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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

上質なシルクのようにきめ細かく<br/>強靭なメッセージ
Interview vol.11

上質なシルクのようにきめ細かく
強靭なメッセージ

株式会社 ジョヤンテ 川崎 貴子さん

http://www.joyante.co.jp/

1972年生まれ。埼玉県出身。 短大卒業後、人材派遣大手パソナ入社。人材コーディネーターと営業職を務めたあと25歳で独立。 1997年10月、現在の人材紹介会社である株式会社ジョヤンテを設立した。

上質なシルクのようにきめ細かく強靭なメッセージ

経営者にインタビューして「とにかく理念」と強調されることは、実は滅多にない。むろんどんな企業にも会社理念は存在するが、これをずっと変えずに標榜し、10年かけて基盤を作ったのがジョヤンテの川崎貴子社長である。訥々(とつとつ)と語るその言葉には、女性経営者たちへのJOYANTE(スペイン語で上質なシルクの意)なメッセージがあふれていた。

創業から10年――そのすべては「まず理念ありき」にある

会社設立から10年が過ぎました。ここまで続けてこれたのは、「働く女性の成功と成長と幸せをサポートする」という理念に沿ってやってきたからだと思います。社会的な時代背景によって、働き方も幸福感も毎年のように変化しますし、個々人の考え方もそれによって大きく変わっていきますが、当社の理念である「成功と成長と幸せ」は、時代背景にかかわらず、同時に成り立つべきもの。
しかし、一般的に理念や信念がブレないというのは非常に難しいことです。それができたのは、私一人の独断で進めてこなかったことが大きかったのでしょう。必ず創業メンバーである取締役らの意見を聞き、最終的には自分が決断しますが、しっかりと彼女たちの声に耳を傾けてきたことが理念を曲げなかったことにもつながります。私はこうと決めると一人でも突っ走るタイプですが、両脇に創業メンバーがいて、抑えるところは抑えてくれました。周囲の人間に助けられてここまでやってこれたとつくづく感じます。

創業直後の大ピンチも経験。周囲に支えられ切り抜けました

もし私一人でごく普通にビジネスを進めてきたなら、5、6回は倒産しているのではないでしょうか。創業メンバーのひとりは現在取締役で、私とは幼稚園のときから一緒です。言うなれば幼なじみの間柄。もう一人の取締役はパソナ勤務時の上司だった人。大きな問題を私一人ですべてを独断で決めたことは一度もありませんでした。危機的な状況になると、外部の人にもアドバイスしていただいたり、いつも私は助けられてきました。こういう風に考えると、10年間会社をやって来れたのは特殊な能力などではなく、「人との信頼関係」に尽きます。
それでも、過去何度かピンチに直面することはありました。最初のピンチは設立半年の時。設立当初は人材業ではなく、e-Learning事業を手がけていましたが、マーケティング不足や開発費などがネックとなり軌道に乗せるのが困難だった為、スパッと見切りを付け、知識のある人材派遣業に移行しました。このときはきつかったですね。さらに1年後、創業メンバーの一人が辞めてしまったときも苦しい思いをしました。次いで女性社員がどんどん辞めた時は「なんのために会社を興し、ビジネスを展開しているのか」が分からなくなりました。最初のモチベーションは「一緒に始めてくれた創業メンバーを大切にしよう」だったはずですが、結果的にそのメンバーですら不幸にしている。もうやめたほうがいいのではないか、とすら思いました。その経験があったかたこそ、今の社会貢献となる理念が生まれたと思うので、無駄ではなかったと実感しています。

「派遣社員」の位置付けだけでは成長できない!

人材派遣ビジネスをしていると、多くの女性が、「もっと自分に合う、評価してもらえる会社があるのでは?」、「今の会社で30代、40代になっても働けるのか?」、「子供を産んだらもう辞めるしかない雰囲気がある」……など、キャリアアップについて様々な悩みをかかえていることが分かりました。
しかし仕事を長く続けようと思うならば、ビジネスマナーやマネージメント、企画書の書き方……身に付けていなくてはならない能力は山ほどあります。若いうちは派遣経験だけで通じるかもしれませんが、30~40代になったとき、それだけではとても通用しません。 20代のうちは正社員として働いてほしい。正社員であれば研修が充実し、責任ある仕事を通じて自分磨きができますから。そして30代になったら、身に付けたスキルを活かして、自分のライフスタイルに合った働き方を選択できるようになってもらいたい。当社が人材紹介ビジネスにシフトしていった背景には、社会で活躍する女性を増やし、幹部にもなり得る社員を増やすことで、より多くの働く女性を応援したいと考えたからです。

会社が常に変わっていくためにはまず社長が変わらねばならない

女性は縦の組織を作れない、と言われていますが、それは女性がお山のトップに立つ欲望が薄いため。しかし、私は社長業は女性に向いていると確信しています。
これからはセレクトショップのようなキラリと光る差別化した個性をもっている会社が勝ち残っていくでしょう。ただし「社長アイデンティティー」が強過ぎると、他社や人からの協力を得にくくなります。会社は周りとの人間関係があって成り立つもの。その点、女性は提携や協力関係を割と柔軟に構築していけるはずなので向いていると言えるでしょう。
今までの10年で地味ながらもしっかりとした基盤は作りました。これからは拡大路線も視野に入れています。5年以内には社員を50-60人に増やしたいですし、マイカンパニーにこだわらず、他社と資本提携をするかもしれません。これからが本当の意味で余裕を持ったいい仕事ができると思っています。土台がしっかりしているのですから、ドラスティックに事業を変えていくことも可能です。企業は変化が必要であり、そのためには社長自身が変わっていかねばなりません。起業したばかりであっても、部下や同僚に任せられるものは任せてしまい、自分が勉強する時間をしっかりと作るべきです。新しい事に目を向け、時代の流れを感じる。それが自分が変わっていくための必要条件でもあります。