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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

日本発ジャージードレスで<br/>勝負をしかけた毛見純子さん
Interview vol.67

日本発ジャージードレスで
勝負をしかけた毛見純子さん

maojian works株式会社 毛見純子さん

http://maojian.jp/kay_me/

早稲田大学卒業後、ベネッセコーポレーションにて営業およびマーケティング、組織変革支援実務などを経て、プライスウォーターハウスクーパースで組織人事変革のコンサルティングを行う。 その後、ボストンコンサルティンググループにて経営戦略コンサルティングに携わる。2008年、事業開発と法人営業組織支援を手掛けるmaojian works株式会社を設立し代表取締役就任。加えて2011年7月自社事業としてジャージドレスブランド「kay me(ケイミー)」を創設。

日本発ジャージードレスで勝負をしかけた毛見純子さん

「ジャージードレス」をご存知だろうか。”ジャージー”の本来の意味は「伸縮性のある布」。世界ではかのシャネルが最初にレディスの服飾に用いたとされる。ジャージードレスとは、伸縮性の強いジャージー素材を使ったドレスのこと。 欧米ではオフィスで働く女性から「長時間着ても疲れない」と定評があり、ダイアンやイッサロンドンなど海外ブランド製品が有名だ。そこで、日本発ジャージードレスで勝負をしかけたのがkay meの毛見純子さん。商品へのこだわり、アパレルは素人同然だった毛見さんの”運命の出会い”、そして今後の目標についても伺った。

日本人に合うジャージードレスを作りたい

華やかで上質、日本人に合うデザインで、2~3万円台で買えるジャージードレスのブランドを作ろうと、経営コンサルティング会社代表の毛見さんは昨年春、「kay me」事業をスタートさせた。
きっかけは会社員時代の経験やクライアント企業を見ていて「どうして女性社員の服装は、女性らしさを閉じ込めるような暗い色が多いんだろう」と疑問に思ったこと。男性社会だから女性は目立ち過ぎない方が良いという女性の声にも一理ある。一方「同僚や取引先の女性は華やかなほうがいい。暗い服より雰囲気も良くなるし、思わず話もはずむ」という男性の声もあると知った。
毛見さん自身も仕事着そのままで会食やパーティに参加できる華やかな服は少なく、画一的な大量生産服ではもはや年齢や立場に不相応になってしまう。行き着いたのが、欧米系ブランドのジャージードレス。伸縮性があって長時間着ても疲れず、華やかで会食にもちょうど良いが、実は不満もあった。欧米系ブランドのものは丈が短かく胸元が開き過ぎでオフィスで着づらく、日本人に合う色柄の商品が少ない。しかも、1着が5~10万円近い高価格帯が多い。「じゃあ、私が作っちゃおう!」これがkaymeの始まりだった。

ブランド立ち上げの裏にはコンサル経験があった

kaymeの立ち上げには毛見さんの事業開発のコンサルティング経験が活かされている。アパレルのプロを巻き込む鍵となったのは「ターゲットユーザーの調査」と「銀座エリアの調査」の市場調査スキルだ。
まず20人の友人にヒアリング。「ジャージードレス」は認知度もニーズも高く海外ブランド製が人気の一方、値段やデザインに不満を持っていた。また、既存ブランドの製品調査も実施。従業員2名が数日間銀座のデパートとセレクトショップを回り13ブランド・426アイテムを調査した。結果、2~3万円台の価格帯でジャージー素材、デザインや色柄が働くシーンに適したものは1着もなかった。
ニーズと実情を盛り込んだ資料は、アパレルのプロたちを納得させる武器となる。「服飾のクオリティは『パタンナー』がカギを握る」と聞いた毛見さんは、さっそくSNSサイトでパタンナーに呼びかけた。想いとブランドコンセプトに共鳴したデザイナーズブランド出身のパタンナーが、大手専門商社をはじめとするアパレル業界の人脈をサポートし、さらにプロたちが集うこととなる。
大手商社の協力のもと数十種類のデザインをイタリアから版権を購入。オリジナルのジャージー素材に仕立てるなど大量に作らずともデザインを多様化することに成功し、働く女性に「華やか」で「楽」でいてほしいコンセプトが実現した。

有形への憧れが原動力。震災を機に一念発起

アパレル業界はファストファッションをはじめとし安い大量生産製品が席巻。本来の意味での『リーズナブル(=理にかなった)』『高い品質と美しさ、リアリティという価値を提供しつつ購入可能な価格に設定したリアルクローズ』を提供したいという毛見さんの構想は、決意から販売開始までプロたちとチームを編成することでわずか4ヶ月で店舗をオープンにこぎつけている。
実はアパレルブランド立ち上げの動機はもう1つある。”有形への憧れ”だ。「上海やニューヨークの博物館や美術館が好きでよく行く」と語る毛見さん。数百年前のものなのに破片を出土して、再現して展示されている。そして多くの人に存在を認知され感動させている数々の展示物。「そういうものを見ているとジェラシーを感じたんです(笑)。もし私がいなくなっても後世に残す主体的な事業をしたい。服の端切れだけでも見つかったら、『あいつが作ったものだな』って残る。そう思ったんです」これは、昨年の東日本震災を経験し、確信に変わった。
スピーディーな事業立ち上げとなった昨年7月の銀座店オープンから9か月、毛見さんの読み通りお客さまも順調に増えている。


リピーター続出でクチコミも広がる。kay meブランドをもっと発信

現在は社長や弁護士など信用を重んじる上に会食など華やかな場への出席が多い方々、長時間勤務ゆえに過ごしやすさを重視する医者や金融・IT関係などのハードワーカーが多い。「友達を一次、その友達を二次とするなら、今は六次くらいではないでしょうか」。外出先で「それどこの?」と口コミの輪が広がっている。お客さまからの「こんな多くの色柄を試したことがなかった。」「使い回しが効く」「ひとめで品質の高さが分かるが安い!」という高評価に日々勇気づけられているそう。
今後1年の目標はチャネルの多様化。現状はオンラインショップ、家庭画報でのカタログ通販、そして銀座の店舗(事前連絡制)での販売。会社や自宅へ試着用のドレスを最大5着まで届ける『試着便サービス』も便利で特別感があると好評だ。「近い将来、セレクトショップに展開したり、東京・神戸・大阪などで路面店を出したい。多忙な女性の為にオンラインショップも強化したいですね」と毛見さん。
3年後、ホノルルやシンガポール、ニューヨークなど海外での出店も視野に入れる。「景気が安定しているリゾート地は日本ブランドを世界中の人に見てもらえる機会」と位置付ける。コンサル出身の”異端児”毛見さんがアパレル業界を席巻する日も、そう遠くない。