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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

アジア途上国の女性をデザイナーに<br/>デザインを売る新しい切り口で世界を圧倒
Interview vol.76

アジア途上国の女性をデザイナーに
デザインを売る新しい切り口で世界を圧倒

株式会社ブルーミング・ライフ 温井和佳奈さん

http://www.bloominglife.biz/

ボストン大学国際関係学部および大妻女子短期大学国文学科卒業。 証券会社に3年勤務後、4年間のアメリカ留学を経て帰国。1998年「女性起業家コンテスト」にて第3位となり、株式会社ティス(TIS)を設立。Web構築からコンサルティングまで含め、Webのインテグレーション事業を12年間手がけた後、2009年4月に社長を退任。2009年9月、アジアの女性のための雇用創出や独立支援ができる社会事業を立ち上げるため、株式会社ブルーミング・ライフを設立。

アジア途上国の女性をデザイナーに。デザインを売る新しい切り口で世界を圧倒

アジアの女性の人生に花咲かせる「ブルーミング・ライフ」の温井さん。オリジナルのデザインで洋服をオーダーメイドで作るCHOCOTTOクチュール事業も展開しているが、現在はDREAM GIRLS Projectに注力。カンボジアの女性のデザインを世界に向けて発信している。今回はDREAM GIRLS Projectの事業内容を中心に、カンボジアでの仕事ぶり、今後の目標などを伺った。

アジア女性の経済的自立を目指す。2度目の会社設立で満を持して始動 。

アジア途上国の女性が、売春などではなく夢を叶えながら経済的にも自立できるようにするDREAM GIRLS Project。まずはカンボジアの女性たちが編み出したデザインを商品化し世界に発信しようと、ブルーミング・ライフ温井さんが2年前スタートした。
もともと幼少の頃みた映画「ルーツ」で途上国も含めたすべての女性の経済的自立に関心を持った。大学卒業後すぐは資金・経験・人脈をつくるためまずは証券会社に就職。留学を経て’98年にWeb会社TISを設立する。「インターネットって何?」という時代。業界全体が成長する中需要もあり会社は順調。しかし、12年間代表を務めた会社を「もっと感動することをしたい!」と役員に譲る。幼少からの夢、「あなたのおかげで人生が変わった!と思われるほどの大きな企画を実現したい」とブルーミング・ライフを設立した。
TISではリーマンショックで経営難も経験。受託仕事は不安定、身軽な体制が持続のポイント、など12年の経営経験がしっかりDREAM GIRLS Projectの仕組みづくりに活きている。また温井さん自身、4年間のアメリカ留学で、苦労した分目標達成の喜びがあることを知った。だからこそカンボジアの女性には同じ想いを味わって欲しいと思っている。

デザインの使用料が収益に。コンテスト、お店、学校の3つで持続可能なプロジェクト

プロジェクトの仕組みはシンプル。デザイン使用料が収益、一部をデザイナーに還元し、現地女性の経済的自立につなげる。商品化は自社開発ではなく、既存企業とのタイアップだ。カンボジアでデザインコンテストを実施し、勝ち残ったデザインを提供している。現在、韓国の家電メーカーなど今年3月以降3社と契約が決まり、すでに手帳など十数商品ある。すべてサポーターの方の紹介で、自ら営業に行く前に決まった。 「デザイン提供」に特化するメリットは、手離れのよさと持続性。パソコンでやり取りができ、利益は薄いが小規模な体制で機動的。受託ビジネスより、汎用的で持続可能な仕組みだ。
現在、やりたいことは3つ。才能ある人を見つける為のコンテスト開催。世界へ発信し資金を回す為のお店を持つこと。そして、スキルを取得する職業訓練学校の設立。この三つで持続的にプロジェクトが行える。この2年でデザインコンテストを2回、来年カンボジアにお店もオープンする予定。
資金調達のためなら寄付募集以外にも、何でもする。セレブに断捨離をお願いし使わない素敵なブランドものなどを送ってもらいバザーで資金を作ったり、イベント・カンボジアツアーも行うなどアイデア満載だ。現在従業員は3人。現地では日本人の方に事務所を間借りさせてもらうなど、ボランティアの方の協力があってこそ事業が成り立っている。


芸術レベルは高いが苦労も多いカンボジア。現地での評判は上々

カンボジアに注力するのは、「世界遺産のアンコールワットを見てアジアの中で芸術レベルが1番高いと確信した」から。まずは一国集中でビジネスモデル作りだ。もともとは定番の、裁縫など下請け仕事を発注していたが、カンボジア人は細かな作業は得意でも締め切りや品質を保つための調整が苦手。日本人の方が品質管理は得意。だったら逆にデザインを考えて貰う方が自由で芸術レベルの高い彼女達には向いている!と今の形を取り入れた。デザイナーになることが夢である現地女性は多いので、モチベーションも上がる。
日本と常識が違い驚くことばかり。仕事より家族が大切、締め切り前でも平気で定時に帰宅。郵便物もきちんと届かない。日本語も基本は通じない為、英語で資料作成し現地でクメール語に直してもらう。アポを取るのも一苦労、飛び込みも日常茶飯事だ。「話すと1日かかっちゃう」と言うほど障害だらけという温井さん。収益は1年でTISの最盛期の頃の1か月未満という。でも、本当にやりたいことだから気にしない。文化の違いも仕方ない、その国に合わせたいと締め切りも厳しくは設けない。
現地に合わせた仕事ぶり、カンボジアでの評判は上々だ。2011年に開催したコンテストではカンボジア女性201人からデザインの応募があった。第2回目の2012年には、現地の女性省の大臣も訪れ、テレビ局3局の取材も入った。現地での評価は、温井さんのやる気に繋がっている。


誰もやっていない切り口を探す。「アンコールワット柄」を作りたい 。

想いを形にするコツは、「一つだけでよいから誰もやっていない切り口を探すこと」。他とは違う魅力があるから口コミも広がる。逆に口コミをしてもらおうと思ったら差別化が必要だ。また、日本に需要があるものを生み出すことも重要。フェアトレードで途上国の名産品を日本で売るケースは増えているが、日本に需要がないことも。その点、かわいいものを好む日本人にとって、レベルが高いカンボジアのデザインはとても魅力的である。アイディアを生むためには、まず何か問題点に目を向ける。現地に行き、ヒアリングする。基本に忠実、今でも現地には頻繁に訪れる。
今後の目標は、世界に発信すること。ハワイのアロハ柄、のようなカンボジアの「アンコールワット柄」を作り、世界に発信、ブランド化したい。また、他の国にも転用できるよう仕組み化すること。商品化を前提としたデザイン柄を採用する契約企業を5社、50社、100社と増やし、安定的に商品が売れる状況を生み、途上国女性の経済的自立に繋げたい。ゆくゆくはアジア途上国から有名なデザイナーを誕生させたいと思っている。温井さんがブルーミング・ライフを設立したのは3年前。アジアの女性の経済的自立を目指す温井さんの取り組みはまだ始まったばかりだ。