編集記事2009.08.27 (木)
「女性社長.net」突撃取材 Vol.12
『ザ・プリンシプル』出版記念セミナー&パーティ
経営の成功原則100』
激変する経営環境下、この「原則による経営」は小売流通業のみならず、多くの産業にとっても、未来へのともし火となり、これからの事業成長への視野とヒントを与えるものである。
吉田繁治氏プロフィール
システムズリサーチ代表取締役 コンサルタント
東京大学仏文科卒(専攻フランス哲学)、流通業勤務を経て、経営戦略と流通戦略、マーチャンダイジング戦略のコンサルタント。専門は小売分野にとどまらず、IT、経済、国際金融に及ぶ。
現在、小売りチェーンや大手卸の経営戦略担当顧問も務める。実際的なチェーンストア理論においても第一人者と評されている。
目標とする信条「人の生産性を2倍に」
吉田繁治氏のホームページ
7月16日、表参道にてウォルマート創業者、サム・ウォルトン研究の第一人者である 吉田繁治氏著の『ザ・プリンシプル』出版記念セミナーが開催された。 ウォルマートは、米国の流通小売業で世界NO.1企業に登りつめた勝ち組。不況真っ只中の米国にあって業績を伸ばし続ける企業のひとつである。今回の著書は、創業者サム・ウォルトンの経営原則を100の項目にまとめたもの。大手・中小の経営者層を中心に集まった受講者がセミナーに熱心に耳を傾けた。
一定分野を追究した人に、ファンがつく。
まず、「ザ・プリンシプル」の著者、吉田繁治氏について。吉田氏は、流通業界のコンサルティングをする傍ら10年前よりインターネットの無料メールマガジン「ビジネスの知識源(無料)」を執筆し、現在では有料メルマガも含めて合計4万人の読者(ファン)がいる。 吉田氏自身も、公的指標と日々フィナンシャルタイムズなど多数の情報紙を読み込み、分析、解釈、体系化によって読者に有益なメールマガジンを配信し続けている。昨年は、金融危機勃発の予見と経過分析の精度によってメルマガ読者の推薦と投票により決まる「まぐまぐ大賞」を受賞。長年の執筆と充実した内容に対する読者の支持あってこそである。結果、今回開催された「ザ・プリンシプル」出版セミナーにおいて200名近くの参加者希望者が集い、メルマガ読者を中心に7割の参加者が吉田氏との初対面を果たした。積み重ねた年月とプロフェッショナルな仕事が糧となることは吉田氏に学ぶ最大のポイントである。
ウォルマート(サム・ウォルトン)をなぜ研究したのか
吉田氏にとってコンサルタント業を行う上で、「一人当たり生産性をあげること」がそもそもの研究議題。人口減少が進む日本においては「生産性アップ」は重要課題と説く。1時間あたりの生産性を高め、個人所得を上げることができなければ経済は縮小する。生産性を高める研究を長年重ねた結果、ウォルマートの経営手法に行き着いた。ウォルマートの成功要因を分析し、原則として一般化し吉田氏はコンサルティング手法としている。
他者から、よい点のみを学び取り自分のものにすることが秘訣。
経営手法本や、事例・競合研究においてありがちなことは、「違いや悪い点に目がいくこと」である。今回、最大のポイントと感じたことは、他者からいかに「素晴らしいと思えるポイント」を抽出し、「自分なりの手法」に変換することが肝ということだ。 最後に、経営の原則を100にまとめた「ザ・プリンシプル-サム・ウォルトンが実践した経営の成功原則100」は、流通小売業界のみならず経営に携わる方には参考書となる一冊である。