減っていくのを目の当たりにしショックを受ける。メーカー勤務のご主人に「形のないものを扱う業界の方が利益が出るのはおかしい」と長く言われていた意味を実感した。支店長から社員にならないかという相談を受けていたが、将来が見えなくても自分のやりたいことをやる時期だと思った。自分のやったことが形として目に見え、社会貢献にもなるようなことがしたいと起業の決意を固める。

1年間積み上げた通販の実績が、1号店の融資にもつながる

形があるものとしてパンを選択したのは、中さんだけでなくご主人もパン好きで、会社に勤めながら土日だけ修行したいとパン屋さんにお願いするほどだったから。夫婦二人で通信教育でパン作りを学び始める。パンは種類が豊富。専門店でないと勝負できないと、アメリカで出会い衝撃を受けたベーグルを思い出し特化することに。色々なお店を食べ歩いたり、通販で取り寄せたり、アメリカに戻って本場の味を確認したりと、自分たちが美味しいと思う味を研究した。
1年半の準備期間ののち、2010年まずは自社サイトを立ち上げ、メールでの受注生産を始める。2011年末にはご主人も会社を辞め、一緒に商売をすることに。製造はご主人、経営面を中さんが担当している。 自宅のバイクガレージを改装し保健所の決まりに沿って工房を作り、日曜日にはガレージで販売会も実施した。近くのドラッグストアに買い物に来た人が、中さん宅のパラソルを見つけて寄ってくれるなど、立ち上げ当初の売り上げは月10万円くらいだったが、地元でじわじわファンを増やしていった。1年後をめどに実店舗立ち上げを検討しようと考えていたが、ファンの増え具合で自信もついた。1年間こつこつ積み上げてきた通販の実績が信頼の材料となり、銀行から1000万の融資を受け2012年念願の実店舗をオープンさせた。

夫婦二人三脚!うまくやっていくために心がけていること

実店舗をオープンして客層も変わった。地元商工会で経営コンサルタントのアドバイスを受け、チラシを半径3キロ、車で15分圏内に配ったり、facebookの活用で認知度を上げた。週末はfacebookを見て遠方からわざわざ車で来てくれるお客様、平日は地元のお客様が多い。代官山や六本木の朝市にも出店したことで、お客様は全国に広がった。リピーターと新規のお客様の割合は、店舗6:4、通販では半々。売れ筋の商品は、店舗と通販では変わらず、販売会ではその土地によって傾向がある。横浜ではドライフルーツが入ったナチュラル系、代官山はチーズ系が人気だ。
店舗では、初めてのお客様はやわらかい食感、常連さんにはハードな食感が好まれる傾向がある。やわらかいものに全面シフトしようというご主人と、両方あってもいいという中さんの意見が対立し大ゲンカに。「お店をよくするため、お客様に喜んでもらうため」とことん話し合った。結局は両方作って選択肢を設けることで客層が広がる結果に。夫婦でうまくやっていく為に、気になることを溜め込まないことを心がけているという。
現在スタッフは5名。自転車で15分以内に住むご近所のママたちだ。シフト制で常時2名が製造・販売を担当する。もともとお店のファンでコンセプトも理解してくれているので、マネジメントで困ったことはない。まるなかベーグルの地元での愛されぶりが伺える。

地元密着ながらも全国に広がるファン。多店舗展開を目指す

地元のみならず全国からもお客様が集まる人気店となったまるなかベーグルだが、今でも食べ歩きをしたり、パン教室に通うなど新商品のネタ探しや味の追求は欠かさない。実店舗をオープンして知ったのは、卵・バター・牛乳にアレルギーを持つ人たちのニーズ。ベーグルはこれらの素材を使用しないため、安心して食べられることをもっとアピールしていきたい。
まるなかベーグルの強みはもちろん素材や味だが「それだけでは弱い。個人店の域を出ない」と中さんは言う。カフェも併設した形で多店舗展開を目指している。デパートから出店の話もくるが、現在の設備で製造できるのは最大でも1日400個。デパートで販売するには1日1000個は製造しなければならない。休みなくフル稼働するよりも、休みもしっかり確保しながら、郊外でゆったりと作りたてにこだわることで差別化を図りたいと考えている。その為には、設備投資はもちろんのこと人材育成の課題が大きい。今は自分たちの目の届く範囲だが、多店舗展開したらどうなるのか。お店のコンセプトをしっかりと伝えるためには、夫婦で修行したのちライセンスを渡す形式で家族一体となって頑張ってもらうのはどうかと考えている。次のステップに進むタイミングを見計らっているという中さん。これからも夫婦二人三脚で美味しいベーグルを届けてくれるだろう。