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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

「エシカル=HASUNA」<br/>「美しさ」への徹底したこだわり
Interview vol.70

「エシカル=HASUNA」
「美しさ」への徹底したこだわり

HASUNA Co.,Ltd 白木夏子さん

http://www.hasuna.co.jp/

1981年鹿児島生まれ、愛知育ち。 2002年から英ロンドン大学キングスカレッジにて発展途上国の開発について学ぶ。卒業後は国連人口基金ベトナム・ハノイ事務所とアジア開発銀行研究所にてインターンを経験し、投資ファンド事業会社勤務を経て、2009年4月にHASUNA Co.,Ltd.を設立。エシカルなジュエリーブランドを中心として事業を展開中。 日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門受賞。 2011年世界経済フォーラム(ダボス会議)が選ぶ日本の若手リーダー30人に選出。 2011年AERA「日本を立て直す100人」に選出。 2012年Japan Venture Awards 中小機構理事長賞受賞

「エシカル=HASUNA」「美しさ」への徹底したこだわり

エシカルジュエリーを制作、販売するHASUNA。業界紙にも度々取り上げられ、百貨店のジュエリー部門では「エシカル=HASUNA」というほど、創業してわずか3年で業界では知らない人はいないほど浸透している。今回は、「美しさ」への徹底したこだわりや、学生時代に発展途上国の開発を学んできた経験、今後の目標などについて伺った。

貧困をなくすジュエリービジネスをしよう!現地を知っている強み

発展途上国の貧困をなくしたい。環境や社会に配慮したエシカル(倫理的な)ジュエリーを制作・販売している白木夏子さん。学生時代から5年間発展途上国の開発について学び、多くの国に直接訪れ、NGOや国連でインターンを経験した。
開発援助の限界も知った。開発援助業界の人だけでなく「一般人も貧困問題の解決に巻き込む」ため、ビジネスの側面から発展途上国諸問題に貢献しようと決め、まずは金融業界に3年間勤めた。代表取締役直下で働き、一般社員と経営層の意識の違いを実感したことや金融恐慌前後での会社経営の落差の経験も、現在の経営に活きている。
白木さんの強みのひとつは「現地を知っている」こと。HASUNAを始めてからも10か国以上訪問し、低賃金で働く鉱山労働者、生産者に直接会い現場の声を聴き、一緒に何ができるかを考えた。現在取引している国は発展途上国だけでも7か国。各国に信頼できる現地パートナーがいる。自身のネットワーク数百人以上を一つ一つたどって、地道に繋がりを探してきた。
「日本人として、ジュエリーの会社として出来ることは大きい」。自分の目で見た現地の情報を胸に刻み想いを馳せながら、エシカルジュエリーを制作・販売する。

「美しさ」の追求。 ジュエリーはもちろん、言葉も美しく。

「エシカル」という要素に加え「ジュエリー自体の美しさ」を創業時より追求している。HASUNAの感性、世界観を大切にしたデザインをと、白木さんと創業時からのデザイナー2名でクオリティを保つ。
美しさを追求するため、日々の「インプット」に余念がない。絵画や彫刻、建築、自然の中の美しさ、できるだけ質の高いものに触れ感受性を豊かにする。休日には一人でちょっとした旅に出ることも。週に1度はIT断食。情報の渦に埋もれないようにしている。白木さんが心に余裕を持つことは、デザイナーとして美しさを追求するためにも、HASUNAをブレることなく引っ張っていくためにも必要なことだ。
さらに「言葉の美しさ」もテーマのひとつ。ここ1、2年美しい日本語を使うことに力を入れている。言葉の美しさを追求するため、大きな書店で本を何十冊も購入。その中でお気に入りの本が「生物と無生物のあいだ」だ。一見、言葉と関係がなさそうだが文章が綺麗で気に入っている。「美学入門」もキーとなる本のひとつ。何かをインプットするとき、各ジャンルのベースになる本をまず手に取るのがポイントだそう。言葉の美しさがHASUNAの世界観を支えると白木さんは考えている。

ストーリーだけではなくお客さまの目線に立つことが愛されるブランドづくりの一歩

一方お客様と接するときは、「エシカル」といったHASUNAのストーリーを押し付けたりはしない。「身に着けたお客さまが輝くのはどのようなジュエリーか」、膝をつき合せてじっくり一緒に考える。あくまでもお客様目線で長く愛されるジュエリーをご提案する。
HASUNAの取扱商品のうち、ウエディング関連は会社を牽引する人気商品だ。アニバーサリー需要をきっかけにファンになったお客様が多い。中米ベリーズの貝殻、ミクロネシアの真珠、アフリカ・ルワンダの牛の角を利用したネックレスなど、石の種類も増え現在順調にHASUNAファンが増えている。
創業当初はネット販売のみで苦戦もした。「直接販売する場所が欲しい!」、と百貨店やセレクトショップ、展示イベントなど営業活動に奔走。ネットのみで売上が伸びず心が折れそうな時、理念に共感して親身にアドバイスをくれるバイヤーに巡り合え、新丸ビルや百貨店での販売がスタートし、HASUNAブランドへの信頼感も得られた。
現在リピーターによるネット購入も多いが、日常的に身に着けていただく提案ができる直接接客での販売が大事と考える。2011年3月には南青山に直営店舗もオープン。愛されるブランドづくりのための工夫を日々続けている。


安定したジュエリーの供給を!目指すは世界展開

愛されるブランド作りに奔走し、今目指すのは現地への仕事の安定供給だ。ルワンダ、ミクロネシア、パキスタン等の取引先での技術力や生産環境の向上に力を入れてゆくという。日本国内では直営店舗オープンを機に、従業員も12人に増えた。スタッフ間の役割分担を明確にすることで強い組織づくりを目指している。
創業3年はジュエリー制作、取引先開拓、現地とのやりとりで精一杯だったが、現在白木さんはジュエリーデザイン、執筆活動に集中している。今後の目標には、世界展開も視野に。HASUNAはまだまだ成長段階だ。
今後はヨーロッパ、アメリカをはじめとして世界各国での店舗展開を目指している。お客様に安心感を提供するため、積極的に正社員も増やし、強い組織作りを目指す。それと共に世界中のジュエラーやデザイナーと協力して、発展途上国小規模鉱山での児童労働など諸問題の解決に積極的に関わってゆく予定だ。
今年のHASUNAは変化満載。7月20日には名古屋栄に日本国内2店舗目の直営店をオープンさせる。1年以内に首都圏にもう一店舗オープンを目指す。今秋には著書も発売予定。夢は大きいが急がず着実に歩んでいく白木さん。美しさへの追求とビジネス側面からの発展途上国の貧困をなくすための道はまだまだ続く。