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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

ノルウェーの女性起業家インタビュー
Interview vol.47

ノルウェーの女性起業家インタビュー

オンミ株式会社 グリー・ヴィーグレさん

http://www.onmii.com/

ノルウェー経営大学卒業後、1990年に26歳で会計事務所GG-Teamを創立、同社を2004年に売却後、Amesto Business Partnerを創立。従業員20名でスタートした会計事務所を200名を越えるノルウェーのアウトソーシング企業として五指に入る企業に育て上げた。2008年にEva Aunemoさんとコンビを組み、Onmii(オンミ)社を設立、自身は代表取締役に就任。

ノルウェーの女性起業家インタビュー

今回は「社会における女性のエンパワーメント」をテーマにした国際会議に参加するため来日されていたグリー・ヴィーグレさんに、ノルウェー大使館にてお話を伺った。大学を卒業直後から今まで、ひたすら経営者の道を歩まれてきたヴィーグレさんに、今までの経緯や、ノルウェーのビジネス界における男女のあり方について語っていただいた。

「オンミ」ジュエリー・オーガナイザー誕生のきっかけ

取材に訪れた編集部の前に用意されていたのは、見たことがないような物体であった。碁盤くらいの大きさの透明なアクリルボードに、蘭の花がいくつも咲いている。これが、オンミ社自慢の製品「ジュエリー・オーキッド:オンミ」だ。この優雅な見た目の商品の開発の背景には、多くの女性が抱える悩みがあった。
朝の慌ただしい時間。着るものがない!と叫びながらも、なんとか服のコーディネートを終え、子どもの支度を済ませ、旦那の服装チェックをし、さぁ、あとは今日の服装にぴったりのジュエリーを身につけて出かけるだけ。しかし、そんなタイミングに限って、お気に入りのジュエリーボックスの中はぐちゃぐちゃ。イヤリングは片方しか見つからない、ネックレスはあちこちに絡まっている。そんな経験をしたことはないだろうか。ヴィーグレさんは自身のそうした経験から、手作りのジュエリー・オーガナイザーをつくった。試作品は金網を使った粗末なものであったが、友人達に絶賛された。自分だけのアイディアで終わらせるのはもったいない・・・

簡単に、美しく、機能的に

長く会計士兼ファイナンシャルコンサルタントとして、多くの中小企業の栄光と挫折を見てきた。これはイケると思った。目指すは、「簡単に、美しく、機能的にジュエリーを収納できる製品」。装飾品のデザインなどを手がける、ノルウェーで最も有名なデザイナーの一人、Johan Verde氏と組み、いくつものプロトタイプを経て、オンミは花びらを模した「フラワーボタン」を使った「展示収納」という独特の形にたどり着いた。様々なジュエリーを何通りもの方法で飾ることができる。実際の様子は写真をご覧いただきたい。特許も取得したこの製品は、2009年にはノルウェーのインテリア・ショーにて「プロダクト・オブ・ザ・イヤー」の他、2010年には欧州の「レッド・ドット賞 特別賞」を受賞した。独特のデザインは評価される一方、初見では一体どのように使うのかが分からないという欠点がある。しかしこれは様々な工夫をしながら販売ルートを開拓し、解消していく狙いだ。


はじめの困難を救ったのは同じ女性だった

現在は中国で生産した商品をノルウェーを始め、スウェーデン、デンマークのスカンディナヴィア諸国で販売を展開しているオンミ。しかし、すべてが順風満帆だったわけではない。起業当初は協力を得られる投資家が見つからなかった。ビッグ・ビジネスにばかり目を向ける男性投資家の理解は得られず、オンミ社は結局ノルウェー政府の援助の他に、5人の女性から投資を受けることになった。また、海外での製造から生じるトラブルもあった。アクリルボードを製造する機械が国内にはなかったため、製造は中国で行なうことが決まっていたが、最初の数ヶ月は言葉、文化、品質と、あらゆる壁にぶつかったという。納得がいく品質の供給が得られるまでには、長い時間と費用が生じた。スロースタートに耐えることができたのは、それまでの蓄えと、たった二人の小さな会社であったということ、そして家族と社会からのサポートがあったからだ。なかでも、家族と社会のサポートの部分はノルウェー独特の部分も大きいという。
2007年の国連開発計画(UNDP)人間開発指数の経済的・政治的男女平等の項目で、ノルウェーは世界第2位にランクされている。男女平等の意識が高く、日本を始め、世界各国がノルウェーの政策に注目している。中でも特筆すべきなのが育児休暇の制度だ。ノルウェーの育児休暇は年々期間が伸び、現時点では56週間(賃金80%保障)または46週間(同100%保障)取得できる。そのうち10週間は、父親に割り当てられている。父親がこの育休を取らなかった場合、この10週間は育休期間が失われる仕組みだ。制度開始から7年になるが、いまでは男性の取得率は90%にもなる。最初は当然経済界などから反対も多かったが、「当たり前」になってしまってからはノルウェーの誇るべき制度となっている。また、ヴィーグレさん自身が出産を経験したのは、この制度ができる前のことだったが、出産後2年半は夫が専業主夫をして家庭を支えたという。15歳になる娘さんにとって、この「男女平等」は当たり前の価値観になっている。ほかにも、上場企業は役員の最低40%を女性にする「女性役員割当制度」という法律が2003年に作られ、2008年2月に目標は達成された。人口わずか480万人のノルウェーで、必要な労働人口を確保するためには必要不可欠だったというが、日本も見習う点は多いだろう。 しかし、日本にも誇るべき点がある。オンミは日本の「魅力」に惹かれて、次の海外拠点に日本を選んだという。

洗練されたマーケット、ジャパン

周囲の反対を押し切ってオンミがスカンディナヴィア諸国の次に進出する拠点に選んだのが、日本だ。ヴィーグレさんは日本は世界の中でも洗練された、チャレンジングなマーケットだという。ディスプレイや包装などのディーテイルから、サービスの質の高さ。消費者の肥えた目は、日本市場への進出を難しくするが、裏を返せば、日本で成功すればどこででも通用するとも言える。今後のオンミの日本での活動に期待したい。

(インタビュー/ライティング:鶴薗 美穂)