fbpx

女性社長.net

  • メール
  • facebook
  • twitter
  • Ameba

限定情報をメルマガで定期入手!

女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

「働きやすく・育てやすい」社会を<br/>「デザイン」する
Interview vol.60

「働きやすく・育てやすい」社会を
「デザイン」する

株式会社スパルタデザイン 唐松奈津子さん

http://www.spartadesign.co.jp/

1979年生。お茶の水女子大学、デザイン専門学校を卒業後、(株)リクルートに入社。企画営業職として、住宅情報ナビ開設、住宅情報タウンズ創刊に携わる。その後、マネージャー職ならびにチーフディレクター職として、(株)ブックデザインへ転職。個人事業主として2年働いた後、2008年 株式会社スパルタデザイン設立。現在デザインの受託制作と“ママ・パパの在宅ワークを支援する通販サイト”【mammaniマンマーニ】を運営。3歳の子を持つ母でもある。

「働きやすく・育てやすい」社会を「デザイン」する

「デザイン」による子育て支援や女性の新しい働き方の支援をしているデザイン会社「スパルタデザイン」唐松さん。ママ・パパの在宅ワークを支援する通販サイト「マンマーニ」ではオリジナル新商品をリリースしたばかり。弊社運営の通販サイト「Wooooomen’s!」にも掲載していただいている。 会社設立と同時に発覚した妊娠や、「マンマーニ」について。唐松さんがとにかくこだわる「デザイン」とはなにか。そして、今後の展望について語っていただいた。

子育てしながら「働き続ける」会社と仕組みづくり

「スパルタデザイン」はHPやパンプレットなどの制作を主に受託しているデザイン会社。代表の唐松さんが個人事業主時代も含めると5年でクライアントは50社を数え、中には大手不動産グループなど、数千万円規模の長いお付き合いの大規模クライアントもいる。
唐松さんは、子育てしながら働くことを視野に常に働く場と組織を組み立ててきた。法人化したきっかけは前職のトップデザイナーが一緒に働きたいと声をかけてくれたから。2人の目標は「子育てしながら働き続ける会社づくり」。ただ目標がいきなり現実化する。スパルタデザイン設立(2008年)直後に2人揃っての妊娠発覚でスパルタデザインは幕をあける。「まさかこんなに早く妊娠が訪れるとは!」と驚いたそう。ただ、唐松さんは「すべてがご縁。流れに任せてきた」という。子育てしながら働ける会社に自然となった。さらに2人の妊娠のお陰で新事業まで生まれる。
現在運営しているママ・パパのための通販サイト【mammaniマンマーニ】は、二人の妊娠があったからこそ生まれたサイトだ。妊娠中、産み、育てながら働くことの大変さを実感。ママが「働き続ける」仕組みの提供、それがマンマーニだ。

ママのアイデアをオリジナル商品へ引き上げるデザイン力

マンマーニには2つの役割がある。「ママやパパだからこそ作れる商品を販売すること」、そして「オリジナル商品の制作をママ・パパさんたち(通称:つくママ・つくパパ)に在宅でお手伝いしていただくこと」だ。オリジナル商品として生まれた「チャイルドクリップ」は、子どもへの安全性にも配慮。さらに、かわいいデザイン20種類以上から選べることや豊富な使用方法の紹介で今やヒット商品となっている。現在つくママさんたち20人近くがかかわっている。
またママから生まれたアイデア商品は商品化への大きなヒントとなる。自信作のオリジナル新商品、「3WAYリバーシブルスタイ」もその一つ。リバーシブルスタイ、ループ付きタオル、おもちゃホルダーやよだれをキャッチするおしゃぶりホルダーとしての3種類の使い方ができるマンマーニらしさのあふれるアイデア商品。「つくママ」さんのアイデアをもとにチャイルドクリップの素材を利用しながら、デザイン力を活かしてバージョンアップ、オリジナル商品に仕上げた。アイデアが詰まっていて使いやすくかわいいオリジナル商品はやはり一番売れる。ひとつのアイデアを「売れる商品」に引き上げること。ここにスパルタデザインの「デザイン」への強いこだわりが深く関係している。


徹底したユーザー視点での「デザイン」が強み

とにかく「デザイン」にこだわっている。いいものだけをこの世に残していきたい。スパルタデザインという社名も“子どものよう”と表現する制作物をスパルタ式にブラッシュアップしていきたいという自分たちへの戒めだと語る。
母親が服飾の教師だったこともあり、小さなころから常にいろとりどりの布に囲まれていた。切手やポストカードなどの収集癖もあり、美しいもの、視覚に訴えてくるものに幼少の頃から魅せられていたという。高校卒業後の進路を考えたとき、自分は何がしたいのか、何が好きなのか、それをつきつめると「デザイン」だった。写真やデザインの専門学校に進みたかったが親の反対があり、大学進学と専門学校に通うWスクールの道を自ら選択した。就職・転職・独立の際も、デザインを極めることと、子育てと仕事の両立が唐松さんの選択基準だ。
デザインは「心遣いが全て。自分たちの仕事はサービス業であり、大事なのは“配慮”だ」と語る。美しいものはひとによって違うけれど、色の使い方、分かりやすさ、きれいだと感じるものは矛盾しない。全てに使う人への心遣いが表れる。その配慮が徹底したユーザビリティの追及につながり、売れるプロの商品を生み出す。


「デザイン」を活かし『働きやすく・育てやすい』社会づくりを目指す

いま最も注力しているのが「マンマーニ」。事業というより社会貢献の一環と考えていた。スタートしてみたら「つくママ」さんたちにとても感謝される仕事と実感。もっと商品数や販売量を増やし「マンマーニ」を育てることが、子育てをしながらも社会との接点を持ち続けたいと考えるママに今以上の支援ができると強く感じている。これから3年でマンマーニを売上で3倍、商品数は5倍に。現在デザイン受託が9割を占めている収益をイーブンにまでもっていくことが当面の目標だ。
また今後は「住まいと子どものデザインアドバイザー」を事業としてデベロッパー等の不動産会社と共同開発を試みたいと考えている。「住まい」を中心とした働き方・子育ての仕方を提案していく理想形が「はちのこハウス」構想だという。はちのこハウスは、真ん中にオフィスがあり、その周りにそれぞれの生活空間がある、職住接近の究極の形だ。多様な働き方・生活の一モデルと考えている。会社自体「住まい」であり、生活の中に仕事がある。すべてがブレンドされた環境づくりに貢献したい。居心地のいい生活と働き方を提案していきたいと語る。
スパルタデザインはこれからも新しい働き方、働きやすい環境を「デザイン」していく。

(インタビュー・ライティング/横田 響子 角田 大和)