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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

20年の経験をいかし、<br/>新しいことにチャレンジし続ける
Interview vol.52

20年の経験をいかし、
新しいことにチャレンジし続ける

有限会社モンクレール 數村 いづみさん

http://www.beautiful.co.jp/

地元福岡で短大、東京でデザイン専門学校を卒業後、エトワール海渡にて商品企画・サンプル作りを担当する。その後システムキッチン販売会社を経て、化粧品会社に転職。後に大ヒットとなる「魔法の泡立てネット」を考案し、30歳で有限会社モンクレールを設立。 現在は販促用OEM生産やPBの企画にも携わり、ハウスオブローゼなど有名ブランドを手掛けた経験もある。2011年2月にはジェルネイル専門店「イチゴネイルサロン」1号店を外苑前にオープンした。

20年の経験をいかし、新しいことにチャレンジし続ける

「魔法の泡立てネット」を考案し、大ヒットさせた數村さん。会社設立から20年経った今、働く女性を様々な形で支援しようと試みる。現在も進行中の「挑戦」と、その中で生まれた思い、今後のビジョンなどを伺った。

綱渡りのスリルが好き。次々と新しいことに挑戦する

30歳で会社を立ち上げ、40歳で家を購入。50歳でもう一つ会社をつくるなど、常に向上心を持ち、節目ごとに目標を設定して取り組んできた。何かと動き回ることが多いからか、周りからは「大変そう」という印象を持たれることが多い。しかし、「ぎりぎりのところを渡っていくのも楽しみの一つ。」そんな綱渡りのスリルが好きなのだと自覚する數村さんは、次々と新しいことにチャレンジする。
化粧品会社の営業をしていた頃に考案した「魔法の泡立てネット」は、累計400万個の売り上げを記録する大ヒットとなった。意匠登録も特許も取得しているこの商品。実は、そこから得られる利益はゼロだという。特許の使用料をまともに払う企業は一社もなく、コピー商品を裁判に持ち込むケースもある。
数々の裁判を経て數村さんが思うのは、もっと知的財産に対価を払う文化が日本で定着すべきだということ。また、アメリカでも特許を取得しているが、物流や関税の問題から販路が開けておらず、国絡みの規制にも緩和が必要だという。今後は特許や規制絡みの問題を解決することにも力を入れていく予定だ。


青山にネイルサロンをオープン。「サプライズ」によって価値が生まれる

モンクレールの経営と並行して、2011年2月には青山にネイルサロンをオープンした。コンサルタントの下で一年間学んだのち、座学で得た知識を実行に移してみたい衝動に駆られたという。10月の誕生日を一つの節目として、11月に企画書提出、12月にはお店を契約するというスピードで出店を進めていった。
「普通ではダメ。普通より優れた部分で価値が決まる。」そのような思いから、「はやい・やすい・うまい」をモットーに3,000円という破格の値段でジェルネイルを提供する。通い続けられる金額が大事だとの思いから設定されたこの値段。この分野に初めて進出する者の強みとして、早く安くできるメーカーのみをそろえることで価格を抑えることに成功した。
しかし、「やすい」「うまい」がそろっても時間をかけてよくできるのは当たり前。「この技術を、こんな低価格で、こんなスピーディーに!というサプライズが必要なんです。」そのサプライズによって、価値が生まれる。ネイルサロンの平均所要時間は2.5時間。働く女性にそこまでの時間的余裕はない。しかし、時間がない中でも女性はきれいでい続けなければならない。そのような働く女性を意識し、来店してくれたお客さんには時間とお金に見合った価値を提供することを重視している。

ネイルサロンの店舗拡大で女性の雇用を促進。機会提供にも貢献

3,000円という安さと従来にはないカジュアルさが好評となり、2ヶ月で登録者数は150人を超えた。元からの知り合いに加えHPやブログを見て訪れる人が増え、現在は新規登録者が半数以上を占める。今後の予測目標では、口コミのみで200人から300人程度を見込む。この店舗を皮切りに、50店舗、100店舗と展開していく予定だ。この店舗展開は、女性の雇用創出にもつながっていく。現在1号店で働くネイリストは5人。雇用形態としてはパートでも、フレキシブルな時間帯で働けるというメリットは大きい。ネイリストは一度職場から離れてしまうと腕が落ちる。しかし一日2時間でも携わっているだけでブランクの度合いはまったく違うという。このような働き方が進めば、より多くの女性に仕事を与えることができる。店舗が増えるごとに、その数に応じた人数を雇用できるのである。
パートタイムスタッフの雇用促進だけでなく、「いいものを見せる」という観点からフルタイムのスタッフを海外の展示会に連れて行くこともある。「いいものを見ることは重要。実際に見て経験しなければわからないことがある。」そう話す數村さんは、バブルの時代に自分自身が「いいもの」を見てきた経験をもつ。その時に得た感覚が、高品質を追究する今の姿勢にいきている。

今後の柱は女性のコンサルティングや伝統文化の継承

モンクレールは今年で設立20年を迎えた。數村さん自身は今後5年で徐々に引き継ぎを進め、ビジネスの総仕上げに入るという。新たに力を入れていきたいのは、女性のコンサルティングや子どもが伝統文化を学ぶ機会の提供である。 40歳を超えたとき、どう素敵な女性でいられるかを考え、出会ったのが着物だった。現在も週末は着物で過ごし、書道や茶道、箏曲にも通じている。最初は琴の演奏会などに行っても、他にやるべきことが浮かんできて落ち着かなかった。しかし、だんだんと音が心に響くことを実感。ゆっくり流れる時間を許せるようになってきたという。
現在の日本には、伝統文化に触れる場所が少ない。ビジネスから引退したあとは、子どもたちに日本文化を体験できる場の提供をおこなっていきたいと意気込んでいる。また、若手起業家たちのビジネスコンサルティングも手掛けていく考えだ。既に5人ほど抱えており、モンクレールやネイルサロンの引き継ぎと並行しておこなっていくという。
今後もやりたいことが多すぎると話す數村さん。「綱渡り」の人生はまだまだ続きそうだが、伝統文化そのものはもちろん、尽きることのない好奇心と向上心も、ぜひ次の世代に受け継いでほしい。

(インタビュー・ライティング/平原 紀子)