編集記事2011.11.24 (木)
「女性社長.net」突撃取材 Vol.16
布の個性を活かしたバッグを作る 布アート鼎
黒川鼎さん作品展示会
古い着物や帯の布や自分で染めた布でバッグや小物を作る、布アート鼎の黒川鼎さん。すべてが手作りの”一点もの”となるため、年に1,2回の展覧会と、お店に置いての販売ということで活動をされている。 これまでWEBでの販売はなかったが、新しい販路として、女性社長を応援するECサイトWooooomen’s!(ウィーミンズ!)にご出品。 夏に開催されたWooooomen’s!女性社長総選挙では多くの方の支持を集め、見事3位を獲得。 オーエンさん第1号の野田稔先生は、黒川さんのプレゼンを聞き「粋だ!」と感動し、バッグをその場で購入、愛用している。 今回は、そんな黒川さんの作品展示会で、作品へかける想いや今後の展望などについて伺った。
黒川鼎×森雅子 「二人展」
温かな灯りがあふれる古民家の空間に、
大学時代の同級生でもあるお二人のテキスタイル作品が展示されました。
日程:2011年11月10日~18日
会場:亀戸天神 ライティングハウス
<大阪 京都を拠点とする黒川さん初となる東京での展示会>
東京での展示会開催は初めてだという黒川さん。素材になる布の元は着物や帯にはじまり、マフラーすらも、彼女の手にかかればバッグになる。 特徴は、布の魅力を最大限に引き出すためのデザイン。作りたいバッグのイメージから布を選ぶのではなく、布から面白さを見つけデザインする。素材は古布や自ら染めた布だけでなく、手芸屋さんで売られているような布からインテリアクロス、お土産でもらった布など様々。布の特徴を活かすため、バッグは必ずしもきれいな形でなくてもいい、いびつな形までも含めてデザインにする力を持っている。
黒川さんの作るバッグは古布を使ったものが多い。「古い布しか使いたくないというわけではないんですが、昔の布は現代にはない大胆さがある。だから素敵なんです」と語る、自らも染めの技術を持った布のアーティストでもある黒川さん。古布の大胆な柄や色使いが魅力的だそう。 さらに、裏地もこだわりのポイント。 ちらりと見えたときに表の柄とマッチすることをすごく大事にしており、布の山とにらめっこし、これだというものと出会うまで探し続けるという。
ごひいきさんからは、「古布は暗いイメージのものが多いけれど、黒川さんの作品は明るくモダンだ」と言われることが多い。古布をはじめとする様々な素材と向き合い、その魅力を活かすためのデザインに黒川さんのこだわりを感じる。
<東京で初の展示会を開催された黒川さんにインタビュー>
<PROFILE>
黒川 鼎
布アート鼎
代表
1944年大阪市に生まれる。1967年女子美術大学工芸科卒業。1969年に結婚後、京都で家業のテキスタイルデザインに従事。 2005年「布アート鼎」として自染めの布や古布等を使い、オリジナルバッグや小物の製作を開始。京都市内のお店においているほか、年に1・2回、京都や大阪を中心に作品展と販売を実施。
リンク
・Wooooomen’s!黒川さん紹介ページ
<黒川さんに質問!>
–作品にまつわるエピソードを教えてください。
同じようなものしか出来ない、と行き詰っていた時、有名な方のお話をテレビで見て刺激を受け、現在までつながる気付きをもらいました。 たまたまテレビでイヴ・サン=ローランの特集をしていたんですね。彼が同じようにオリジナリティという面で壁にあたったときに、モンドリアン (抽象絵画の画家) の絵を見て、その感性を服に取り入れたというエピソードを見たんです。 有名なデザイナーの常識にとらわれない発想を見て、自分は常識にとらわれていたと気付きました。それがいびつな形もデザインにする作品の原点になったんです。
–これまでの経験で現在に活かされていることを教えてください。
大学では工芸としての染めを学び、その後は家業のテキスタイルデザインを手伝い、輸出向けの布のデザインをやっておりました。今思うのは、「商業として成り立たなければ意味がない」ということです。 学生時代はとにかく染色家を目指して学んできましたが、仕事をしていく上で重要なのは質だけでなく売れることだと気付きました。 私は芸術家じゃない。いくら上質でも、売れなければ仕方がないという風に思いました。だから今回も拠点の大阪 京都にとどまらず、色々な地域に進出することも必要だと感じ、東京での展示会を決めました。
–これからの事について教えてください!
Wooooomen’s!もそうですけど、新しい販路の開拓です。 関西では割と年配の方に古布のバッグをご購入いただくことが多かったのですが、今回初めて東京で展示会をしてみて、30代後半くらいの若い年代の方に私が染めた布を使ったバッグが人気がありました。これからは展示会をもっと色々なところでしたいですし、いつかは外国でも、と思っています。若い年代のごひいきさんも増えていくといいですね。 バッグというのは百人百様ですから、今後もお客様からの具体的なご意見を伺いつつ、より多くの方に愛されるような商品を作り続けたいと思います。
【編集後記】
布の面白さを見つけ、その魅力を最大限に引き出すデザインにこだわる黒川さん。さりげなくポケットがついていたり、持ち手の素材や長さなど、ごひいきさんからの要望もバランスよく取り入れて使い勝手にも気を配っていらっしゃいます。
(インタビュー・ライティング/保田直樹 那須美樹子)