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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

在日外国人の頼れるお姉さん
Interview vol.48

在日外国人の頼れるお姉さん

Caroline Poverさん

http://www.being-a-broad.com/

1996年、24歳の時、来日。教師をする傍ら9ヵ月後には在日外国人女性向けの雑誌「Being A Broad」を創刊。『Guide to International Schools in Japan』(日本語訳版の『日本のインターナショナルスクール総合ガイド』も近日発売予定)の著者でもあり、2年間週刊STにコラムを寄稿し人気を博した。これまで国際的な女性コミュニティに対して行ってきた多くの貢献が認められ、 2008年には在日英国商業会議所よりベスト起業家賞を受賞。2010年、日本の女性のためのシリーズ本「Ask CAROLINE 」もはじめた。

在日外国人の頼れるお姉さんCaroline Poverさん

在日外国人のための雑誌「Being A Broad」を創刊するなど15年間日本で活躍を続け、今では在日外国人のなかで知らない人はいないと言われるCaroline Poverさんにお話を伺った。 「Being A Broad」の創刊に至った経緯、これまでの人生の転換期、活動の原点にある想いなどをお聞きした。

常に冒険を追い求める心が人生を変えた

Caroline さんは、24歳の時冒険を求め来日。15年経った現在も冒険を求め日本で精力的に活動を行っている。来日のきっかけは、「日本でいい教師の仕事が見つかるのでは。」という友人のちょっとした一言だった。お金も知り合いもない中、バックパッカーで来日。初日は、行くところもなく公衆電話で8時間過ごした。職を求めて次から次へと学校に電話をかけ続け面接のお願いをし、翌日、教師の仕事を得る。
日本で生活を始めたものの、病院の場所もデートに行く場所もわからない。インターネットもない時代、在日外国人が情報を共有するツールはなかった。特に外国人向けメディアは男性目線のものが多く、女性が必要とする情報ネットワークは発達していなかった。在日外国人女性のコミュニティをサポートするメディアの必要性を感じ、来日から9ヵ月後、Caroline さんは在日外国人女性向けの無料雑誌「Being A Broad」を創刊する。最初は、「Being A Broad」を常にカバンに入れ、道で見かけた外国人に配って歩くという地道な活動で読者を増やしていった。その後問いあわせもくるようになり、雑誌の読者がまたたくまに増えていったことから需要があったことが見て取れる。

人生の苦しいことも冒険と言い切ってしまうCarolineさんの底力

平日昼は都立国際高校で教師として働きながら、夜や土日で「Being A Broad」の著作活動に専念。給料を元手に「Being A Broad」を発刊する。想定以上に資金を費やしてしまったなどミスを繰り返しながらも改良を重ね、発行は今年で15年目。近年オンライン版も開始し、紙面、オンライン両方の媒体で情報を提供する。
来日から5年後の2001年、雑誌と同名の本「Being A Broad」を出版。出版にあたって200人以上の外国人女性にインタビューも行った。出版社に営業にいくものの、担当者は男性ばかり。自分の納得のいく出版物にするため、出版社Alexandra Pressを設立。そうした彼女のこだわり、行動力が、女性の支持を得ていく。
Caroline さんは、30代の若さで3度脳梗塞を起こしている。過労が原因にあった訳ではないが、それは、彼女の生活スタイルを変えるいいきっかけとなった。それまで20人のスタッフを抱え、いくつもの雑誌を創刊し休みなく働き続けていた生活を見直し、自宅に事務所を構え、広がっていた事業をスリム化。2004年に購入し収益をあげていた1970年創刊の在日外国人の情報雑誌「weekender」の事業も2008年に売却した。
日本で約15年間、外国人女性のコミュニティをサポートしてきたCarolineさん。皆が欲していたものを彼女は実現した。Carolineさんの活動は、多くの外国人女性の日本での生活を支えた。彼女は今、日本にいる外国人女性で知らない者はいない、と言われるまで広く親しまれている。Carolineさんは日本にいる理由を次のように話す。「日本は私のホームタウンよ。治安も気候もよく、人も好きね。日本ではたくさんの冒険が起こるの。」

「人々の力になりたい」それが活動の原点

多くの本を書き、出版物を発行し、日本全国で講演を重ねる。2008年には在日英国商業会議所よりベスト起業家賞を受賞したCarolineさん。彼女は優秀な起業家、ビジネスウーマンのイメージを持たれるが、本人はビジネスをしているという意識はない。「人々の力になりたい。お手伝いをしたい。」その思いが1番にあり、彼女にとってお金を稼ぐことは、その手段でしかない。
2010年、日本人向けのシリーズ本「Ask CAROLINE」を始めた。そこでは、ここでしか聞けない日本人からの“No taboo”な質問にCarolineさんが答えている。今まで300人もの日本人女性から質問が寄せられた。Carolineさんはこれを日本への恩返しの一つだという。確かに、外国人女性に興味を持ってはいても質問する機会に恵まれる人はほんの一握り。「Ask CAROLINE」はそんなニーズに応えてくれる。Carolineさんは外国人女性だけではなく、日本人女性も含めて女性同士の支え合いを目指している。また、「Ask CAROLINE」の男性版ともいえる新作も発刊予定。外国人、女性に関わらず、人を支えるのがモットーな彼女の新しい挑戦はこれからも続く。


後悔しない人生を。全てが冒険だから

「一生に一度しかない人生、たとえ明日死んでも後悔しないように今一瞬、一日一日を大切にして。人生は短いのだから仕事が嫌だったら変えてしまうこと」と言うCarolineさんは、今後の取組みについて、「先のことはわからないわ。だって全てが冒険だから。」と笑う。彼女にはきっとまた新たな冒険が待ち受けているのだろう。
24歳でたった1人でお金も持たず、誰も知らない外国に行く。そこで15年もその国に滞在し、知らない者はいないとまで言われるほどのコミュニティを築き、多くの講演を重ね、本を出版する。こんな人生が待ち受けていたなんて考えただろうか。「冒険を求めて日本にやってきた」と言うCarolineさんは、冒険が起こるのを待っているのではなく、自分で作り出していっているのだと実感した。これからも彼女がどんな新しい冒険を見つけ、挑戦していくのか楽しみだ。

(インタビュー/ライティング:杉田屋 まりえ)