大好きな犬の仕事で起業。
今後の目標は各地に拠点を増やすこと
1963年生まれ、大阪府出身。短大卒業後、商社での社長秘書や英会話講師の職を経てオーストラリアの大学へ留学し、現地の日系企業で勤務。12年間オーストラリアに在住。大の犬好きで、オーストラリア在住の際に犬の問題解消をするために飼い主宅に伺ってトレーニングを行う「バークバスターズ」に出会う。その後娘に日本語や文化を身につけさせたいと帰国。2003年より「バークバスターズジャパン」を運営。1000件以上の実績を誇る。
大好きな犬の仕事で起業。今後の目標は各地に拠点を増やすこと
「バークバスターズジャパン」を運営し、全国各地で犬の問題行動に悩むお客様の自宅に伺ってトレーニングを行っている川添さん。昔から犬が家の中と外を行き来する文化のオーストラリアで生まれた「バークバスターズ」のメソッド。20~30年前の日本では犬は庭など家の外で飼育されることが一般的だったが、最近は室内飼いが増え人と犬との関係性が変化したことにより、犬のトレーニングのニーズが高まっている。今年で会社を設立して11年目になる川添さんに、起業のきっかけや今後の展望などについて伺った。
彼と一緒にオーストラリアへ!バークバスターズとの出会い
「バークバスターズ」は、吠えたり噛みついたり落ち着きがないといった犬の問題行動を解消するためのトレーニングを世界8カ国で展開し、本部があるオーストラリア国内では40地域に拠点を持つメジャーな存在。川添さんは、オーストラリア在住時に利用したことがきっかけで2003年「バークバスターズジャパン」を立ち上げ今年で11年目となる。
オーストラリアへ渡るきっかけは、現在は夫となっているオーストラリア人の彼が帰国することになったから。短大を卒業後、商社での社長秘書や英会話講師などの職に就いていたが、いつか大学で学びたいと思っていた川添さんは、迷わず彼と一緒にオーストラリアへ。ブリスベンの大学で国際ビジネスを学んだ。結婚後もオーストラリアで日本長期信用銀行(現:新生銀行)、丸紅、三井物産といった日系企業で働いていたが、2歳になる娘に日本の言葉や文化を身につけさせるため日本に帰国することになった。帰国後の問題は川添さんの仕事。勤めていた会社から東京勤務の話をもらったが、子供の用事で肩身の狭い思いをしながら働くのもつらい。そこで思い出したのが、バークバスターズで起業すること。「大好きな犬の仕事を自分でやってみたい!」と2度ほど帰国して日本のペットビジネスをリサーチ。旦那さんも応援してくれた。
実は飼い主のトレーニング!問題行動の原因は人間の弱さ
起業までの準備期間は約半年。バークバスターズ本部との契約、創設者ダニー・ウィルソンから直接トレーニングも受けた。バークバスターズならではの強みは体罰や餌でつる方法ではなく、飼い主の意識を変えることによって犬自身に考えさせる独自のメソッド。「犬のトレーニングをしているようで、実は飼い主のトレーニング」だと川添さんは言う。
かわいい犬が側にいると、抱っこしたりつい構いたくなってしまうものだが、そんな人間の行動は犬にとっては弱さにしか見えないという。本来群れで行動する習性をもつ犬にとって、リーダーシップがとても大切。人間の弱さを感じると、自分がリーダーとして頑張らねば!と吠えたりするようになってしまう。人間は、強さと弱さのバランスを取りメリハリをつけなければならない。例えば犬にリードを着ける時、飼い主から犬に近づくのではなく、犬を呼び寄せるなど。飼い主がきちんとリーダーシップを取れるようになると、犬も安心するのか表情が柔らかくなるのを何度も目にしてきた。
最初は会社勤めをしていた旦那さんも今では一緒に会社を経営している。夫婦の役割分担は、旦那さんが本部とのやり取りやHP作成などのバックヤード、川添さんはお客様への対応など。「夫の助けがあってこそ上手くやれている」とチームワークもばっちりだ。
HPやお客様からの口コミがメイン、料金プランは日本人向けにアレンジ
これまでに担当したお客様は累計1000件以上になる。最初のお客様は、チラシを見て連絡をくれたご近所の方だった。現在は動物病院やトリミングサロンにチラシを置かせてもらったり、自社サイトからの依頼の他、お客様からの口コミも多い。リーマンショックや東日本大震災の際にはぱったりと依頼がなくなりつらい時期も経験したが、2013年末くらいからまた上向きになってきているという。
料金は、「まずはお試しから」という慎重な国民性を持つ日本人向けにアレンジ。1日限定3万円のプランから、18万円で犬一頭に対して一生涯保障するものまで4プランが用意されており、実際にレッスンを受けた際に契約プランを決めることができる。3か月、1年間のプランを選ぶお客様が大半だが、一生涯保障プランは、引越しや子供が生まれるなどの環境の変化や、犬の年齢によって変化する問題行動にも対処ができるというメリットがある。
現在日本国内では、バークバスターズの理念に共感し事業主としてサービスを展開するフランチャイジーは5拠点あり、各地域のセラピストは1~2名体制。フランチャイジーの教育も川添さんの仕事のひとつ。マニュアル研修と川添さんのレッスンに同行することで、1か月後には独り立ちできるようトレーニング方法を教えている。
各地に拠点を増やし、人と犬のハッピーな関係を作りたい
お客様からの依頼の窓口は、各地域でのチラシ配布や口コミの他、バークバスターズジャパンのHPで一括して受付け担当地域に振り分ける。拠点のない地域は川添さんが受け持つため、担当地域は北海道・首都圏・名古屋とかなり広範囲だ。今後の目標はフランチャイジーを増やすこと。採用の条件は犬好きで、人と話すのが好き、お客様獲得の為に自分で動けること。現在、特に名古屋と九州で大募集中で、自社HPや起業を目指す人向けのWEBサイトで募集するほか、ドッグカフェでイベントも開催している。知名度アップのため、近々電子書籍も発売する予定だ。飼い犬に問題行動があると、すぐに保健所に連れて行くケースも少なくはない。事業を通じ、保健所に送られる犬を減らしたい。
プライベートでは、中3と小3、2人の娘の母親。サモエドとシーズー2頭の犬も飼っている。遠方からの依頼で出張続きの時もあるが、時間があれば子供と出かけるなど家族の時間も大切にする。犬を飼うときは、呼んだ時に一番手に来る子と隅っこで怖がっている子は避けた方が良い、メス犬は人間の男性に媚びる!など犬にまつわる興味深いお話もたくさんしてくださり「犬の話なら何時間でもできてしまう」程犬が大好きで知識も豊富。「犬が好きで始めた仕事。やればやるほど好きになっていく」という川添さん。これからも人と犬とのハッピーな関係を作ってくれるだろう。