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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

逆境に立ったときこそ人間の真価が問われる<br/>借金をバネにして誇りが会社を守り続けた
Interview vol.5

逆境に立ったときこそ人間の真価が問われる
借金をバネにして誇りが会社を守り続けた

株式会社 エミーズ 清水 恵美子さん

http://www.emys.net/

大学卒業後、保険会社で営業職、さらにバイクディーラーで企画部長を務め、1984年10月、現会社の前身である有限会社E&Fを設立し、レストラン「エミーズ」を経営。 17年ほど前からパーティ需要を中心とするケータリングビジネスに乗り出し、2006年、株式会社に組織変更するとともに社名を現在のエミーズに変えた。

逆境に立ったときこそ人間の真価が問われる。借金をバネにして誇りが会社を守り続けた。

設立からすでに23年の歴史をもつエミーズは今やインターネット検索でも上位に入り、知らない人はいない企業のひとつになった。しかし、順風満帆だったわけではない。月々の負債返済が150万円に上る苦しい時期もあった。「不器用な私がなんでもやるようになった。勉強、勉強の日々だった」と語るエミーズの清水恵美子代表取締役は、強い逆風を真正面から受け止め、さらにバネにしていった。悪い状況のときこそ会社も人間も真価が分かる。そのことを身をもって証明した清水さんに話を聞いた。

最初の転機――ヒントは米国N.Yで生まれたグルメブティックだった

1984年10月にスタートした有限会社「E&F」は、レストラン&バーの経営が主でした。私の実家は飲食店を営んでいてラーメン店と小料理屋がありました。そういった日常を見てきましたので、潜在的に私にはフードビジネスの血が流れていたのかもしれません。
レストランも儲かったことは儲かりました。でも、一軒、店を出すのに資金が4-5000万円から多いときには1億円近く必要になります。これでは拡大などできません。外食は実力も当然ですが、資本力が勝負といった側面を否定できません。外食で店舗拡大を急ぐ経営者はおおかた失敗しています。そういう私にしても倒産しかかった時期がありましたから。
最初の転機が訪れたのは20年近く前のことです。米国の雑誌などを見ていると、デリの寿司バーなどがニューヨークで流行し始めていました。惣菜もそう。宅配システムがこれからの新しい柱として大きな注目を集め始めているときでした。実際、私もニューヨークに飛び、つぶさに調べてみると、本当にデリで華やかなマーケットが形成されつつあったわけです。当時はグルメブティックと言っていました。そこで私もレストランのほかに何かデリ業態をビジネスにすることはできないか、と動いたわけです。それがケータリングでした。

バブルに踊って窮地に追い込まれたことも――撤退にも勇気が必要だった

無論、景気のいいときは価格の高いものから売れていきました。私が30代半ばのとき、バブル景気が訪れ、弁当店も好調、銀行はいつでもお金を貸してくれる・・・私もついつい拡大路線をひた走ることになります。日の出の勢いでした。社員もいつのまにか100人を超えていました。景気に陰りが見えてくると、いろいろなことが分かってきます。好調だったビジネスは、けっして社員や会社の実力ではなく、一瞬時流に乗れただけに過ぎなかったのです。
ピーク時は借金が1億円になりました。毎月、100-200万円の返済に迫られたこともありました。会社を経営していると1000万円なんてあっという間に消えていきます。事業を進めていても、採算がとれなければ負債になってしまう。商売の才覚がなければビジネスをやってはいけません。これは本当です。
撤退も勇気が必要です。投資が重なると、「引く」ことは難しくなっていきますよね。せっかくお金をつぎ込んだのだから…なんて思っていると負債は膨れ上がっていきます。勇気を持った割り切りは必要です。経営とはそういうものです。守りにも勇気が必要ですね。

オンラインオーダーを大胆に導入して大成功――必要なことはDream、計画、アクション

2度目の転機はビジネスへのIT導入でした。7-8年前でしたか、ワープロを覚え、パソコンスクールに通いワード・エクセル等の勉強をしました。そこにインターネットの時代がやってきました。他社との共同制作のホームページに相乗りしました。そこを見てのオーダーがボチボチと来るようになり、次は独立した自社のホームページを作って、オンラインで決済も出来るようになりました。考えられる手はすべて打ちました。毎日毎日、勉強して最初は失敗もありましたが、軌道に乗せることもできました。パソコン書籍は何冊も読みまくりました。SEO対策が重要な事を知りました。
オーダーはたくさん来るようになりました。ただ、横浜や千葉など、東京都心から離れた場所からも問い合わせが多くなってきました。これはもったいない、と思い、FC事業に乗り出すことを決めました。今後はまずこのFCシステムを伸ばしていきたいと考えています。9月には埼玉県川口に㈱アライ(酒販卸の会社)との提携によりこだわり食材を使った→デリ&ケータリングとの新業態のショップをオープンする運びになりました。モデルケース的な存在になればと思います。
起業するときは「お金儲け」だけではダメですね。独自のメリットや個性をしっかり提供できるかどうか。ようするにビジネスの中身がしっかりしていないといけない。あとは切り口です。なんでもかんでもできるようにするのではなく、強みをもつこと。ウチはあくまでもパーティ需要です。
大切なことは絶対に実現できると思うこと、自分を信じること。Dream、計画、アクション。この3つが揃わないと、ビジネスに成功はありません。

(取材・文 市川 徹)