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編集部特別企画2007.06.07 (木)

識者に聞く!
フリーエージェント社会の到来 <前編> Vol.1
東京大学社会科学研究所 教授 玄田有史先生

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東京大学 社会科学研究所
教授 玄田有史先生


<PROFILE>
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業。
学習院大学経済学部教授などを経て、2002年東京大学へ。経済学博士。専門は労働経済学。現在、「希望学」の研究を行っている。
近著 「希望学」(中公新書ラクレ) 「ニートーフリーターでもなく失業者でもなく」(幻冬社) 「仕事とセックスのあいだ」(朝日新聞出版局) 「フリーエージェント社会の到来」(ダニエル・ピンク著、玄田有史解説:ダイヤモンド社)

リンク
・玄田先生のブログ
「玄田ラジオ」 http://genda-radio.com/


–「大切にしたいこと」についてだけは妥協しない人–
そんな人が社長に向いてるんじゃないかな 2002年に「フリーエージェント社会の到来」(ダイヤモンド社)の解説を手掛けた、東京大学教授、玄田有史先生。ニートやフリーター、さらには「希望学」という新しいジャンルを切り開く研究をしていらっしゃいます。大学教授とは思えないざっくばらんな語り口でフリーエージェント社会について語って頂きました。

<チャンスに迅速に対応できる「プロジェクト」という考え方 >
ビジネスの担い手が、組織からプロジェクトへと変わってきている。これは、大きな流れ。これまでは、組織ありきで、組織とその中にいる人間を前提条件に、何ができるのか考えていた。今、その思考回路が変わってきて、「やりたいこと」ありきで物を考えるようになってきた。まず、やりたいことが前提にあって、そのやりたいことを実現させるために人材を集める。 チャンスは、いつ、どこから、どんな形でやってくるか分からない。 プロジェクトベースの発想は、そんなチャンスを的確にキャッチするのにすごく合っている。そして、プロジェクトベースのビジネスは、性別・年齢・人種・価値観・性的嗜好、多様なものが結集して力を発揮することで、新しいものを生み出していく。これは、、ダイバーシティ (多様な人材を活かす経営戦略)に通じるものがある。
このようなビジネスの流れを受けて、働き方も変化している。組織に属してサラリーマンをするのではなく、プロジェクトベースで仕事を手がけるフリーランスや起業家が生まれている。ただ、日本では、そんな働き方がまだ当たり前にはなっていないし、プロジェクトと人材をつなぐ機能も十分ではない。今後、いろいろなビジネスやいろいろな働き方が、社会の中で当たり前に増えていくとおもしろいと思う。

<多様性(ダイバーシティ)をつなぐ「理念」>
多様性が力を発揮して、新しいものを生み出す、といっても、違うものがただたくさんあればいい、というわけじゃない。多様性とバラバラは違う。プロジェクトを成功させるためには、多様であると同時に、同じでもなければならない。「何があってもこれだけは大事にしよう」とか「絶対にこんなことだけはしない」という、理念。価値観といってもいいし、誇りといってもいいかもしれないけど、そういう芯のところが共通していないと上手く行かない。
逆に、その部分さえ共通していれば、仲間として、安心して頼りあい、任せあうことができる。 この「理念」を示すのがリーダーの役割。今、成功している会社は、経営者が社員に対して、理念をきっちりと示せている会社。昔のように追いつけ追い越せの時代には、売り上げを何%伸ばす、という明確な目標があった。でも、高度経済成長が終わって、その目標が消えてしまうと、従業員は不安になって、経営者が何を考えているのか知りたがる。そのとき、どれだけ自分の言葉で、経験をふまえて、「理念」を語れるかが、とても大きい。これができる社長は、魅力があるよね。

<「ウィークタイズ」がポイント>
プロジェクトで仕事をする上で、欠かせないのが「ウィークタイズ」。いつ、どこから飛び込んでくるか分からないチャンスには、ゆるゆるとした絆、「ウィークタイズ」をどれだけ持っているかが物を言う。いつも会っているわけじゃないけど、同じ価値観をもっていたり、互いに信頼しあっていたりして、いざとなったら助け合える、そういった人間関係が、プロジェクトベースで仕事をしていく上で、欠かせない基盤。 組織にうんざりしたから、とか、やりたいことをやりたいから、との理由で、いきなりフリーランスをはじめても成功は難しい。また、一から十まで一人でがんばってしまう性格の人にも、プロジェクトベースの働き方は向いていない。さあ、プロジェクトが飛び込んできた、というときに、ウィークタイズで結ばれた信頼できる仕事仲間がたくさんいて、その人たちに声をかけて、一緒に仕事ができる。これが、プロジェクトで仕事をする時のいい形なんじゃないかな。
(横田響子・下向智子・萩原雄太)


【編集後記】
先生が解説されている「フリーエージェント社会の到来」を読んだとき、プロジェクト化の流れの中で、女性経営者の知恵や発想が、もっと活かされ、広まる社会がやってくることを確信し、あらためて『わくわく』しました。
女性経営者やプロジェクト発起人の方々には、「女性社長.net」を、是非、「ウィークタイズ」形成の1つの場として使っていただければと思います。 後編は、多くの経営者や著名人とつながりを持つ玄田先生からの、女性経営者に向けての応援メッセージです。ご期待ください。
(横田響子)

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