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女性社長インタビュー

業歴5年以上の方をメインに、会社員時代のキャリアや独自のアイデアを活かしているスタートアップの方まで。
企業の裏話や事業継続の秘訣などを伺っています。

「海外と日本、人と人をつなげたい」<br/>という思いを具現化する女性社長
Interview vol.95

「海外と日本、人と人をつなげたい」
という思いを具現化する女性社長

ウナギトラベル 東園絵さん

神奈川県大和市出身。98年上智大学卒業後、三和銀行(現:東京三菱UFJ銀行)勤務。ドイツ証券を経て早稲田大学大学院修了。2005年ジャパンポートLLP設立、品川の洋館で来日した外国人と日本人が交流するターミナルラウンジを運営。2008年ぬいぐるみ専門の旅行代理店ウナギトラベル設立。2009年より女性社長300人が集結するイベントJ300を女性社長.net(株式会社コラボラボ 横田響子)と共に第一回から企画。多様なプロジェクトに取り組む。

「海外と日本、人と人をつなげたい」という思いを具現化する女性社長

「女性社長インタビュー」の記念すべき第一回目にもご登場いただき、女性社長300人が集結するイベントJ300では2009年の第1回目から企画協力している東さん。J300の他にも、キッズルームを併設したコワーキングスペースHatchや日本の若手起業家がシリコンバレーで本場の起業家精神などを学ぶTofu Projectなど多様なプロジェクトに取り組んできたが、独立当初から一貫しているのは「海外と日本、人と人をつなげたい」という思い。今また、ぬいぐるみ専門の旅行代理店という新たな事業でもその名を知られるようになった東さんに人とつながる極意について伺った。

可能性を感じ2年間アイデアを温め続ける

「海外と日本、人と人をつなげたい」をコンセプトに2005年ジャパンポートLLPを立ち上げた東さん。品川の明治時代に建てられた洋館でターミナルラウンジを運営し、イベントやビジネスミーティングを開催、社名に込めた想いのように“日本の港”として様々な人と人をつなげる活動をしてきた。そんな中、人をつなげることを実現するためのツールである洋館の取り壊しの計画が持ち上がり、方向転換を余儀なくされてしまう。
洋館に代わるツールをと考え思い浮かんだのは、ウナギのぬいぐるみ「うなえ」。始まりは2006年、趣味の釣りでウナギが釣れたことがきっかけで自作したぬいぐるみで、「持ち歩いたら面白いかも」と常に連れ歩き、その日の行動をfacebookなどにアップ。徐々に周囲の人々に支持されるようになっていたのだ。「うなえ」に可能性を感じ、何かできないかとずっとアイデアを温めてきた東さん。2008年、満を持してぬいぐるみ専門の旅行代理店ウナギトラベルを立ち上げた。お客様はもちろんぬいぐるみ。自分の分身として大切にしているぬいぐるみに旅行させたいと、日本のみならず海外からも申込みが入る。お客様であるぬいぐるみたちを連れて観光地を巡り、撮影した写真をfacebookにアップして報告。ツアー終了後はお預かりしたぬいぐるみとともに写真データを送る、というのが基本的なサービス内容だ。

ウナギトラベルを通じて広がる世界観

ぬいぐるみの旅行代理店という、これまでにないサービス。目的やコンセプトを説明すると大体の人には理解してもらえるが、なかなか理解してもらえない事もあった。特に男性には「幼稚だ」「理解できない」など露骨に批判されることもあった。それでも友人や知人の口コミ、facebookで海外も視野に入れ英語と日本語の2言語で情報発信したことで評判は広がり、徐々にお客様が増えていった。一番の転機はNHKで取り上げられたこと。これまでリーチできていなかった地方の方々や、病気など何らかの理由で自分で旅行ができない方など顧客層も広がった。
お客様が抱える事情は様々。切実な事情を知って辛くなる時もあるが、ウナギトラベルのサービスを通じて世界観を広げる手助けになればと色々なリクエストに応える。例えば、車いすの方が自分では行けない細い道を歩いているような写真を撮ったり、初めての出産を控える奥さんの代わりに、これぞ東京!な観光スポットの感想を広島弁で書いたり、人混みが苦手な方には都会出身のぬいぐるみにエスコートしてもらっている仕立てにしたり。具体的なリクエストがなくてもお申込の背景や動機、持ち主の性格を伺って演出に活かす。事業を通じて普段は会うことのない遠い地域や海外の人ともつながり、これまで意識することのなかったバリアフリーなどに対しての気づきも多く、自分自身の世界観も広がった。

東さん流、人とのつながり方の極意

立ち上げから約5年をかけウナギトラベルをブレイクさせた東さんの強みは「めげない性分」。ぬいぐるみを連れ歩く東さんに対し心ない言葉をかけられることもあったが、他人から何を言われても自分のやりたいことを貫く強さがある。もう一つの強みは「人をあまり遮断しないこと」。振り返ってみるとこれまで色々な人とつながることで多くのチャンスも得てきた。時には苦手なタイプの人もいるが、相手を遮断せず良いところを発見すると自分にとってプラスになることも必ずある。常に相手の良いところを見て気持ちをくみ取り、相手に対して最大のバリューを出せるよう心掛けるのが、東さん流の人とのつながり方の極意だ。そんな東さんを頼り、一緒に仕事をしようと声がかかる。判断の基準は自分自身の勘。「面白そう!」と思ったものはなるべく引き受けている。
これまで多くのプロジェクトに関わってきたが、日本の若手起業家10名を選抜し、シリコンバレーで本場の起業家精神とデザインスピリッツを学ぶTofu Project(トーフプロジェクト)に参加することになったのも知人の紹介がきっかけだった。当時ウナギトラベルは今ほど認知されていなかったが、新しいものを認めてくれるカルチャーがあるシリコンバレーではすんなり受け入れられ、アドバイスももらい励みになった。CBSニュースにも取り上げられ、大きな反響はなかったが海外につながるきっかけにもなった。

今後の目標は企業や自治体とのコラボ

2013年3月にNHKで取り上げられて以来ウナギトラベルの認知度が上がり、日本国内はもとより海外からもたくさんのツアー申込みや、自分の街をウナギトラベルのツアーで紹介したいという問い合わせも来るようになった。しかし、今のまま一人で事業を展開していても広がりが生まれない。今後は企業や地方自治体とコラボすることでその土地の魅力を発信することで小さくても実績を作っていきたい。今年は、ウナギトラベルを株式会社にしたりスタッフを雇えるような体制も整えたいと考えている。
東さんは女性社長.netが2009年から主催している、女性社長300人が集結するイベント「J300」で毎年企画協力をしている。J300では普段接する機会のない業種の方や、地道に経営を続けている方などたくさんの女性社長に出会い、毎年新たな発見や気づきがあり励みにもなっている。2013年度のJ300は地方行脚と大手企業×女性社長のマッチングをテーマにしており、ウナギトラベルとしての関心ともマッチする企画となった。2005年にジャパンポートLLPを立ち上げた時から東さんの中で一貫しているのは「人をつなぎたい」という思い。これからも、ウナギトラベルや「J300」をはじめとする多様な活動を通じて思いを具現化していきたいと語ってくれた。