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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

SEとしての経験、30代女性かつ母<br/>強みを活かしたガーデンづくり
Interview vol.61

SEとしての経験、30代女性かつ母
強みを活かしたガーデンづくり

テラス木蓮 泉真帆さん

http://garden-cafe.net/

1974年、宮崎県生まれ。東京工業大学理学部、東京大学大学院理学系研究科を卒業。2000年、外資系コンサルティング会社でシステム開発の仕事に就くが、1年半で退職。エクステリア&ガーデンアカデミー東京校全日制コースに入り、設計を習得。卒業時に「2003年エスビック株式会社 プライベートガーデンコンテスト」学生フリー部門入賞。ガーデン・ログハウス会社で2年勤務後、出産、育児に2年間専念し、2007年、個人ガーデン事務所を自宅にて33歳でスタート。

SEとしての経験、30代女性かつ母であるという強みを活かしたガーデンづくり

大学、大学院で理学を研究し、外資系コンサルを経てガーデンデザイナーとなった泉さん。学生時代の研究、SEとしての経験、30代女性かつ母であるという顧客と同じ目線でアドバイスできる強みを活かしながら、デザインから施工管理までを担当する。自主制作した「ママになって見つけた幸せな働き方インタビュー集」やセミナーなど自身を伝えることで、お客様と出会いたいという強い想いなどを伺った。

SEとしての経験がガーデンデザイナーの仕事に活きる

泉さんは大学院卒業後、外資系コンサルティング会社に就職する。しかし長時間かつ1日中ビルの中での勤務という環境に加え、仕事への違和感や目指すものが見えなくなり、1年半にて退職する。退職後、学生時代から興味があった環境問題に通じる「設計」を専門スクールにて学び、ママ友に興味を持ってもらったことをきっかけとしてガーデンデザインの仕事を始める。経営戦略や資金繰りなどの特別な準備もないまま依頼が入り始めたが、顧客にヒアリング、プロジェクトデザインし、制作するという過程はSEと今の仕事はほぼ同じだという。まだ世の中にないものをイメージで伝える難しさからお客様のイメージと細かい所でずれてしまうこともあるが、重要なのはすれ違いやトラブルが起こりそうになった際にリカバリーできるお客様との関係づくりだ。お客様との関係は、ガーデンを作って終わりではない。ガーデンから、お客様の夢を叶えるお手伝いをしていきたいと考えている。
また、前職の経験からWebへの取り組みはまだ浅いガーデン業界において、泉さんは綺麗なHPではなく、お客様目線で共感できるものを掲載する努力を続けてきた。その結果、大手のハウスメーカー系列の会社が多いなかで、現在は100%お客様から直接受注しており、HPを見て来てくれるお客様が殆どというところまで来た。

30代の女性という強みを活かし同世代の目線でガーデンづくり

仕事を始めた当初は、将来にわたって仕事を続けるための準備期間として週に2.3回の自宅作業だったが、1年経った頃からフルで働き始めた。しかし、いざフルで働こうと決めると思ったようにお客様が集まらない。新規顧客獲得のノウハウを学ぶためビジネスセミナーに参加し、半年ほど地道に課題をクリアしていくと、時間が経って結果が出てきた。HPもコンサルタントのアドバイスの基、リニューアルを実施するとその後コンスタントに問い合わせがくるようになった。
造園、ガーデン・エクステリア産業の社長は年配の男性が多いため、「30代の女性である」ことが強みになる。家を建てて2~3年経過し、家族共有のエクステリア部分に手を入れようかというご家族のご要望も女性のお問合せから始まることが多い。表札やポスト等も既製品を取り付けるだけではなく、ご要望と予算に応じてオリジナル品を含めて同世代の目線でアドバイスしている。
新規顧客獲得の方法もチラシのポスティングなど顔の見えない関係ではなく、自分という人を知ってもらえるセミナー・Webに重点を置く。セミナーはガーデンを題材としたものを中心に、イメージセラピーや女性のライフワーク講座など幅広い。お客様と接しよりよい提案ができるように、カラーセラピストやNLP(神経言語プログラミング)の勉強もしている。

働くママを応援し、緑溢れた地域の憩いの場所づくりを

自分を知ってもらう方法として泉さんが作り上げたものがもう一つある。2年前に自主制作した小冊子「ママになって見つけた幸せな働き方インタビュー集」だ。3歳の子供を抱え、自分自身、育児に迷っていたことや、これからママになる人の役に立ちたいと1年かけて制作した。大変でも思いついたらやらないと気がすまない。公民館で30部印刷し、子育てイベントで販売。お金をとるのかという人もいたが、子育てに奮闘するママはとびつき、完売した。子供が大きくなった次のステージの冊子も制作したい。セミナーや本で自分を知ってもらうことで、お客様を数字として見ていないこともわかってもらえると期待する。
育児をするなかで、孤独なお母さんが多いことから地域のつながりの重要性を強く感じた。埼玉県は核家族の数が多く、出産を機に退職する女性も多い。子供が大きくなるにつれ状況も変わる。自分自身、仕事と両立させていくためにも、地域のお母さん達の力になるためにも、地域の憩いの場所をつくりたい。緑溢れた家庭的な場所で、学校では教えてくれないおばあさんの知恵、アートなどを子供達に伝えるのだ。その一環として9月から「てしごとカフェ もくれん」という講座を始めた。親子でのランチ作りなど大人も子供も一緒に楽しめるものから、仕事、相談セッションなど大人向けのものまで幅広い。


エクステリアのオリジナル商品の制作、販売を新たな強みに

セミナーや本で泉さんの人柄を知り、依頼するお客様は多い。デザイン、施工管理は泉さんが一人で行うため、現在は2~3週間お客様に待って頂く状態だ。規模や顧客によっても違うが、依頼から契約まで3~7回程の打合せに数ヶ月を要するため、現在では平均5~6件が平行する。施工立会い・資材発注と泉さんの仕事は多数な為、デザイナーを目指す人にNo 2の存在になってもらい分担することが理想だ。デザイナーを何人も雇い規模を大きくしたいとは思わない。いろいろなデザインをする会社があるなかでお客様が好きなものを選ぶ方がいいと思う。
ガーデンデザイン会社では、材料費・工賃・デザイン料を大まかな原価として計算している。中でもデザイン料の決め方は難しい。デザインをサービスにする会社も多い中で、その状況を打破したく、泉さんは有料にしている。
不況の影響を感じる程規模は大きくないが、人口が減少する今、幅広い層を対象にしていくことが不可欠だと考えている。数が少なくお金が大きいという意味でのハイリスクハイリターンな仕事で、基本的にリピーターもないため、単価の安い商品の販売を始めたいと思う。インテリアと違い、エクステリアの種類は圧倒的に少ないので、選択肢を増やしコストを安くするためにもオリジナル商品の製作・販売をし、自社の強みにすることが目標だ。

(インタビュー&ライティング 杉田屋 まりえ)