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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

ネット専業のお花屋さん。<br/>小さな会社でもネット上では大きな店舗に。
Interview vol.83

ネット専業のお花屋さん。
小さな会社でもネット上では大きな店舗に。

花プラス株式会社  浦中順子 さん

http://www.hanaya3.jp/

1969年花屋の長女として生まれる。関西外国語短期大学卒業後、リーガロイヤルホテル入社し一流のサービスを学ぶ。結婚を機に退社し実家のお花屋で8年勤務、1998年フラワーアレンジメントを追及すべくロサンゼルスへ。英語とデザインを学び、現地のフラワーショップで働く。2000年帰国、楽天にネットショップをオープン。2006年には最優秀店舗を獲得する人気ショップに。箱を開けるとバルーンが飛び出す「バルーンフラワー」が話題に。

ネット専業のお花屋さん。小さな会社でもネット上では大きな店舗に。

2012年度、Yahooショッピングで4年連続賞を受賞した「翌日配達お花屋さん」の浦中順子さん。楽天からスタートして13年目。「インターネットは女性の味方。インターネット上では小さな会社が大きく見える」と語る浦中さん。大阪府茨木市にある実店舗なし・倉庫のみの会社で7つのネット店舗を運営する小さな会社「花プラス」のアイデア満載の女性社長だ。ネット専業で活躍する会社の13年の軌跡とともに、「これからのスタートでも十分できます!」と明るく答える浦中さんにたくさんのネットショップ運営のヒントをうかがった。

4年連続でベストストア賞受賞!大手と肩を並べるネット専業のお花屋さん

2000年に設立して13年。花プラス株式会社は、大手と肩を並べるお花屋さんに成長し、Yahooショッピングなど大手ネットモールで支持され4年連続で花・ガーデニング部門ベストストア賞受賞を続ける会社になった。社名には「お花に“プラス(アルファ)”で幸せを提供する」、そんな想いを込め、思い出に残るお花ギフトを提供する。強みは、サプライズを提供する企画力とお客様のニーズを形にする力。「翌日配達」のサービスや、ロサンゼルス時代に出会った「バルーンフラワー」をお花屋さん業界の先駆けとして提供してきた。 箱を開けた時にふわっとバルーンが出てきてびっくり!とお客様にさらなる笑顔を“プラス“したり、お客さまが喜んでくださるようサプライズでホテルやレストランにも指定した時間にお花を届ける企画は人気のプランだ。
浦中さんいわく、インターネットでは「検索されなければお店が存在しないのと同じ」。 売りたいものを売るのではなく、「ニーズ=検索される=お客様の頭の中」に対する想像力が試されるのがネット店舗。2004年にスタートした「翌日配達」企画は、「明日届きますか?」というお問合せが多かったから。結果、今では楽天・Yahooのショップも『翌日配達お花屋さん』で部門トップクラスの売上を誇る。

スタートの月間売上3.7万。仲間との密な情報交換がきっかけで成長へ。

花プラスのスタートは、ロサンゼルスから帰国し、夫が起業したいといったのがきっかけ。 2000年当時ネットショップの流行り始め。楽天で100店舗目のお花屋さんだった。お花は知っているがネット音痴・機械音痴。人差し指でキーボードをたたく状態でホームページビルダーや本と格闘し、初月の売上は3.7万。ネットショップと並行で、個人がHPを作成するためのレンタルサーバーを近所に個別訪問営業する仕事で生計を支えた。3年が経ち、「どっちつかずではだめになる、一度ネットにかけてみたい」と真剣に向き合った。
当時を振り返り「同じ目的の友達さえいればもっと早くうまくいっていたはず」と語る浦中さん。転機はイーコマース事業協会との出会い。ネットショップオーナー同士の情報共有を月1セミナーで実施し、メルマガの打ち方やロゴの作り方、ページ切りというお互いのサイトを指摘しあう会を積み重ね、3年目で月商100万を達成。勉強会で得た知識をもとに、企画を出してはメルマガを配信、広告もうち3ヶ月後に300万を達成。楽天のお花屋部門トップセラー(当時)の成長につながった。
今でも協会での情報交換は欠かさない。通常のビジネスでも1年、ネットビジネスは3ヶ月で情勢が変わるからだ。商売をするなら人とのつながり、誰と出会うかが大事になる。

ネットは女性の味方。創業6年目の大失敗であらためてお花屋専業に!

ネットショップは女性の味方!と語る浦中さん。創業当時2人の子育てで大変。3人目の妊娠中にも勉強会に足を運んだ。朝4時に起きお客様へのメール対応。朝ごはん、保育園の送り18時半にお迎え。19時には喘息がひどいお子さんを連れ通院。集中して仕事した。だが保育園に送ってもたびたび具合が悪く家に戻る子供たち。仕事場にベビーベッドを置いて電話・メール対応をした。実店舗ではなくネット専業だからこそ、子育てしながら仕事がしやすかった。 6年目には大きな失敗も経験。月商300万を達成しお花屋部門でトップになった時期、一気に月商1000万を目指して健康食品販売にも乗り出す。1年で目標達成。しかし、ある日突然ネットモールから、「24時間以内に健康食品の販売を取りやめないと退店」の通知が届く。 在庫を多く抱え途方にくれた。従業員を他社に託す手配や自家用車を売ったり。涙をこらえて乗り超えた。
救われたのは、仲間から助けられたこと、複数モールで販売をスタートしていたこと、苦しくても取引先への支払だけはやめなかったので新しい商品の仕入れができたこと。当時人気だったグッズを仕入れビッダーズでバカ売れし助けられた。あらためて一念発起、お花のみで月商1000万を誓い達成したのが7年目。現在のネットお花屋さんとしての礎を築いた。

リピーター3割。新しい企画でさらに多くの人に笑顔をお届けしたい。

今も新しいアイデアを生み続ける浦中さん。ネットはすぐに真似をされるため他社に追いつかれないサービスを追求し続けている。現在、自社サイトも含め楽天・Yahoo・Amazon・Biddersなど7店舗のネットショップを運営。複数出店の理由は各モールでポイントを貯めたいあらゆるお客様との出会いを増やし、ひとつのモールへの依存を避けるため。販売商品はほぼ同じだ。サイトの特性により、更新を頻繁にする店・年に数度の売上を期待する店などメリハリをつけ対応。朝一番は自社用にカスタマイズしたシステムでお客様とのメールを一元管理して運営を簡素化。社内体制は、フラワーデザイナー部門とカスタマーサービス部門、WEBデザイナーが常駐。新規の企画は社内スタッフの反対に合うこともあるが、「これ!」と思ったら押し通し、バルーンフラワーも成功した。
リピーターは3割程度とネット専業の花屋として非常に高いが、さらに高めたいと語る浦中さん。最近の新商品は、ワインとお花のセットギフトや「バルーンの中にお花が咲いている」も!また“時短”のニーズも高い。現在東京23区限定で最短3時間で24時間指定宅配ができるサービスを実施、対象エリアを広げたい。信頼できる提携先や設備投資をしながらさらなる「花プラス笑顔を送り届ける」浦中さんのサービスに要注目だ。